2012年1月 6日 (金)

20120106_49図は17時20分頃の局面。広瀬七段は▲9六角と打ち、△8七歩成を受けつつ飛車に狙いをつけた。先手の駒が前進し、後手の飛角に迫っている。駒の活用度では先手がまさるが、それがそのまま形勢に結びつくかどうかは難しいところ。現局面ではどちらに形勢が傾いているとも言えないようだ。


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(中村女流二段=左、本田小百合女流二段=右)

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20120106_45広瀬七段は▲7四歩(図)と突き捨てを入れ、以下△7四同飛▲7七金と進んだ。わざと金当たりにさせて、金を押し上げて飛車を圧迫する、という順だ。徐々に局面がほぐれてきたこともあり、検討が活発になってきている。控室には棋士の数が増えてにぎやかになってきた。継ぎ盤には寄せ合いの激しい変化が現れる場面も。


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(森けい二九段=左、宮田敦史六段=右)

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(藤田綾女流初段)

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(伊藤四段=左、上野裕和五段=右)

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今度は広瀬七段が考慮に沈んでいる。控室には中村真梨花女流二段、伊藤四段、先崎学八段が姿を見せ、継ぎ盤を囲んでいる。現状は指し手が難しく見通しの立てにくい局面なのだろう、「1手も見えない」というぼやきが聞こえてきた。一手一手が重い時間帯だ。この一局の勝敗がタイトル挑戦の明暗を分けるだけあって、対局者にかかる重圧も大きいはず。

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(中村女流二段。伊藤四段と継ぎ盤を挟む)

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(先崎八段が検討の様子を眺める)

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20120106_4415時40分頃、郷田九段の手が動いた。1時間53分の長考で、じっと△8四飛(図)と飛車の位置を変えた。▲8七歩や▲7七角の当たりを未然に避ける効果はあるが、それよりは手を渡した様子見の意味合いが強いだろうか。注目は広瀬七段の次の手で、▲4五歩を決行すれば本格的な戦いになりそうだ。


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1郷田九段の長考が続いている。郷田九段は納得がいくまで考える、長考派の棋士として知られている。12月2日に行われた本局と同カードの本戦決勝でも、郷田九段は右図から△7四飛▲7五歩△9四飛のやり取りに計2時間の長考をした。本局のこの熟慮は、局面をよくしようと貪欲に「いい手」を探している時間なのか、それとも指し手の難しさゆえの苦悶の時間なのか。15時15分、大きな差のあった二人の持ち時間が、いよいよ逆転するまでに差しかかっている。


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20120106_43郷田九段の△5四銀打に対し、広瀬七段はじっと▲4六歩(図)と突き出した。のんびりした手に見えるが、次に▲4五歩と突く狙いを秘めている。△4五同銀は5五の守りが薄くなってしまうし、△4五同歩で4四の地点に空間ができれば、▲2六角や▲7一角と打って次の▲4四歩を狙う手が受けにくい。郷田九段はこの見えている狙いに対して、どのような方針で対抗するのだろうか。

14時30分、郷田九段はこの局面で考え続けている。広瀬七段とは対照的に今まであまり時間を使っていなかったため、考える時間は存分にある。控室では田中寅彦九段が継ぎ盤に向かっている。「うーん、どうするんだろうか。(後手の)角が働くのかどうか、(先手の)桂が前に出すぎなのかどうか、見方も難しいですよね」


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20120106_38対局再開からおよそ30分、ついに広瀬七段の手が動いた。▲8六同歩△同飛(図)と進み、さてここで先手がどう動くか。広瀬七段の答えは▲5五歩△同歩▲6五桂(下図)。5筋を突き捨てて味をつけてから桂を跳ね出した。


20120106_41左桂は振り飛車にとって重要な駒で、これがうまくさばければペースをにぎれることが多い。もちろん、逆にタダで取られてしまうようなことがあれば目も当てられない。5筋を突き捨てたのは、いつでも▲5三歩を用意して、たとえば△4二角~△6四歩のような順に対策をとったと考えてよさそうだ。
控室では、青野照市九段が継ぎ盤の前で駒を動かしている。▲6五桂を見て、「こうしたらどうするんでしょうか」と△5四銀打を示す。と、ほとんど同時に郷田九段がまさにその手を着手した。「そうですか、やっぱりそうしますよねえ」と青野九段。△5四銀打は、広瀬七段が5筋を突き捨てた手をとがめようとする積極的な受けだ。


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