ミニインタビューに応じた両対局者は、間を置かずにファンの待つ大盤解説会場へ移動し、局後の感想を語りました。
木村 渡辺棋王、序盤からお話をうかがいたいと思います。どんな感じでしたでしょうか。
渡辺 うーん、まあ、よくある将棋なので。そうですね、昼食休憩が明けて戦いが始まってどうなるかという将棋でした。
木村 千田さんは後手番ながら意欲的な作戦だなというふうに感じましたけれども。
千田 バランス型でじっくりした長い展開にする予定でした。
木村 千田さんのほうから△4五歩(44手目)と仕掛けたといいますか、動いた感があるんですけれども、あの辺りは成算があったのですか。
千田 小競り合いというところでしょうか。そんなにドンパチするつもりはなかったです。
木村 渡辺棋王は「仕掛けられるな」とか感じていましたか。
渡辺 そうですね。(△4五歩と)こないで桂馬が跳べれば(▲3七桂)十分な形なので、「くるんだろうな」とは思ったんですけど。でも、こられると一本道になっちゃうので、それでどうだったのかなというところですよね。
木村 4六で銀が交換になった辺り(63手目▲4六同飛)は渡辺棋王が少しいいんじゃないかという話をしていたんですけれども。渡辺棋王はどうお感じでしたか。
渡辺 手順の流れはいいかなと思ったんですけど、ただ▲3五歩(73手目)に△同歩のときだけはちょっと分かってなかったんですけどね。それで取って(▲4四歩)、銀を入れられた(△3四銀打)ときが。
木村 まだ大変と。
渡辺 いや、どちらかというと攻めきれないんじゃないかと思っていたんですけど。
木村 そうですか。千田さんは先ほどのコメントでは▲2六角(67手目)がなんとかという声がちょっと聞こえたんですけれども。
千田 そうですね。その辺りで形勢判断にミスがあって。ちょっと苦しいと思っていたので、△2六馬(74手目)という悪い変化を選んでしまいました。
木村 渡辺棋王は「勝ちになったな」と思ったのはどの辺りでしょう。
渡辺 ▲3八歩(80手目)と受けたところは「形勢はよくなったな」と思ったんですけど、はっきりしたのは飛車回ったり(83手目▲4六飛)とかして攻め始めたときですよね。▲5四角(85手目)とか。
木村 最後にお二人とも、残り1局となりましたけれども、第5局の抱負をお聞かせください。まず渡辺棋王、お願いします。
渡辺 来週またすぐありますので、そうですね、永世棋王も懸かっていますけれども、1局しかチャンスがない(永世棋王になるには棋王位を連続で5期保持しなければならないので、一度失冠すると初めからやり直しになる)ので、悔いが残らないように指したいと思います。
木村 千田六段、お願いします。
千田 第5局までもう1週間ほどですので、それに向けて調整して臨みたいと思います。
(睡蓮)