2023年3月 5日 (日)

0305073▲7七玉! 6八にいた玉を7七に上がりました。
まさかやらないだろうと思われていた手だったので、控室の面々は「やった」「やりました」と驚きの歓声。狙いは▲8六玉です。今期決勝トーナメントの対伊藤匠五段戦でも藤井竜王は入玉を決めています。リスクの高い形にあえて飛び込み、驚異的なしのぎと見切りで勝った将棋で、ある棋士は「異次元の将棋」と評していました。

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(牛蒡)

深浦九段に午前のまとめと今後の展望を聞きました。

0305038_1深浦九段「渡辺棋王が角換わりの4一飛型を選ばれたのは少し意外でした。渡辺棋王は積極的な作戦が多く、また駒の活用を重視する方ですが、本譜は受けに回る作戦ですし、4一飛型ですべての駒を働かせるのは難しいですから」

0305056_2深浦九段「ただ、8一に飛車が戻ると、全体の駒を使いやすくなってきます。なるほどと思いました。とはいえ5三玉型はバランスを崩しやすいので神経を使う展開ではあります」

0305067_3深浦九段「藤井竜王の指した▲8四歩(3図)は▲7七桂から▲8九飛、▲7七桂から▲8五桂など、左辺の駒で打開しようという意味です。休憩明けの△7五歩▲8五銀△8六歩(4図)は先手の動きを牽制しています。△8六歩にどう指すか。先手もかなりプレッシャーを受けていますが、藤井さんのことですからギリギリのきわどいところを突いてくると思います」

0305070_4△8六歩が指されたのが13時48分。消費時間は▲藤井48分、△渡辺2時間14分。
藤井竜王は△8六歩に長考しています。▲7四歩は入りますが歩切れになります。△4三玉に▲2二歩を残しておきたいので悩ましいところです。▲7七桂(次に▲8九飛など)もキズになり得ます。ノーリスクの手はありません。

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(牛蒡)

0305_067_2図の局面で渡辺棋王が1時間13分使って昼食休憩に入りました。消費時間は☗藤井40分、☖渡辺1時間36分(持ち時間は各4時間)。休憩時間は12時から13時。昼食の内容は次の通り。

藤井竜王=「海の幸重」
内容:マグロ、ブリ、タイ、いか、たこ、ホタテ、サーモンの酢しめ、南蛮海老、アナゴ、イクラ。茶碗蒸し、キャベツと浅利のうま煮、ご飯(新之助)、味噌汁。

渡辺棋王=「小さな点心
内容:鮭・鰆の焼物、玉子焼き、海老真丈、海老のツヤ煮、ブリのカツ、天ぷら(レンコン、しし唐)、ほうれん草の浸し、茶碗蒸し、ブリの造り、キャベツと浅利のうま煮、ご飯(新之助)、味噌汁、抹茶プリン。

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(牛蒡)