2014年7月11日 (金)

Imgp0640 (再開時の甲斐女流二冠)

63_2 先程松尾七段の解説にあった通り、猶予がない先手は後手に動かれる前に端から動いていきました。先手は香や桂が持ち駒に入れば、4四の地点に打つ攻めが見えています。【1図】

69 単に▲1四歩と打つと△1二歩と受けられてしまうので、▲1二歩△同香の小技を入れて▲1四歩に△1二歩と打たせないようにするのがテクニック。【2図】甲斐女流二段は細い攻めを上手く繋ぎきれるかどうか。もちろん、先手の攻めが切れれば後手有望。

15時過ぎ、まだ難解な中盤戦が続いています。

本日、東京・将棋会館で行われる対局の立会人を務めるのは松尾歩七段。
14時頃の局面について、松尾七段に見解をうかがった。

Imgp0641 (PCの画面で棋譜を確認する松尾七段)

58松尾七段「△3三銀と引いた時は後手の角が使いづらく重たい形かなと思っていたのですが、現局面は△1三角から上手く活用できています。最初から角は端から使う予定だったのでしょうね。後手玉は堅くまとまっていますし、△1四香などで歩を補充できれば角の利きを生かして△5八歩▲同飛△5七歩▲5九飛△5六飛と銀を取る狙いもあります。相手の手に乗って上手く指していると思います。対する先手ですが、端を逆用されてはいいところがなくなってしまうので、ゆっくり陣形を整え直すような余裕はありません。現在の局面はほぼ互角だと思いますが、先手は上手くまとめるのが大変で後手に針が振れやすい感じがします」

どちらがリードするか。ここが中盤の勝負所のようだ。

49 甲斐女流二冠が▲5五歩と打ち、本格的な戦いが始まりそうな局面で昼食休憩の時間となった。

ここまでは清水女流六段が受けに回る展開となっているが、玉のいる右辺では我慢をして、左辺から△7七飛成~△7六歩などと戦いを起こすのを楽しみにしているのだろう。

対局再開後は、どこで後手が反撃に出るかがポイントとなりそうだ。

ここまでの消費時間は▲甲斐1時間、清水△46分。(持ち時間、各3時間)
対局は13時に再開される。

Imgp05880 (朝の対局室)

22 22手まで進んだ【1図】は、両者にとって指定局面とも言える局面。
今年の4月から5月にかけて両者によって争われた第25期女流王位戦五番勝負でも2回現れており、1回目(第1局)は千日手、2回目(第3局)は先手の甲斐女流二冠が激しい攻め合いの末勝利している。

この短期間に3回目。両者に十分な研究や改善案があると見るのが自然なところだろう。
甲斐女流二冠が続けて結果を残すのか、それとも清水女流六段がリベンジを果たすのだろうか。

25 【2図】は、甲斐女流二冠が25手目に▲5九飛と引いて前例から離れた局面。
自身が勝利した第25期女流王位戦五番勝負第3局では▲3六歩△7四歩▲5五歩と仕掛けていたが、自分から前例と別れを告げた。
▲5九飛も自然な一手だが、本譜は甲斐女流二冠の誘導によって、緩やかに前例とは違う展開に進み始めた。

将棋会館1階の販売ブースや、公式オンラインショップ(http://www.rakuten.co.jp/shogi/)では、本局を戦っている清水女流六段の扇子も取り扱っている。

Imgp0607 清水女流六段が揮毫したのは、「一歩氷心」。
「一歩一歩大切に進む、清い気持ち」といった意だ。

Imgp0615 清水女流六段だけではなく、様々な女流棋士の扇子が扱われている。

Imgp0609 (もちろん、男性棋士の扇子も取り扱い豊富。棋士によって揮毫される言葉は様々で、それぞれの個性を感じることが出来る)

Imgp0610_2 (中には、羽生善治名人と佐藤康光九段の百番指し記念の直筆扇子といったレアアイテムも)

※この記事の写真はリコー社製一眼レフカメラ、PENTAX K-30で撮影しています。

Imgp0590_2 (甲斐女流二冠、本局の作戦は先手中飛車)

26 2手目に△8四歩と居飛車を明示した清水女流六段に対して、甲斐女流二冠は8手目に▲5八飛と中飛車に構え、本局は中飛車と居飛車の対抗型となりました。

※この記事の写真はリコー社製一眼レフカメラ、PENTAX K-30で撮影しています。

両者による対戦成績は、13勝13敗とがっぷり四つ。両者相譲らずといった格好だ。
2人の対戦では記憶に新しいのは、今年度に入って行われた第25期女流王位戦五番勝負。結果は3勝1敗(1千日手)で甲斐女流二冠がタイトルを防衛した。
本局も熱戦が期待される。

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Imgp0595 (甲斐女流二冠の初手は、▲7六歩)

Imgp0600 (清水女流六段は、△8四歩と居飛車を明示した)

※この記事の写真はリコー社製一眼レフカメラ、PENTAX K-30で撮影しています。