2017年12月15日 (金)

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本局は黒沢五段のゴキゲン中飛車に、永瀬七段が居飛車に構えて対抗形になりました。両者とも穴熊に組み、午前中はじっくりした序盤戦が続きました。

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展開が動いたのは永瀬七段の△7二飛(32手目)がきっかけでした。このまま△7五歩▲同歩△同飛と歩交換できれば、居飛車が軽い形になります。振り飛車は▲6六角△8二飛▲7七角△7二飛……と進めては千日手模様で失敗ですが、黒沢五段は意外な筋でカウンターを狙いました。実戦はここから▲7八飛△7五歩▲同歩△同飛▲7九歩(37手目)と進行。

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飛車のさばきを狙う底歩が意表の一着。こうした底歩は飛車交換になれば成功ですが、押さえ込みを狙われると歩を打った損が残りやすいものです。ところが、ここで△7六歩には▲9五角が離れ駒の銀を狙った返し技。以下△7三銀でも△7三桂でも、▲6六銀△7四飛▲6五銀と飛車を目標にした反撃があります。

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東京・将棋会館1階の販売コーナーには、両対局者の著書や新製品の「駒袋」が置かれていました。将棋会館と道路を挟んで向かいにある鳩森八幡神社では、新年に境内の将棋堂で祈願祭が行われます。

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両対局者の棋王戦を振り返ります。

永瀬七段の棋王戦成績は30勝8敗(0.789)。2010年、第36期が初参加でした。第39期には敗者復活戦を勝ち上がって挑戦者決定二番勝負に進出しましたが、三浦弘行九段に敗れて挑戦権は獲得できず。今期は予選で高野智史四段、井上慶太九段、三枚堂達也四段(現六段)、西川和宏六段に勝って挑戦者決定トーナメント進出。本戦では郷田真隆九段、稲葉陽八段、千田翔太六段、佐藤天彦名人、三浦弘行九段を破って挑戦者決定二番勝負進出を決めました。全棋戦含む挑戦者決定戦進出は今回が4度目です。

黒沢五段の棋王戦成績は13勝3敗(0.813)。2015年、第41期が初参加です。今期は予選で石田直裕四段(現五段)、中村亮介六段、上村亘四段、井出隼平四段に勝って挑戦者決定トーナメント進出。本戦では行方尚史八段、橋本崇載八段、鈴木大介九段に勝ってベスト4進出。三浦九段に敗れて敗者復活戦に回り、佐藤天名人、三浦九段を破って挑戦者決定二番勝負進出を決めました。挑戦者決定戦進出は今回が初めてです。

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12時、昼食休憩に入りました。昼食の注文は永瀬七段がにぎり上のさび抜き、納豆巻(千寿司)。黒沢五段がみそ煮込みうどん、鮭おにぎり(みろく庵)でした。本局で使われている駒は玉龍師作、錦旗書の盛上駒。対局は12時40分に再開されます。

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日本将棋連盟会長の佐藤康光九段が控室を訪れました。佐藤康九段は第32期、第33期に棋王位を獲得しています。関係者と談笑しながら「棋王戦の挑戦者決定戦は若いですね」と話しました。前期は千田翔太五段(現六段)と佐々木勇気五段(現六段)が挑戦権を争いました。モニターを見ながら盤面を並べて、「長くなりそうですね」とぽつり。戦型は黒沢五段のゴキゲン中飛車に永瀬七段の居飛車で対抗形になり、相穴熊に進んでいます。

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特別対局室には永瀬七段、黒沢五段の順に入室しました。永瀬七段が駒箱を開けて2人が駒を並べ、振り駒が行れます。結果はと金が3枚。第1局は黒沢五段の先手に決まりました。

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