深浦九段に午前のまとめと今後の展望を聞きました。
深浦九段「渡辺棋王が角換わりの4一飛型を選ばれたのは少し意外でした。渡辺棋王は積極的な作戦が多く、また駒の活用を重視する方ですが、本譜は受けに回る作戦ですし、4一飛型ですべての駒を働かせるのは難しいですから」
深浦九段「ただ、8一に飛車が戻ると、全体の駒を使いやすくなってきます。なるほどと思いました。とはいえ5三玉型はバランスを崩しやすいので神経を使う展開ではあります」
深浦九段「藤井竜王の指した▲8四歩(3図)は▲7七桂から▲8九飛、▲7七桂から▲8五桂など、左辺の駒で打開しようという意味です。休憩明けの△7五歩▲8五銀△8六歩(4図)は先手の動きを牽制しています。△8六歩にどう指すか。先手もかなりプレッシャーを受けていますが、藤井さんのことですからギリギリのきわどいところを突いてくると思います」
△8六歩が指されたのが13時48分。消費時間は▲藤井48分、△渡辺2時間14分。
藤井竜王は△8六歩に長考しています。▲7四歩は入りますが歩切れになります。△4三玉に▲2二歩を残しておきたいので悩ましいところです。▲7七桂(次に▲8九飛など)もキズになり得ます。ノーリスクの手はありません。