56手目△8三飛まで進んでいます。森内九段にここまでの戦いの流れを聞きました。以下は森内九段の解説です。
永瀬王座が角換わりを志向したのに対し、渡辺棋王が10手目△4四歩で雁木を目指すという出だしでした。9手目▲8八銀(近年は▲6八銀が多い)から19手目▲6八角は、古くて新しい構想でした。23手目▲4六角が永瀬王座の用意した形だと思います。
▲4六角には△7三桂が普通ですが▲7五歩の仕掛けもありえます。渡辺棋王は危機を察知して24手目△6四歩と(永瀬王座の研究を)外し、新しい戦いに入りました。▲6四同角で1歩得なので永瀬王座が少し得をしたと思いますが、渡辺棋王は駒を活動的に使って悪くないと判断されています。
37手目▲6六歩と突いたからには、39手目▲7五歩は指さずにゆっくり指すなど、ほかにもいろいろな構想もありました。本局は方向性の難しい将棋になっています。52手目△8八歩では△7五歩もあったと思います。△8八歩以下は千日手の可能性もありましたが、永瀬王座が打開しました。ここからまた戦いは続きます。