15時のおやつ
解説会開始
現地では大盤解説会が始まっています。解説は森内九段、聞き手は中村桃女流二段。会場脇には、やいちゃんグッズや地元の特産物が展示してありました。
(相掛かりを予想していた森内九段。本局の雁木は「やや意外」)
(将棋連盟ライブ中継アプリで進行を確認する)
後手ペース
図の局面、評判は後手ペースです。最大の理由は先手の歩切れ。▲8五歩を打てないので8四飛も素通しで危ない状況です。ABEMAの高野智六段は「△2二玉で後手陣がしっかりして急に景色が変わった」、屋敷九段は「先手はゆっくりしていると厳しくなる」。▲6五歩は△8七銀、▲7五金△同銀▲9一角成は△7六銀打で先手はうまくいかないようです。
(牛蒡)
焼津巡り4
焼津巡り3
焼津巡り2
焼津巡り1
焼津市は静岡県中部の市。「やいづ」と読みます。日本武尊が東夷征伐の際、火をかけて賊を滅ぼした地名に由来するそうです。1年を通して温暖な気候。市の東には駿河湾。水産業が盛んで、市内の各港では、遠洋のカツオやマグロ、近海のアジやサバ、駿河湾のシラスやサクラエビが水揚げされます。明治時代の文豪である小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は焼津を気に入り、何度も訪れました。
(駅前広場。焼津温泉の湯は、焼津グランドホテルでも楽しめる)
焼津にて 小泉八雲
焼津というこの古い漁師町は、日がカッとさすと、妙に中間色のおもしろ味が出てくる町だ。この町が臨んでいる小さな入江、その入江に沿う白茶けた荒磯の色が、まるでトカゲのような色をおびてくるから妙だ。町は、丸いゴロタ石を積み上げた異様な石垣で、荒い海から守られている。
この石垣のてっぺんから陸の方を眺めると、小さな町の全景がひと目で見渡される。灰色の瓦屋根の広いひろがり、風雨にさらされて白茶けかえった家並。そのあいだに、ところどころ松の木の茂っているのは、寺のある場所を示している。目を転じて、海の方を眺めると、これはまた紺波碧濤数マイル、いかにも雄大な眺めである。
はるかかなたの水平線とくっきりと劃っている、峨々たる青い連峰はさながら紫水晶を置いたようで、そのむこうには、左の方に高く、四囲の山々を圧して、富士の麗容が嶄然とそびえ立っている。
ABEMA-PPV
ここまでの流れ
56手目△8三飛まで進んでいます。森内九段にここまでの戦いの流れを聞きました。以下は森内九段の解説です。
永瀬王座が角換わりを志向したのに対し、渡辺棋王が10手目△4四歩で雁木を目指すという出だしでした。9手目▲8八銀(近年は▲6八銀が多い)から19手目▲6八角は、古くて新しい構想でした。23手目▲4六角が永瀬王座の用意した形だと思います。
▲4六角には△7三桂が普通ですが▲7五歩の仕掛けもありえます。渡辺棋王は危機を察知して24手目△6四歩と(永瀬王座の研究を)外し、新しい戦いに入りました。▲6四同角で1歩得なので永瀬王座が少し得をしたと思いますが、渡辺棋王は駒を活動的に使って悪くないと判断されています。
37手目▲6六歩と突いたからには、39手目▲7五歩は指さずにゆっくり指すなど、ほかにもいろいろな構想もありました。本局は方向性の難しい将棋になっています。52手目△8八歩では△7五歩もあったと思います。△8八歩以下は千日手の可能性もありましたが、永瀬王座が打開しました。ここからまた戦いは続きます。