2020年3月17日 (火)

渡辺棋王インタビュー

Dsc_1074 (感想戦後は、渡辺棋王に改めてインタビューが行われた)

――改めまして、8連覇を達成されたいまのお気持ちを聞かせてください。

渡辺 本田さんとは初手合いだったので、かなり珍しいタイトル戦というか、手探りの状態から始まるシリーズにはなるかなと思ってたんですけど。それで、1、2局とやってみてある程度、感触はつかめたかなと思うので、そこからまた対策を立て直して、それが結果的にはうまくいったかなと。

――本田五段は、デビューから1年4ヶ月という、史上二番目の早さでのタイトル挑戦でした。戦っての印象はいかがでしたか。

渡辺 やっぱり若い挑戦者はいつも勢いがあるので、その辺りは警戒しなきゃいけないなと思いました。実際、第2局は完敗だったので。まあそれで、1、2局やって、第3局以降にそれは生かせたかなと思います。

――本田五段の得意戦法である相掛かりは、やはり戦いづらいと感じられましたか。

渡辺 そうですね、第2局は一回やってみたんですけど、ちょっとうまくいかなかったので、今回は外そうかなと。

――棋王位は今日防衛されましたが、王将戦七番勝負第7局と名人戦七番勝負がこの先まだあります。

渡辺 1月からタイトル戦が始まって、どれもなかなかリードが広げられずにすごい苦しい展開だったんですけど、ようやく一つ大きな結果が出せたので。防衛戦を二つやっていると、一つ結果が出るまではかなり大変な思いをしますので、そういう意味では今日は結果が出てよかったです。年度内にまだタイトル戦で大きい対局が残ってるので、春以降のことはそれが終わってから考えたいかなと。考えるといっても、2週間ほどしか間がないですけど。そういう意味でもやっぱり今日は結果を出せてよかったというか。本当の年度末までやっていると、結構きついので。

Dsc_1083

――今回は1勝リードしての第4局でした。負けると2勝2敗になってしまうわけですが、どのような気持ちで迎えられましたか。

渡辺 第2局にこの先後(後手番)で負けで。遅かれ早かれ、どうしても後手番は勝たないとなかなか防衛という結果にはならないので、第2局で1局やってみたのを踏まえて、どういう作戦がいちばん率が高いかということを考えて今日は臨みました。

――負けたらどうなるということはあまり考えませんでしたか。

渡辺 タイトル戦、しかも防衛戦が二つフルセットになっちゃうと、それはかなり精神的にきついなとは思ってやってました。二つとも負けてしまう可能性は早く消しておかなければいけないと思ったので。あとにいけばいくほど、結果も含めてきつくなっていくだろうなと。ここで決められたらいいなということは考えてましたね。

――今年度は各棋戦で挑戦者のタイトル奪取が続きました。そんな中で渡辺棋王は8連覇を達成されたということで、シリーズが始まる前に何か意識されていましたか。

渡辺 そういう将棋界全体の流れについてはあまり考えてなかったですね。

――そうすると、気持ちの面ではいままでと特に変わりはなかったですか。

渡辺 そうですね、ただ、防衛戦を二つ同時に行うというのは久しぶりでしたし、そういう将棋界全体の流れというのも確かにあるので、そこはやっぱりかなりきつい思いはするだろうなということは意識しながら1月からやってました。

Dsc_10922

――AbemaTV、ニコニコ生放送で棋王戦をご覧になっていた視聴者の皆様にメッセージをお願いします。

渡辺 棋王戦は2月から始まって、長い戦いだったんですけれども、今日結果を出すことができてほっとしているところです。8連覇ということで、かなり長い年月持たせていただいているタイトルですし、棋王のみの一冠になってしまったときも、棋王の防衛から巻き返すきっかけが作れました。今期が終わったばかりですけれども、さらに連覇記録を伸ばせるようにしたいというのが目標です。近いところでは、3月、4月とタイトル戦が続いていくので、それに向けて頑張りたいと思います。将棋ファンの皆様には、引き続きタイトル戦に注目していただければと思います。ありがとうございました。

Dsc_1108

以上で本局の中継は終了です。ご観戦ありがとうございました。第46期棋王戦もよろしくお願いいたします。

(睡蓮)