ファンの前で振り返る
終局直後
■里見香奈女流王座
――今日の一局を振り返っていかがですか。
里見 攻める展開になったのでまずまずかなと思っていたんですが、△7二歩(42手目)のあたり、ずっと難しいかなと思っていました。
――▲6二金(61手目)からと金を作ったあたりでは。
里見 難しいと思ったんですが、後手のほうが気を使う展開かなと。やっているときはまずまずかなと思いました。
――2連敗のあと1勝を返しました。
里見 この将棋は反省してすぐ忘れて、まずは違う棋戦を頑張りたいと思います。終わったあとにこちらを考えて、力を出しきれるような状態で挑みたいです。
■加藤桃子女王
――今日の将棋を振り返っていただいて、いかがですか。
加藤 ずっとミス待ちのような感じで指していました。△8三銀(48手目)はあまりやりたくなかったのですが、代わる手もわからなくて……。仕方なく指していました。(先手の)攻めが切れるんじゃないかと思いながら指していたのですが、そのあとの方針が定まっていなかったので、それが悔やまれます。最後はチャンスが来た気がするのですが、逃してしまったのでしょうがないかなと思います。
――地元での負けとなってしまいましたが。
加藤 残念です。皆さん応援してくださったと思うのですが、次があるので。次、頑張ります。
里見女流王座が1勝を返す
第7期リコー杯女流王座戦五番勝負、第3局は117手で里見女流王座が勝ち、シリーズ1勝目を挙げました。終局時刻は17時51分。消費時間は、▲里見2時間56分、△加藤2時間59分(持ち時間は各3時間)。第4局は12月8日(金)に東京都渋谷区「将棋会館」で行われます。
ここまでの流れ
第1局と似た形から、▲7五歩(33手目)が工夫の攻めで里見女流王座がペースをつかみました。消費時間の使い方から、研究手ではとささやかれています。
5筋の拠点を確保した里見女流王座に対し、加藤女王も角を目標にして反撃。角を取りにいく△9四歩(50手目)から激しい戦いに入りました。
その後、里見女流王座が攻める中で指された、加藤女王の△3五歩(66手目)が疑問だったのではと見られています。実戦はここから▲4四桂△4八歩▲同金△2四桂▲4七銀と進み、控室で先手よしの声が高くなりました。後手は反撃を受け止められてみると、△3五歩の効果がそれほどなく、むしろ緩手になっています。
盤上に里見女流王座の攻め駒が多く、加藤女王の苦戦がはっきりしてきました。終盤で玉から遠い△8六歩(78手目)ではつらく、ここから里見女流王座がどう決めるかが注目です。
駿府城公園
駿府城は徳川家康が築城した城。現在は跡地が官庁や学校、公園として利用されています。徳川家康は将棋を愛好したことで知られ、初代大橋宗桂に俸禄を与えたことが名人制度の始まりといわれます。来年3月には、第76期順位戦A級最終一斉対局が浮月楼で予定されています。
【第76期将棋名人戦第0局(A級順位戦最終局):静岡市】
http://www.city.shizuoka.jp/143_000101.html
指導対局
おやつ
雨の庭園
浮月楼
対局場の浮月楼は、JR静岡駅から徒歩3分のところにある徳川慶喜公の屋敷跡。広い庭園は当時の面影を残し、現在は料亭や結婚式場として利用されています。隣接するホテルで宿泊も可能で、観光の拠点としても便利な場所です。
リコー杯女流王座戦五番勝負が浮月楼で行われるのは5年連続5回目(下記の肩書は当時)。これまでに名人戦や順位戦の舞台にもなっています。
第6期 第3局 加藤桃子女流王座●-○里見香奈女流四冠
第5期 第2局 加藤桃子女流王座●-○伊藤沙恵女流二段
第4期 第2局 加藤桃子女王○-●西山朋佳奨励会二段
第3期 第3局 加藤桃子女流王座●-○里見香奈女流三冠
【静岡市の結婚式場 浮月楼 | 観光・静岡】
http://www.fugetsuro.co.jp/