2015年2月11日 (水)

羽生名人が仕掛ける

20150211b

本局は後手番の羽生名人が横歩取りに誘導しました。渡辺棋王は▲3四飛(図)と歩を取ってこれに応じます。序盤から後手が駒損する珍しい定跡ですが、先手はその代償に飛車の立て直しで手をかけることになるため、バランスはとれています。「自在流」で知られる内藤國雄九段が大舞台で用いたことから、プロ間で多く指されるようになりました。

20150211c

後手が中原囲いで低く構えると、先手はすばやく銀桂を繰り出します。先に仕掛けたのは羽生名人。△1五歩(図)と突いて戦端を開きました。以下▲同歩△1七歩▲同香△7七角成▲同金△7四飛と進行。

20150211d

羽生名人はじっと飛車を引いて手番を渡しました。先手陣は1筋にキズがあり、金銀もバラバラなので、まとめるのが難しいだろう、と言っているわけです。後手は歩の数が少ないのですが、陣形が安定しているのが強みです。先手は得た手番と、持ち歩の多さが頼みの綱。ここからの数手は勝敗を分ける急所になりそうです。

Img_1881

(今週の『週刊将棋』。棋王戦五番勝負の特集が組まれている)

(文)