2015年2月21日 (土)

Dsc_2980 (両対局者へのインタビュー)

―お互いの印象を教えてください。

渡辺 羽生名人とは60局以上戦っていますし、みなさんもよく知っている有名な方ですから、改めて印象というものはありません。棋王戦五番勝負も第2局、この金沢は3年連続で来させていただいているのですが、比較的相性のいい場所(3戦3勝)なので、それを頼りに頑張りたいと思います。

羽生 となりに本人がいるのに印象と言われても困るというのが正直なところです。いや、でも、確かにずいぶんと対局していますけども、毎回いろんな形になるので非常に楽しみですし、もちろん大変な相手とも思っています。

―明日の意気込みを聞かせてください。

渡辺 今日はこんなに多くの方にお越しいただきました。明日の大盤解説はすでに200人以上のお申込みがあったと聞いています。土曜なので大勢の方にご来場いただけると思います。地元の方だけでなく遠くからいらっしゃる方も多いと思いますので、満足していただけるような内容の将棋を目指して、そして結果も求めて頑張りたいと思います。

羽生 3週間後に北陸新幹線が開通するという、非常におめでたい時期にこちらで対局できるのを非常にうれしく思っています。7年前(第33期棋王戦の金沢対局)にこちらに来たときに「もうすぐ開通します」と聞いた記憶があります。そういう歳月が経ったんだなと。地元の方にとっては待ちに待ったということで、自分にとっては棋王戦が待ってくれているのかは分からないですけども、明日からは全力を尽くして面白い将棋が指せるように頑張りたいと思います。

―石川・金沢の印象を教えてください。

渡辺 金沢では何度も指させていただいていますが、棋王戦は毎回この時期ですので、ブリを食べるのがいつも楽しみです。ブリと聞いて会場のみなさまから「あー」という声が上がりました。いろんな対局場がありますが、ここに来るときは食事を楽しみにする気持ちが特に強いです。もちろん観光ではなく対局で来ているわけですが、旬のものを食べて帰るのを毎回楽しみにしています。

羽生 そうですね、こちらはなんといっても魚介が有名です。また「加賀」ということで伝統的なものが今も残っています。街並みも落ち着いていて風情がある場所だと思ってます。対局があるのでゆっくり見てまわることはできませんが、気持ちが落ち着く街だという印象を持っています。

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―会場の子どもたちからも質問を聞きたいと思います。質問がある子はいませんか。

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―(小学3年生男子)羽生善治さん、好きな戦法はなんですか?

羽生 好きな戦法はね、横歩取りって分かる? 指したことあるかな? やってみてね!
―(小学3年生男子)明日のおやつはなににしたんですか?

渡辺 明日はケーキをいただきたいと思います。

羽生 私もケーキを注文しました。

―(小学6年生男子)対局に負けたときはどうやって気分転換しますか?

渡辺 そうですね、家でテレビを見たり……普通ですね。サッカーが好きなので、それを見て気分転換します。

羽生 まあ私は何もしない……ぼんやりしてます、はい。

―(小学3年生男子)一番強くなるとしたら、詰将棋、棋譜並べ、実戦のどれだと思いますか?

渡辺 それは非常に難しい質問です。これだという答えはないと思うんですけど、そうですね、自分が好きな勉強をした方がいいと思います。嫌いな勉強はなかなか続かないので。これなら僕でもできるという勉強をいっぱいするといいと思います

羽生 君は3年生? うん、なにをやっても強くなるから!

Dsc_3042 (「なにをやっても強くなるから!」。羽生名人の言葉に場内が沸く。このあと、対局者は退場した)

(写真=紋蛇、書き起こし=牛蒡)

(紋蛇)

前夜祭では、多くの棋士がファンと交流していました。

Dsc_2913 (対局者の前には行列ができた)

Dsc_3064 (石田和九段)

Dsc_2910(島九段)

Dsc_2928 (稲葉陽七段)

Dsc_2922 (関浩六段)

Dsc_2919 (井道千尋女流初段)

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(紋蛇)

Dsc_2879 (主催者挨拶 砂塚隆広 北國新聞社常務取締役 )

毎年ここで前夜祭のごあいさつをさせていただいておりますが、今年は例年にもまして出席者が多いように思います。新幹線開業まで1カ月を切りまして、来月の20日から4日間、「平成中村座」という中村勘九郎・七之助兄弟の歌舞伎を開催いたします。これが私どもの今年の最初の柱だと思っていましたら、実は今日が最初の柱だったなと改めて思っております。当社の社長とも「素晴らしい顔ぶれで役者がそろったね」という話をして会場にまいりました。
これは例年のことですが、渡辺棋王に「前夜というのは緊張しませんか」とうかがうと「いや、平常とあまり変わらないですけど」とおっしゃるんですね。今から55年前、昭和35年3月、栃若時代という大相撲の時代がありました。栃錦と若乃花が全勝で千秋楽をぶつかるということがありまして、若乃花が勝ちました。私はご本人にインタビューしたことがありまして、「全勝優勝をかけた前夜はどのような心境でしたか。新聞などを読みますと『平常心だ』と書かれていることが多いですが本当ですか」と聞きましたところ、「いや、実はなかなか寝れなくて、前夜は映画館に行った。しばらくして館内で目が慣れてきたら、前に相撲取りの後ろ姿が見えた。よく見たら明日の対戦相手の栃錦だった。あいつも寝れないんだなと思った。新聞に書いてあることと本心というのは、微妙に違っていたんじゃないですか」というお話をされました。ただ、今、お二人の表情を見ていますと、やはり平常心なのかなとも思っております。

明日はいよいよ第2局が始まります。私どもの新聞には「金沢で第2局 決断の渡辺か 粘りの羽生か」とあります。これはひっくり返しても当てはまるのではないかと思います。棋史刻む名勝負ということで、書き手も興奮しながら書いたような気がします。

明日は13時半から北國新聞会館の20階で大盤解説があります。明後日はちびっ子たちを対象にいたしまして「北陸ジュニア棋王戦」という大会を開きます。こちらも例年以上の参加者に来ていただけるのではないかと思っております。

最後になりましたが、棋王戦第2局の開催にあたりまして、日本将棋連盟ならびに石川県支部連合会のみなさま、関係者のみなさまには大変お世話になりました。本日はようこそお越しいただきました。ありがとうございました。

Dsc_2889 (主催者挨拶 島朗 日本将棋連盟常務理事)

本日はお忙しい中、かくも多数のみなさまにお集まりいただきまして、本当に感謝申し上げます。この歴史ある棋王戦を毎年のように開催いただいております北國新聞社のみなさま、また、地元の方々のご協力のおかげで、毎年素晴らしい勝負が展開されています。ファンのみなさまにも喜んでいただいているものと思います。

渡辺さんと羽生さんの対戦は、将棋ファンが今いちばん見たいカードだと思います。将棋界ではどの時代も若者が強いといわれるのですが、私の棋士生活を振り返ってみても、20代の棋士がこれだけ大きな壁を持つ時代というのはなかったと思います。この二人が棋王戦で戦うのは本当にうれしく、明日の対局を興味深く思っております。熱戦を展開していただけると思います。みなさまも明日の対局を楽しみにしてください。

また、こちらでは北陸ジュニア棋王戦を毎年開催していただいておりまして、本当にうれしく思っております。私は棋士のなかでいちばん地方に行っている棋士だと思いますが、どこに行っても子どもの将棋ファンが増えていると感じます。これは将棋文化を高めようという地元のみなさま、そして北國新聞社様のご理解があってのことだと思います。将棋大会の準備・運営は、日本将棋連盟や棋士の力ではなく、地元のみなさまの活動が大きいと思っています。先ほど砂塚常務のお話にもありましたが、石川県支部連合会のみなさまに心より感謝申し上げます。子どもたちが将棋を指すのは強くなりたいからだと思いますが、保護者のみなさまにとっては、将棋に付随する礼儀、あるいは日本が保ち続けてきた美しいもの、それを子どもたちに伝えたいという思いからではないでしょうか。渡辺さんと羽生さんの対局を見ていただいて、内容だけでなく所作や振る舞いから子どもたちが何かを感じてくれる、そのような棋王戦・北陸ジュニア棋王戦になることを願っております。本日はありがとうございました。

Dsc_2902 (乾杯の音頭は、田谷陽司 北陸放送事業担当局長)

(写真=紋蛇、書き起こし=牛蒡)

(紋蛇)

2015年2月20日 (金)