感想戦終了後、対局室で防衛を果たした里見女流王座にインタビューが行われました。
――シリーズ全体を通して印象に残っている対局はありますか。
里見 第3局は不甲斐ない将棋でしたので、今日はそういうことがないようにという感じで臨みました。
――今シリーズは全局、中飛車でした。
里見 はい。全局、微妙に違う形で、いろいろな将棋を指すことができたと思っています。
――西山朋佳女流四冠とタイトルを分け合う状況が続きます。どのように受け止めていますか。
里見 女流王座戦が今年最後のタイトル戦でした。防衛できて、ひとつ結果を出すことができてよかったと思います。タイトル戦での課題もあるので修正したいです。
――どのような課題ですか。
里見 本局は力戦形に持ち込まれたなと思っていて。しっかり腰を落とさないといけないところや勝負どころで間違うことが多かったので、自分の甘さを痛感したところはあります。
――今年のタイトル戦を振り返っていかがでしょうか。
里見 女流王位戦から始まって、夏場からタイトル戦が重なって忙しいところもあったのですが、戦っていく中で出来不出来が目立っていたかなという気がするので、不出来の将棋を極力、なくせるようにコンディション作りをしていきたいなと思っています。
――西山さんとタイトルを4つずつ分け合っている状況です。来年はどういったことを目指しますか。
里見 いっぺんにダメにしてしまう将棋が多かったような気がするので、反省の残る1年だったかなと思います。タイトルの数は大事なのかもしれないですが、自分の欠点をなくせるように将棋を指していけたらと思っています。
――先を見据えて長いスパンでやっていくことを考えていらっやるのですか。
里見 タイトル戦が終わったので整理する時間が確保できると思うので、そのあたりを今後は考えていき、対局が増えてきたら対局に集中するようにできたらと思います。
――振り飛車をメインにやっていますが、別の戦型など戦法の面でテーマとすることは考えていますか。
里見 時間ができればいろいろな形を研究したい気持ちはあります。時と場合によるかなと思いますが。
――今シリーズで苦しい場面はどういったところでしたか。
里見 第1局では勝負どころでふいにしてしまいましたし、第3局は一方的な内容になってしまって反省が残りました。
――よかった点は。
里見 第3局から切り替えて本局に挑むことができたのはよかったかなと思います。
――3連覇して。
里見 女流王座戦は年の最後のタイトル戦です。それがまた来年も同じ形で将棋が指せるのは幸せなことかなと思っています。
――年が明けたら女流名人戦が始まります。抱負をお願いします。
里見 年明けに女流名人戦でタイトル戦が戦えることはすごく幸せなことですし、何かひとつでも得るものが多いようなタイトル戦にできればと思います。
以上で本局の中継を終了いたします。ご観戦ありがとうございました。
第14期もどうぞお楽しみに!








加藤女流四段の踏ん張りで難しい形勢と見られていましたが、1図から▲3五角が評判の悪い手でした。以下△6八金▲同角に△7八金が好手です。実戦は▲7八同銀△同角成▲7九金△同馬▲同銀△1三角(2図)と進み、後手が勝勢と見られています。1図では▲6七同金△同角成に▲4六角なら激戦だったようです。



△5九飛(1図)に対して加藤女流四段は35分の考慮で▲5三歩成としました。以下△同飛成に▲4六角(2図)と打ったのです。△4二竜には▲6四角が王手竜取りの切り返しになります。▲4六角は同時に6八金にヒモをつけた攻防手です。「魅せたねぇ」と藤井猛九段は驚きの声を上げました。形勢は難しく、白熱した終盤戦が展開されています。

図から里見女流王座は桂の利きに△7七銀と打ちました。▲7七同桂は△8九金、▲6七飛は△8八金までの詰みがあるため、先手は取ることができません。加藤女流四段は▲7九金と打ちました。以下△6八馬▲同角△同銀不成▲同金△5九飛と進んでいます。△5九飛では△1三角も有力そうでしたが、本譜は先手玉への寄せを見ながら▲5三歩成に△同飛成を用意した攻防の手順です。
里見女流王座は角を逃げず△5六歩(1図)と打ちました。検討陣が予想していた手です。以下▲4二成銀△5七歩成▲3五角△6八銀▲3一飛△5三歩▲5四歩△7九銀成▲同銀△6八金(2図)と進んでいます。△5六歩が好判断で、里見女流王座が手厚い攻めで穴熊攻略を目指しています。











