2020年12月14日 (月)

Dsc_0337 ーー見事防衛を果たしました。おめでとうございます。今期の里見女流四冠の印象とシリーズ全体の印象をお願いします。

西山 ありがとうございます。去年に続いて里見さんとのタイトル戦でしたが、去年は居飛車を採用されていることが多くて、今回は戦型はいろいろ試されているのかなという印象を受けました。シリーズ全体としては、作戦負けになることが多かったので、やっぱり技術的に離されているなと思うことが多かったです。結果は3勝2敗で終わる形になりましたが、内容は負けの将棋が多かったです。

ーー開幕前に前期の三段リーグで不調になられ、この五番勝負を通して見直したいとのことでしたが、五番勝負を通してご自身の調子は上向いてきたでしょうか。

西山 2局目辺りから峠を越えたかなと。途中から不調という感覚はなくなって体調も万全で挑めました。

ーー今期の三段リーグはいかがでしょうか。

西山 そうですね、連敗が続いた時期にあった違和感みたいなのがなくなっているので、前向きに考えられそうかなと思っています。

Dsc_0340001 ーー改めて里見さんという関係についてお願いします。

西山 技術的な面でも私より全然上だという感じがしていて、途中でもそんな手があるのかと思わされるくらい、新しい感覚を学べるっていったら変ですけど、毎回そういうものがあって、対局中にけっこう反応しちゃうくらい真摯に将棋を勉強されているなと感じる存在です。

ーー諦めずに勝ちきったのは、相手が里見さんで、負けたらタイトルを失うという状況だったから、そういう力が出たというのもありましたか。

西山 相手が誰だからというわけではなくて、最終局で見せ場もなく投了するのは恥ずかしいというだけで、少しだけでもいい形をと思いながら指していました。

ーー先ほど、不調の時期があったということでしたが、調子が上向いた要因を教えてください。

西山 いろいろなことを試しましたね。その期間は今までの食事を見直したりだとか、勉強のスタイルを見直したりだとか、自己啓発の本を読んだりとか、誰かに相談したりとか、そういうのを通して結局いちばん腑に落ちたのが「将棋をやり続けていたら戻るよね」という結論でした。あまり余計なことを考えずに、途中からは将棋に打ち込めていたかなと思います。

ーーそれは誰かの言葉なのか、それとも自分で気づいたのですか。

西山 親しくしている方がおっしゃっていたんですけど、けっこう引っかかっていたので覚えていました。

Dsc_0344 ーー今年を振り返っていかがでしたか。また来年の抱負もお願いします。

西山 今年はいちばんの不調になった時期があって、その時期に不完全燃焼で負けてしまう将棋が多くて、あとで考えるとあまり必死になれていなかったかなというのがあるので、来年は目の前の対局は全部勝つくらいの気持ちで挑みたいと思います。

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Dsc_0280 (終局直後の様子)Dsc_0275 (西山女流王座は劇的な逆転勝ちで初防衛を果たした)Dsc_0287002 (敗れた里見香女流四冠)

【終局直後の西山女流王座のインタビュー】

ーーお疲れさまでした。一局全体を振り返っていかがでしたか。

西山 想定していた将棋ではあったんですけど、あまり考えていない手を指されて昼食休憩辺りは苦しくしたかなと思っていました。

ーー苦しい時間も長かったかと思いますが、最後よくなったと思ったのはどの辺りでしたか。

西山 △6八竜と取った手が詰めろだったので、指運ですけど勝ちになったかと思いました。

ーー3勝2敗で防衛となりました。シリーズ全体を振り返っていかがでしたか。

西山 けっこう幸運だったのもありまして、技術的にまだまだ足りていないなんて思うことも多かったシリーズでした。防衛できたことに関しては今回は苦しいと思っていたので、またこのタイトルを預かれることを大切にしてこれからも糧にして頑張りたいなと思います。

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【終局直後の里見香女流四冠のインタビュー】

ーーお疲れさまでした。一局全体を振り返っていかがでしたか。

里見香 けっこうじりじりとした展開になって途中は難しいながらも少し指しやすいかなと思っていたんですけど、優勢になってから慎重になりすぎたかもしれないですね。

ーー2勝3敗となりました。昨年は対抗形が多くて今年は相振り飛車が多かったですが、シリーズ全体を通していかがでしたか。

里見香 リードを奪ってから勝ちに結びつけるまでちょっと崩れてしまったので、そこは課題かなと思います。

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Dsc_0294 (感想戦は短時間で終了した)Dsc_0297001_2

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Dsc_0312(第10期リコー杯女流王座戦が幕を閉じた)



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ついに西山女流王座が逆転に成功したといわれています。大逆転です。△4八竜▲6六玉△6八竜が△6五金以下の詰めろ。後手玉は王手は続くものの詰みません。控室からは声にならない声が上がっています。

20201214130 手数は130手に達しました。西山女流王座が追い込んでいるようです。「これがひっくり返ることがあるんだね」と日本将棋連盟常務理事を務める鈴木大介九段。検討手順の中には後手が勝つ変化もあるようでした。まだ勝負はわかりません。

Dsc_0262 (控室の検討陣は盛り上がっている)

20201214120 時刻は17時を回りました。関係者が固唾をのんで見守る中、西山女流王座が実戦的に嫌な手を積み重ねて粘っています。控室の検討陣から「スッキリしない」という声も上がりました。現局面は△2一香や△5九竜などが気になります。やはり女流王座は簡単に勝たせてくれません。少し前は考えられなかったことですが、里見香女流四冠が正念場を迎えています。

20201214104 控室では終局に向けて各関係者が準備を進めていました。しかし西山女流王座は簡単に土俵を割りません。上図は△3八角と王手金取りに打ったところ。▲2七飛打に△4三角などの追撃があります。まだ先手が残していそうですが、油断できない状況になっているでしょうか。里見香女流四冠は時間を使っています。

Dsc_0173001 (簡単には諦めない)

2020121493里見香女流四冠が差を広げています。▲2一飛が攻防の詰めろ。▲6四桂△同歩▲6三金△同玉▲6一飛成以下の詰み筋です。西山女流王座は△4一歩と頑張りました。▲同飛成なら△5二銀と弾いて先手を取る狙いでしょう。女流王座が頑張りを見せていますが、形勢逆転は難しいと見られています。

Dsc_0242 (里見香女流四冠は着地を決められるか)