後手玉を少し薄くした里見女流王座、▲7九金(59手目)と引きました。と金が残るのでつらい手ですが、飛車を打たせないようにした辛抱です。以下△7七と▲同角△9三桂▲7三馬△7一飛が菅井八段の予想した一例で、自陣飛車で駒得を生かす方針を考えていました。加藤女流三段が指したのは△7七と▲同角に△8七桂! 異筋の桂です。
狙いは▲6八金上に△9九桂成で香の価値が高いというわけですが、駒台の桂を使って僻地の香を取りにいくのは筋悪の見本のような手で、神谷八段は「やっちゃいけない手と教わったよ」と驚きます。しかし検討してみると△9九桂成にあまり思わしい手がないようで、しばらく盤を見つめていた菅井八段は「意外といい手に見えてきました」と意外そうな表情。これでリードにつなげられれば△8七桂は妙手といえそうです。