森下九段に聞く 図の▲5四銀成の局面で、大盤解説会から戻った森下九段に現局面の印象を聞いてみた。 「形勢に関しては、まだ五分です。そんなに差がついているとは思えません。ただし、ゆっくりとしていると後手が良くなりそうです。この将棋は渡辺竜王が耐えましたね。△9四飛などは腰の入った一着です。ついつい手を出したくなる局面でしたから」と語ってくれた。 (対局室に飾られている(故)大山康晴十五世名人の書。局面はまだ調和が保たれているようだ) (吟)
大長考の末に 1時間22分の大長考で△9四飛と1つ飛車を引く。△9四飛までの消費時間は▲郷田棋王2時間34分、△渡辺竜王3時間10分。渡辺竜王はこの大長考で1時間を切って残り50分に。「パスですね、これは。▲2七香なら△9八歩で反撃に出ようというものです」と木村八段は即座に反応した。(棋譜用紙には82分の大長考が記されている) (吟)
再び大盤解説会場へ ▲9七歩に渡辺竜王が大長考中。解説は立会人の森下九段にバトンタッチ。「△8二香でしょうか。△9四飛や△9二飛、△5五桂もありそうです。まったく指し手は分からないですね。ただ先手の攻めは分かりやすいです。▲8四銀や桂を入手しての▲2五歩△同歩▲3七桂ですね」と解説。 (昨日に引き続き田中四段が「犀北館」に姿を見せ、大盤解説へ飛び入り参加) (大盤解説会への来場者はさらに増えて350人に)(吟)
垂涎の品 (昭和33年に「犀北館」で(故)升田幸三王将-(故)大山康晴前名人戦(第7期王将戦第7局)で使用された盤・駒がオークションに) (最低落札価格は100万円から。売上金の一部は福祉目的に寄付される予定) (吟)
指し手の難しい局面 図は79手目▲9七歩まで。渡辺竜王が1時間以上考えています。「渡辺さんがこれだけ考えているのは珍しい」と森下九段。森下九段や木村八段は後手十分と判定。5六銀が動けないことと端で駒をさばいたことが理由に挙げられます。しかし、図で指す手が難しい。「先手成功とは思えないけど、後手が忙しいかもしれません」と木村八段。銀桂交換で先手駒得。後手は香交換しましたが、桂が7三と8一でだぶっています。「後手は2枚の桂が使えないとよくならないと思う」と石川七段。少なくとも1枚はさばきたいところです。 (渡辺竜王が指す気配はない)