終局直後の様子
【伊藤七段の談話】
――中盤あたりは難しい将棋だったと思います。序盤、中盤あたりまでの形勢はどのように思われていましたか。
伊藤 相掛かりから手将棋模様で、構想力が問われる将棋かなと思っていました。
――▲5五銀(71手目)と踏み込んでいきましたが、どのあたりで優勢になったと感じましたか。
伊藤 △2三銀打(80手目)と打たせる形になって少し指しやすいのかなと思っていました。
――全体を振り返って。
伊藤 やはり中盤の構想の採り方が難しい将棋だったかなと思います。
――今期の棋王戦について振り返ってください。敗者復活戦に回ってからの挑戦権獲得になりました。
伊藤 苦しい将棋もかなり多かったので、挑戦という結果になって運がよかったのかなと思います。
――棋王初挑戦について、今のお気持ちは?
伊藤 1敗して挑戦は厳しいと思っていました。挑戦できてよかったと思います。
――竜王戦で戦ったばかりですが、藤井棋王との戦いについていかがでしょうか。
伊藤 1度、タイトル戦を経験して、またタイトル戦に出たいという思いがより強くなりました。今回、挑戦できてうれしく思います。
【広瀬九段の談話】
――本局を振り返って。ポイントはどのあたりでしたか。
広瀬 手将棋ですので、後手のほうが苦労が多い展開ではあったのですが……。比較的いい勝負なんじゃないかなと思っていたのですが、どうしても陣形が見慣れないところがあるので。どこかで方針を誤ったと思うのですが、それがどこだったか正直わかっていないです。
――今期の棋王戦を振り返って。
広瀬 途中で大逆転の将棋もあって。本来はあまりここまで勝ち上がる実力では今はないと思っていました。挑戦しそうなだけで上出来といいますか。挑戦者決定戦第1局を勝ちきれなかったことがすべてでしたね。
(琵琶)
伊藤匠七段が挑戦権を得る

105手まで、伊藤七段が広瀬九段を下しました。終局時刻は19時10分。消費時間は▲伊藤3時間40分、△広瀬3時間51分。挑戦者決定二番勝負は伊藤七段が制して、藤井聡太棋王への挑戦権を得ました。五番勝負は2月4日(日)富山県魚津市「新川文化ホール」で開幕します。
(八雲)
伊藤七段が勝勢に

▲5六飛に対して△5五歩▲同飛△同金▲同角△4九飛▲8八玉△5三歩に▲6四角(図)と進みました。飛車取りと次の▲5四銀が厳しく、先手がリードを広げています。控室で検討する勝又七段は「先手勝勢」と話しています。後手には何らかの誤算があったのかもしれません。
(琵琶)
先手の大駒が躍動

▲6六角に対して広瀬九段は△4二玉(1図)と上がりました。以下▲2四歩△同歩△同飛△2三銀打▲2六飛△2四歩に▲5六飛(2図)と飛車を中央に転回したのです。銀を2筋に打たせて薄い中央に方向転換しました。以下、実戦は△5五歩に伊藤七段は▲同飛と強く応じ、△5五同金▲同角と進んでいます。先手の大駒が躍動しました。伊藤七段が好調です。

(琵琶)
先手ペースに

▲5六銀に対して広瀬九段は△7五歩(1図)と反撃に転じました。相手の角頭を攻めていきます。▲7五同歩には△7六歩と打って▲8八角と引かせることで先手玉を狭くします。対して伊藤七段は▲4四歩と打ち、以下△3四銀▲5五銀△6五桂に▲5四銀と攻め合いに出ました。△7七桂成には▲6三銀成と金を取って後手玉に迫ることのようです。実戦は▲5四銀に△同金▲6六角(2図)と進んでいます。先手は次に▲4三銀の打ち込みや、▲6三銀△5三金に▲5六飛といった攻め筋が目につきます。控室では先手ペースと見られています。広瀬九段としては先手の攻めをどう跳ね返していくのか、踏ん張りどころです。

(琵琶)










