2015年7月28日 (火)

▲本田小百合女流三段-△里見香奈女流二冠戦は、14時55分、80手で里見女流二冠の勝ちとなりました。消費時間は▲本田女流三段2時間6分、△里見女流二冠1時間22分。

投了図

勝った里見女流二冠は2回戦で井道千尋女流初段と対戦します。

再開後の▲2九飛の後、△4六歩▲2四歩△1八角(第1図)と進みました。

△1八角

ここで本田女流三段は強気に▲2三歩成とし、△2九角成▲3二と△同玉(第2図)の進行を選びます。しかし棋士室の検討陣からは「(後手玉の)右辺が広いので余していそう」との意見が多く、後手がはっきり良くなったのではないか、と言われています。

△3二同玉

本田女流三段
(飛車を見捨てて敵陣に踏み込んだ本田女流三段。ここでうまい継続手があるか)

時刻は12時10分になりました。50手目△3七歩成に対し、本田女流三段の考慮時間が11分を記録して昼食休憩です。ここまでの消費時間は▲本田女流三段1時間3分、△里見女流二冠44分。

△3七歩成

昼食の注文は両者ともにありません。対局再開は13時です。

翌年、第3期の挑戦者決定戦は、里見女流三冠(当時)の5筋位取り中飛車から相穴熊へと進展。第1図の△5二金に本田女流三段が▲5六歩△同歩▲同金と仕掛けて戦いが始まりました。

△5二金

互いに強気な攻め合いが続く中、迎えた第2図。△6七銀は▲同金なら△7九とを見た捨て駒ですが、銀を取らずに▲7二歩と打ったのが鋭手で、以下△8二金▲7一歩成△7九と▲同金△7八銀打に▲6一飛が詰めろで先手優勢。このまま本田女流三段が勝ち切るかに思えました。

△6七銀

ところが最終盤。第3図の△5四同金に▲7五金打としたのが痛恨の失着。すかさず△6八龍と入られて逆に受けなしに追い込まれました(代えて▲4三飛成なら先手勝ち)。大逆転で挑戦権をつかんだ里見女流三冠は、その勢いで五番勝負を制し、女流王座獲得を果たしています。

△5四同金

里見女流二冠

両者のこれまでの対戦成績です。女流王座戦では2度の対戦があり、第2期(2012年)、第3期(2013年)といずれも挑戦者決定戦で顔を合わせました。結果は1勝1敗。

対戦成績


第2期の挑戦者決定戦は、本田女流二段の一手損角換わりに里見女流四冠の早繰り銀という戦型でした(いずれも肩書きは当時)。これに対し、本田女流二段は△4二飛から右玉に構えて対抗します。互いに難しい駒組みが続く中、里見女流四冠の▲8六歩が疑問手(第1図)。これが大きなキズとなってしまいました。

▲8六歩

その後、戦いが始まり本田女流二段が桂得を果たします。迎えた第2図、その得した桂を△5二桂と打ったのが好判断で、以下▲4六飛△8五歩と玉頭攻めを間に合わせて▲8六歩を咎めることに成功しました。

▲4四飛

そして終盤。里見女流四冠が猛烈な追い込みを見せますが、第3図▲6八歩の中合いに焦らず△4四銀と引いて、▲5三銀△同銀▲7三金△5一玉▲5三桂成と、先手に金を使わせてから△6八飛成を決行して一気に寄せ切りました。この対局で初のタイトル挑戦を決めた本田女流二段は三段に昇段しています。

▲6八歩