2022年2月 6日 (日)

K1_135先手玉は後手陣に入っていますが、大駒が1枚しかないため、仮に相入玉になっても点数で勝てません。形勢は後手勝勢です。渡辺棋王は公式戦5連敗中でした。本局を制すれば12月24日以来の公式戦勝利となります。

(牛蒡)

K1_115▲7四歩で図。評判は後手優勢です。実戦は(1)△5六桂と踏み込みました。6四に駒を打つ空間を作っています。先手は馬と竜を失うことなく入玉するのが理想ですが、上から押さえ込まれそうな状況です。

ほかには(2)△8六成桂も有力そうでした。△8六成桂▲7三歩成△8五成桂で竜の処置が難しく、以下▲7七竜は△7六歩、▲7四竜は△5五歩(▲同歩は△5四銀打から詰み)、▲6四竜は△同銀▲同玉△4三飛が厳しそうでした。

(牛蒡)

Dsc_0606 

K1_103王手角取りが掛かりました。渡辺棋王は長考しています。△4二歩と△4二金の比較でしょうか。▲7五飛成から▲4五竜という変化があるため、4二の受け方は重要です。森内九段は図から生じる変化のひとつを解説しましたが、その結論は「先手が勝っていそうだけど接戦」でした。逃げきりたい先手、追いかける後手のフルマラソン。まだ相手の背中が見える距離にあるようです。

(牛蒡)

K1_087現地の大盤解説会では、青野九段と森内九段が「逆転した気がする」と声をそろえます。先手がよくなった、ということです。この少し前、後手は8八金型に対して△8七歩▲同金△3九飛としたのですが、歩を渡したことで▲8五歩と飛車を止められてしまいました。このあたりも手の流れはあまりよくなく、苦心の順だったのかもしれません。その後に△8六歩▲7七金寄を利かしたものの、図の局面は後手から厳しい攻めが見当たりません。少し前とは立場の入れ替わった両者。再逆転はあるでしょうか。

Dsc_0602(現地解説会)

(牛蒡)

K1_077△8七角に▲5三とで図。渡辺棋王は頭をかいたり、首をひねったりと、これまではあまり見られなかった動きが増えました。6四銀を素通りし、4三銀を取りにいく▲5三とは、好手のようです。渡辺棋王は軽視していた可能性があります。△7八角成で飛車は取れますが、「▲7八同玉がいい形なので、後手はあまりうれしくないですね」と青野九段。

Dsc_0461(朝の渡辺棋王)

(牛蒡)

K1_070評判は依然として後手よし。早い終局もあるかと青野九段は話しています。形勢が大差というのではなく、「考えるところがあまりない」ことが理由のようです。逆転を狙う先手としては、複雑で間違えやすい局面こそ望ましく、指し手が分かりやすい局面が続くようだとつらい状況といえます。

Dsc_0592(モニターを見ながら解説する青野九段)

(牛蒡)