2012年1月 6日 (金)

軽い跳躍、重厚な銀

20120106_38対局再開からおよそ30分、ついに広瀬七段の手が動いた。▲8六同歩△同飛(図)と進み、さてここで先手がどう動くか。広瀬七段の答えは▲5五歩△同歩▲6五桂(下図)。5筋を突き捨てて味をつけてから桂を跳ね出した。


20120106_41左桂は振り飛車にとって重要な駒で、これがうまくさばければペースをにぎれることが多い。もちろん、逆にタダで取られてしまうようなことがあれば目も当てられない。5筋を突き捨てたのは、いつでも▲5三歩を用意して、たとえば△4二角~△6四歩のような順に対策をとったと考えてよさそうだ。
控室では、青野照市九段が継ぎ盤の前で駒を動かしている。▲6五桂を見て、「こうしたらどうするんでしょうか」と△5四銀打を示す。と、ほとんど同時に郷田九段がまさにその手を着手した。「そうですか、やっぱりそうしますよねえ」と青野九段。△5四銀打は、広瀬七段が5筋を突き捨てた手をとがめようとする積極的な受けだ。


144

(文)