昼食休憩
12時、図の局面で藤井棋王が1時間23分使って、昼食休憩に入りました。消費時間は☗伊藤25分、☖藤井1時間51分(持ち時間は各4時間)。昼食は「加賀懐石弁当」です。対局は13時に再開されます。
(紋蛇)
午前中の控室
午前中で終盤に
△4四歩に、先手は桂をそのまま取られてはいけません。伊藤七段は▲7五歩と桂頭に手をつけます。以下△同歩▲5三角成△同角▲同桂成△同玉▲7四歩まで、一直線の進行です。
後手は序盤で6筋に位を取ったので、▲7四歩に△6五桂と逃げることができません。△6五歩の位取りに対し、先手が桂頭を絡める攻めは頻出します。
▲7四歩で、先手の主張は駒損ながら後手の玉形が乱れていること。駒損といっても、桂を取り返すことができるので歩損ですみます。
藤井棋王はバラバラの陣形をまとめないといけません。まずは△5四歩と打ち、5五の地点に銀や角を打たれるスキを消しました。
控室の関浩七段は「▲6六歩は自然な手ですね」と話していました。△同歩なら▲7三歩成△同金に▲6五桂が両取りです。後手が△6六同歩と応じなければ、▲7三歩成△同金▲6五歩として歩が前進し、攻めをつなげやすくなります。
しかし、実戦はもっと過激に攻めました。▲7三歩成△同金に▲8二銀△同飛▲7一角です。
意外な攻め筋です。王手飛車ながら、△6二飛で受かるからです。△6二飛以下▲同角成△同玉▲4一飛で、藤井棋王が長考に沈んでいます。
先手は▲9一飛成や▲2一飛成から小駒を手にし、駒損を回復しながら竜でプレッシャーをかける方針です。後手は持ち駒が豊富で手番を握っていますが、「プロ的に第一感がない局面」(船江六段)。見慣れない局面で、どう指すかのセンスが問われているといえるでしょう。控室でも藤井棋王の次の一手に注目が集まっています。
(紋蛇)
角換わりからハイペース
戦型は角換わりになりました。図は6筋の位を取ったところで、7二金型と組み合わせています。前例は昨年12月の第82期順位戦A級☗佐々木勇気八段-☖稲葉陽八段戦のみで、☗2四歩☖同歩☗3五歩☖同歩☗4五桂☖2三金▲3三桂成△同桂と進みました。結果は佐々木勝ちです。
伊藤七段も▲2四歩と仕掛けました。藤井棋王は前例から手を代えて、△2四同銀と応じます。以下▲4五銀△同銀▲同桂で、激しい展開です。
先手の狙いのひとつが、▲6三銀△同金▲7二角。藤井棋王は△6三銀と「敵の打ちたいところに打て」で守り、△4四歩を楽しみにします。しかし伊藤七段は▲9七角と気づきにくいところに角を打ちました。
桂と連係した攻め駒ながら、狭い場所に打つのでリスクが高い手です。船江六段は「すごいなあ。☗9七角はすぐに浮かぶ手ですが、事前に知っていないとすぐには指せません」とコメントしています。
△6二金の受けなら▲5三桂成△同金▲6二銀で難しい勝負です。実戦は△6二角と手厚く打ち、▲6四銀△同銀▲同角に△4四歩と桂を取りにいきました。
(紋蛇)