深浦九段に午前のまとめと今後の展望を聞きました。
深浦九段「渡辺棋王が角換わりの4一飛型を選ばれたのは少し意外でした。渡辺棋王は積極的な作戦が多く、また駒の活用を重視する方ですが、本譜は受けに回る作戦ですし、4一飛型ですべての駒を働かせるのは難しいですから」
深浦九段「ただ、8一に飛車が戻ると、全体の駒を使いやすくなってきます。なるほどと思いました。とはいえ5三玉型はバランスを崩しやすいので神経を使う展開ではあります」
深浦九段「藤井竜王の指した▲8四歩(3図)は▲7七桂から▲8九飛、▲7七桂から▲8五桂など、左辺の駒で打開しようという意味です。休憩明けの△7五歩▲8五銀△8六歩(4図)は先手の動きを牽制しています。△8六歩にどう指すか。先手もかなりプレッシャーを受けていますが、藤井さんのことですからギリギリのきわどいところを突いてくると思います」
△8六歩が指されたのが13時48分。消費時間は▲藤井48分、△渡辺2時間14分。
藤井竜王は△8六歩に長考しています。▲7四歩は入りますが歩切れになります。△4三玉に▲2二歩を残しておきたいので悩ましいところです。▲7七桂(次に▲8九飛など)もキズになり得ます。ノーリスクの手はありません。











図の局面で渡辺棋王が1時間13分使って昼食休憩に入りました。消費時間は☗藤井40分、☖渡辺1時間36分(持ち時間は各4時間)。休憩時間は12時から13時。昼食の内容は次の通り。



上図から△4二金が新しい手。前例は△4三金でした。前例を離れても藤井竜王の指し手は早く、▲2四歩△同歩▲6七桂はすぐに指されましたが、以下△6三桂は16分、▲8四歩(下図)は31分の考慮とペースダウン。ここから先はじっくりと指すことになりそうです。
▲8四歩に渡辺棋王は首をひねったり、うつむいたりと悩ましそうな様子で考えています。次の手は▲8四歩の31分を超える長考になるかもしれません。ただで取れる歩ですが、△8四同飛と△8四同金のどちらも自陣に空間ができます。角を持ち合う展開では怖いところです。8四の歩は、いわゆる毒まんじゅうなのでしょうか。





第1局から3局連続で角換わりになりました。対局開始から速いペースで進んでいます。藤井竜王は先手番で公式戦28連勝中(未放送のテレビ棋戦を除く)。渡辺棋王は難攻不落の藤井先手を破るためにどのような秘策を用意しているのか注目です。
9時45分、56手目まで進んでいます。前例は2021年から22年にかけて3局あります。流行形や研究の最前線からは少し外れた形といえるでしょうか。