11時頃、広瀬七段は▲7五銀(図)とぶつけた。6筋でがんばっている銀を消してしまえば、狙いの5筋交換が実現する。非常にシンプルな考え方だ。実戦は以下△7五同銀▲同歩△6四角(下図)と進んだ。
今度は6筋に角を配置。5筋交換を防ぎつつ、伸びた7筋の歩に狙いをつけている。また△3五歩~△3六歩のコビン攻めも視野に入った、好点の角打ちだ。郷田九段はこの角打ちをノータイムで決断している。おそらくは事前研究のある形なのだろう。同一局面の実戦例は、ここまでの手順に違いはあるものの1局見つかっている。▲菅井竜也四段-△牧野光則四段戦(2011年2月、C級2組、段位は当時)がそれで、その将棋では▲6六角と先手が角で対抗している。結果は先手勝ち。公式戦では現れていないものの、水面下では相当に研究が進んでいると考えることができそうだ。広瀬七段はこの角打ちを、どのような対策で迎え撃つのだろうか。
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