2012年1月 6日 (金)

郷田九段は12時30分過ぎから対局室に戻り、盤の前で考えていた。一方の広瀬七段は再開直前に対局室へ。定刻の13時になり対局が再開したが、広瀬七段の手は盤上へは伸びなかった。

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本局で使用されている駒は影水師作、清安(きよやす)書。使い込まれて漆が一部取れ、年季を感じさせる駒だ。また床の間には花と鏡餅が飾られ、華やかな新年の雰囲気を出している。

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(郷田九段の王将。逆光で見えないが、「影水作」と刻まれている)

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(こちらは広瀬七段の玉将。「清安書」と刻まれているが、漆が取れてしまっている)

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20120106_3612時、図の局面で両対局者が席を立った。少し早いが昼食休憩に入れたようだ。定刻の12時10分までの時間は広瀬七段の消費時間に加えられる。飛車先の歩がぶつかった場面で休憩に入るのは落ち着かないようだが、次の一手は▲8六同歩でほぼ決まっているため、その先を考えることができる。次の手がわかりやすい場面で休憩に入れるのはよくあることだ。昼食休憩までの消費時間は▲広瀬1時間32分、△郷田23分。郷田九段は「予定通り」といった様子で時間をあまり使っていない。昼食の注文は郷田九段がカレーライス大盛り(ほそ島や)、広瀬七段は注文なし。対局は13時から再開する。


12時過ぎ、控室に鈴木大介八段、伊藤真吾四段、及川拓馬四段が訪れた。継ぎ盤を眺めながら符号を言い交わして検討を始める。本局の観戦記を担当する君島俊介さんが、継ぎ盤の駒をせっせと動かしている。

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(左から観戦記担当の君島さん、伊藤四段、及川四段)

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(鈴木八段)

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20120106_3111時頃、広瀬七段は▲7五銀(図)とぶつけた。6筋でがんばっている銀を消してしまえば、狙いの5筋交換が実現する。非常にシンプルな考え方だ。実戦は以下△7五同銀▲同歩△6四角(下図)と進んだ。

20120106_34_2今度は6筋に角を配置。5筋交換を防ぎつつ、伸びた7筋の歩に狙いをつけている。また△3五歩~△3六歩のコビン攻めも視野に入った、好点の角打ちだ。郷田九段はこの角打ちをノータイムで決断している。おそらくは事前研究のある形なのだろう。同一局面の実戦例は、ここまでの手順に違いはあるものの1局見つかっている。▲菅井竜也四段-△牧野光則四段戦(2011年2月、C級2組、段位は当時)がそれで、その将棋では▲6六角と先手が角で対抗している。結果は先手勝ち。公式戦では現れていないものの、水面下では相当に研究が進んでいると考えることができそうだ。広瀬七段はこの角打ちを、どのような対策で迎え撃つのだろうか。


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昨日は東西の将棋会館で指し初め式があった。関西将棋会館で行われた指し初め式の模様は、こちらで見ることができる。広瀬七段は東京・将棋会館で指し初め式に参加し、「確実にポイントをあげる一手」を指したそうだ(『広瀬章人の一喜一憂ブログ』)。同時に例年参拝が行われている鳩森八幡神社では、「謹賀新年」の幕が出ていた。銀杏の木は葉を落とし、境内には冬の景色が広がっていた。

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20120106_20先手の広瀬七段が飛車を5筋に振り、戦型は中飛車と居飛車の対抗形に。対する郷田九段は早い段階で△7七角成(図)と角を交換した。以下▲7七同銀△6四銀と進めた後手の意図は、5筋の歩交換を防ぐこと。4筋ではなく6筋に銀を配置するのが定跡になっている指し方で、攻めと守りのバランスを保っている。こうした角交換型の戦いでは互いに角を手持ちにしているため、スキを見せないことが大切。この後は、後手は玉の広さを、先手は美濃囲いの堅さを生かすような戦いに進むことが多い。展開としては、先手が早くに戦いを起こすか、陣形整備を進めるかで大きく変わってくるだろう。広瀬七段の方針に注目だ。


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