2022年2月 6日 (日)

K1_070評判は依然として後手よし。早い終局もあるかと青野九段は話しています。形勢が大差というのではなく、「考えるところがあまりない」ことが理由のようです。逆転を狙う先手としては、複雑で間違えやすい局面こそ望ましく、指し手が分かりやすい局面が続くようだとつらい状況といえます。

Dsc_0592(モニターを見ながら解説する青野九段)

(牛蒡)

15時のおやつです。
渡辺棋王 ケークショコラ~静岡harumi~、ホットコーヒー
永瀬王座 ホットコーヒー

harumiはみかんの品種。ケークショコラの上に乗せられています。永瀬王座は昼食時のデザートとしてケークショコラを食べたそうです。

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(牛蒡)

現地では大盤解説会が始まっています。解説は森内九段、聞き手は中村桃女流二段。会場脇には、やいちゃんグッズや地元の特産物が展示してありました。

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Dsc_0528(相掛かりを予想していた森内九段。本局の雁木は「やや意外」)

Dsc_0553将棋連盟ライブ中継アプリで進行を確認する)

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(牛蒡)

K1_068図の局面、評判は後手ペースです。最大の理由は先手の歩切れ。▲8五歩を打てないので8四飛も素通しで危ない状況です。ABEMAの高野智六段は「△2二玉で後手陣がしっかりして急に景色が変わった」、屋敷九段は「先手はゆっくりしていると厳しくなる」。▲6五歩は△8七銀、▲7五金△同銀▲9一角成は△7六銀打で先手はうまくいかないようです。

(牛蒡)

最後に焼津市の地図をご紹介。緑の濃い部分は山間部と思われます。焼津グランドホテルは緑の部分の右下にあります。海に面した山あいのホテルです。先ほど紹介したように、東西南北のどちらを望んでも絶景です。

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(牛蒡)

小川港の近くの食堂で腹ごしらえをして、焼津さかなセンターへ。たくさんの海産物が販売されていました。

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Dsc_9404(マグロ、シラス、サクラエビ=かきあげ。黒はんぺんも静岡名物)

Dsc_9449(焼津さかなセンター)

Dsc_9454_2(センターの中を歩く。かに街道。マグロ街道もある)

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(牛蒡)

焼津神社から小泉八雲記念館、静岡県立焼津水産高等学校を経由して海に向かいました。

Dsc_9255(小泉八雲記念館)

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Dsc_9293(静岡県立焼津水産高等学校は今年で創立100周年)

Dsc_9338(海辺の親水公園「ふぃしゅーな」。この池は海とつながった潮だまり)

Dsc_9342(公園の北東方面には富士山)

Dsc_9319(南側には小川港)

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(牛蒡)

焼津市は静岡県中部の市。「やいづ」と読みます。日本武尊が東夷征伐の際、火をかけて賊を滅ぼした地名に由来するそうです。1年を通して温暖な気候。市の東には駿河湾。水産業が盛んで、市内の各港では、遠洋のカツオやマグロ、近海のアジやサバ、駿河湾のシラスやサクラエビが水揚げされます。明治時代の文豪である小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は焼津を気に入り、何度も訪れました。

Dsc_9163_2(対局前日の4日、JR焼津駅を起点にして街を散策)

Dsc_9153(駅前広場。焼津温泉の湯は、焼津グランドホテルでも楽しめる)

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焼津にて 小泉八雲

 焼津というこの古い漁師町は、日がカッとさすと、妙に中間色のおもしろ味が出てくる町だ。この町が臨んでいる小さな入江、その入江に沿う白茶けた荒磯の色が、まるでトカゲのような色をおびてくるから妙だ。町は、丸いゴロタ石を積み上げた異様な石垣で、荒い海から守られている。
 この石垣のてっぺんから陸の方を眺めると、小さな町の全景がひと目で見渡される。灰色の瓦屋根の広いひろがり、風雨にさらされて白茶けかえった家並。そのあいだに、ところどころ松の木の茂っているのは、寺のある場所を示している。目を転じて、海の方を眺めると、これはまた紺波碧濤数マイル、いかにも雄大な眺めである。
 はるかかなたの水平線とくっきりと劃っている、峨々たる青い連峰はさながら紫水晶を置いたようで、そのむこうには、左の方に高く、四囲の山々を圧して、富士の麗容が嶄然とそびえ立っている。

Dsc_9234(市内を歩く)

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Dsc_9296 (この日は立春だった)

Dsc_9223(焼津神社)

Dsc_9204(拝殿)

Dsc_9214(さざれ石と日本武尊像)

(牛蒡)

アベマのペイパービューでは、現地リポートや大盤解説が見られます。

Dsc_0320_2(屋敷九段と加藤桃清麗)

Dsc_0330(ホテル宿泊棟から20mほど下ったところにある広場で村山七段が解説)

Dsc_0334(宿泊棟と広場はスロープカーで移動できる)

Dsc_0337(スロープカーの中から撮影)

(牛蒡)

56手目△8三飛まで進んでいます。森内九段にここまでの戦いの流れを聞きました。以下は森内九段の解説です。

Mori1永瀬王座が角換わりを志向したのに対し、渡辺棋王が10手目△4四歩で雁木を目指すという出だしでした。9手目▲8八銀(近年は▲6八銀が多い)から19手目▲6八角は、古くて新しい構想でした。23手目▲4六角が永瀬王座の用意した形だと思います。

Mori2▲4六角には△7三桂が普通ですが▲7五歩の仕掛けもありえます。渡辺棋王は危機を察知して24手目△6四歩と(永瀬王座の研究を)外し、新しい戦いに入りました。▲6四同角で1歩得なので永瀬王座が少し得をしたと思いますが、渡辺棋王は駒を活動的に使って悪くないと判断されています。

Mori337手目▲6六歩と突いたからには、39手目▲7五歩は指さずにゆっくり指すなど、ほかにもいろいろな構想もありました。本局は方向性の難しい将棋になっています。52手目△8八歩では△7五歩もあったと思います。△8八歩以下は千日手の可能性もありましたが、永瀬王座が打開しました。ここからまた戦いは続きます。

Dsc_0489(控室のモニターで進行を見守る森内九段)

Dsc_0504(千日手を打開したあたりの写真。控室はどよめいた)

(牛蒡)