後手が抜け出す
後手が中盤の難所を乗り越え、視界が開けてきました。1図で△7七桂成が好判断。以下▲8四歩には△7六歩で攻めがつながります。後手は飛車を渡しても矢倉の堅陣で耐えられます。実戦は▲7七同金△8五飛▲8六歩△8一飛と進んで2図。
2図で▲7四とや▲7六飛は△4二角で後手よしの評判です。たとえば▲7四と△4二角▲6六飛は△7一飛で先手は歩切れが痛く(歩があれば▲7三歩で何事もない)、以下▲4六桂△6五桂は後手の攻め合い勝ちが濃厚です。2図で「先手の指し手が難しい」といわれています。2八角を押さえ込まれている点も先手苦戦の理由のひとつです。
中盤の難所
少し前までは△6四角が後手の狙い筋でした。後手のほうが手持ちの角を有効に使えそうだったからです。しかし、伊藤七段が7筋で動きを見せたことで、にわかに状況が変化しました。図から△6四角▲同角△同歩は先手の手番。▲7三歩成△同桂▲7四歩を絡めて、先手が攻めていけそうです。後手としては、もはや△6四角は指しづらく、△5五歩が予想されています。
ただ、△5五歩だけで事が収まるものでもなく、その後も難しそうです。「一手一手に分岐があり、間違いは許されない。中盤の難所です」と広瀬九段。藤井棋王は長考に入りました。伊藤七段は残り49分。藤井棋王は1時間28分を残していましたが、この長考で残り1時間を切りそうです。
指導対局
検討風景
午後のおやつ
伊藤七段が長考中

現地では現在、島九段と長谷部五段が大盤解説を務めています。後手の2歩損と歩切れ、先手陣の形の悪さ(2六銀・3五歩・3六飛)などをポイントに解説していました。
図の局面。後手は次に△8六歩▲同歩△同角で歩切れ解消を狙っています。以下▲8七歩△6四角▲同角△同歩と進むと、互いに角の打ち込み(▲6三角と△2七角)が生じますが、△2七角のほうが大きな手になりそうです。たとえば△2七角に▲3九飛は△4九角成▲同飛△3八金▲5九飛△4八金で飛車が詰みます。2六銀・3六飛の形の悪さがたたっています。
したがって先手は図で△8六歩を防ぎたいのですが、味のよい受けがあまり見当たりません。最も自然な▲7七銀は△5二飛▲4六角△4五歩が気になります。
先手は3五歩の形もあまりよくありません。歩がひとつ伸びて3四歩型であれば、▲2五歩△1三銀▲3五銀で一気に先手が好形になるのですが……。「▲3四歩の1手が足りていないから(後手は2歩損でも)均衡が保たれているのですね」と島九段。図で▲3四歩はもちろん△8六歩です。
▲7四と(1図)に角を逃げると(どこに逃げても)▲6四と△同角▲7二飛成がありました。そこで藤井棋王は図から△6五銀と踏み込みます。以下▲6四と△7六銀▲同金に△7一飛(2図)。先手の歩切れを突いており、依然として後手優勢とみられています。
しかし、伊藤七段も勝負手を放ちました。2図で▲7四と!のタダ捨てです。






控室では棋士数人が継ぎ盤を囲み、図の局面を検討していました。後手持ちの声が多かったように思います。




