(先勝した藤井棋王)
□勝った藤井棋王のインタビュー
―― 序盤は時間を使って慎重に指されていた。午前中の進行について。
藤井 ▲3五歩(33手目)から仕掛けていって、こちらの攻め方と後手の受け方はどちらも複数の手段がありそうで、一手ずつ時間を使いながら指していました。昼食休憩前の▲5八金(55手目)が甘く、直後に△7五歩と突かれて苦しくなったような気がしました。そこで違う手を考えるべきだったように思います。
―― 午後に入っても難しい中盤戦が続いた。
藤井 桂を取られて、進んでみると厚みを作るのも難しく、形勢は苦しい時間が続いていたように思います。
―― 形勢がよくなったと感じたのは。
藤井 終盤は秒読みに入って、分からないまま指していました。こちらが攻めていく形になって、▲5四桂~▲4四桂(119手目~121手目)として攻めがつながりそうになったかなと思いました。
―― 一局を通じて。
藤井 桂を取られる形になってからは少し苦しめになっていたかと思いますので、その手前で少し工夫が必要だったと思います。
―― 高知での初対局について印象に残ったことは。
藤井 食事もおやつもおいしくいただきました。対局場の設営も丁寧に行ってくださり、集中して対局に臨めました。
―― 次局に向けて。
藤井 時間配分を含めていろいろ課題があったと感じているので、しっかり振り返って第2局以降に生かせたらと思います。
(増田八段は初陣で白星とはならず)
■敗れた増田康宏八段
―― △6五歩(32手目)からテンポよく指されていた。
増田 穏やかに指すと若干先手が損なので、仕掛けられるのは嫌でしたが、対策はしていました。後手としてまずまず戦えるのではないかと思っていました。
―― 午後に入って桂得になった。中盤戦はどのように感じていたか。
増田 桂得になりましたが、こちらは壁金の悪形ですし、先手陣の厚みもありますので、模様の取り方が難しかったです。ただ、△5二銀(72手目)は感触がよかったのでよくなった気がしましたが、△8七歩に▲3九飛(75手目)を軽視していました。そこで差が思ったように広がらず、動揺してミスが続いたように感じます。
―― 一局を通じて。
増田 中盤くらいまではかなり戦えているかと思いましたが、終盤は差がついてしまったので、藤井棋王との差を感じました。
―― 高知の印象は。
増田 高知の方々は優しく接してくださって、自分としては気持ちよく将棋を指せて感謝しています。
―― 次局に向けて。
増田 中終盤のあたりで差を感じました。次局までは期間が空くので、その差を埋められたらいいなと思います。