【勝った渡辺明棋王の談話】
――横歩取りの未知の戦いでしたが、序盤はいかがでしたか。
渡辺明 新手でこられて、その後はわからないと思って指していました。
――午前中に▲2四歩(33手目)と打ったところで、手応えはありましたか。
渡辺明 そうですね。あそこはいいんだろうなと思ったのですが、すっきり勝つ順がわからなくなっていて、やっているうちにどんどんおかしくなりました。
――控室では▲1六角(55手目)の評判がよかったですが、あのあたりはいかがでしたか。
渡辺明 決まっているんだろうなと思ってやっていたのですが、ちょっとその後がやっているうちにわからなくなりました。
――▲4三角成(63手目)と切ったあたりはいかがでしたか。
渡辺明 すっきり勝てないなと思って、本譜は金を取って安全に勝とうと思ったのですが、かえっておかしくなっていって。△2五角(98手目)と打たれたあたりはもうわからなくなってしまいました。
――終盤はかなり際どい勝負になったと思いましたが、いかがですか。
渡辺明 逆転されてしまったなと思ってやっていたのですが……。
――勝ちを意識したのはどのあたりですか。
渡辺明 ▲9五桂(117手目)~▲7三歩で自玉が詰まないなら勝ちかなと。向こうにも手段が多くなってしまったので。
――9連覇まであと1勝となりました。
渡辺明 日程的にはすぐなので、流れを切らないように頑張りたいと思います。
【敗れた糸谷八段の談話】
――▲2四歩(33手目)のあたりはいかがでしたか。
糸谷 ちょっと△7四歩(26手目)がそうとう勇み足で。▲3八金(25手目)のときに△2六歩と垂らす予定なんですけど、利いているかどうかがわからなくなって。長考してひどい変化に突っ込んだのかと思って、そうとう反省していました。
――昼食休憩のときはかなり苦しかったですか。
糸谷 そうですね。本当にひどいことをしている可能性が高いと思ったので。
――控室でもかなり苦しいと見られていました。
糸谷 やっぱりそうですよね。
――中盤以降の追い上げはいかがでしたか。
糸谷 けっこう粘れる展開になったと思っていたけど、最後はちょっとわからなくて。いい手がないかと思ったんですけど、▲7四桂と打たれると受けがない可能性が高いと思ったので、そこでひねり出せなかったですね。やはり▲5三飛(115手目)で悪いというかダメですよね。最後に手がなかったかと……。
――逆転していると感じていましたか。
糸谷 飛車と馬の交換(50手目前後)になったところは、逆転とまでいかなくても、なにかあるんじゃないかと。難しくはなったのではないかと思ったんですが、そこでわからなかったですね。その前が明確に負けだったので、難しくなったと思ったんですけどね。
――第4局に向けて抱負をお願いします。
糸谷 星勘定が悪くなりましたが、トーナメントだと思って頑張ります。
(琵琶)