記者会見
感想戦終了後、記者会見が行われました。
青野「最終局は伊藤さんにもチャンスがありました。というより、勝ちなのではないかと思うところでしたが、加藤さんの貫禄といいますか、伊藤さんにとっては加藤さんに挑戦するだけでなくタイトルにも挑戦するという重みがあったという印象を受けました。
加藤さんは苦しくても粘り強く指して勝ちきったのは実力を発揮したのだと思います」
加藤「今回、防衛できてとてもうれしいです。番勝負を6局も、それも最高のライバルである伊藤さんと矢倉戦で勝てたことは大きな自信になりました。
対局は矢倉中心に指しまして、伊藤さんのよい局面が多く、よさも出たシリーズだったと思います。その中で戦っていて、課題が多すぎてこのままではいけないと骨身に染みて感じました。
昨年はタイトルホルダーとしてしっかりすることができなかったので、責任を果たしていければと思います」
以降は質疑応答です。
--今回伊藤さんとのタイトル戦でした。奨励会時代と比べていかがでしたか。
加藤「奨励会当時から矢倉や相振り飛車を得意にしていて、攻めをかわすのがうまいです。それに加えて、今回の番勝負では駒が前にくる攻め将棋になりました。 矢倉でも定跡形は指されなかったのですが、持将棋になった第3局では定跡形になって驚きました。 第3局のあとに同じ戦型で男性棋士を破って、充実していて番勝負に間に合わせてきたのはすごいと思いました。伊藤さんの強さを感じて、しっかりしないといけないと思いました」
--終局直後に泣いているように見えたのですが
加藤「泣いてはいなかったです。ちょっと鼻が……。最後は自玉が危なかったので読みきったのが大きかったです」
--課題があったとのことですが、具体的にはどのようなところでしょうか。
加藤「伊藤さんの矢倉は力戦になりやすいので、ちゃんとした対策を立てられませんでした。あと、定跡形を理解や整理できていないなと。変な自信で指していました。自分の土俵に引きずり込めなかったなと。第5局では駒が下がってしまって、前にいく将棋がさせませんでした。 読みも浅いので……。全体的にまだまだ足りないなと思いました」
(最後に古島正・株式会社リコー執行役員より、花束が贈呈された)
(撮影:紋蛇、書き起こし:銀杏)
感想戦
終局直後
(防衛を果たした加藤女流王座。女流王座は4期目の獲得となった)
--加藤女流王座、お疲れ様でした。一局の感想をお願いします
後手番でしたが、攻める態勢ができて自分らしい将棋が指せると思いました。しかしちょっと感情的に指してしまって。もっと読みを深くしないといけないと、指しながら反省していたんですけど……。最後は自玉が詰まないことを読みきって、見きれたのでよかったです。
--シリーズ全体を振り返っていかがですか
第6局まであるのは自分にない経験で、濃厚なシリーズでした。どの将棋も伊藤さんが押していて、伊藤さんのよさが出た将棋だったと思います。私が勝った将棋も負けていたことが多かったし、本当にどちらへ転ぶかわからないと思っていたんですけど、でも今日は絶対勝ちたかったので。シリーズ全体を通して充実していました。本当に勉強になって、今後に繋がりそうな番勝負だったと思います。
--これで女流王座を防衛となりました。感想をお願いします。
体調や技術面が不安定なところも多かったシリーズでした。しっかり指したいという気持ちがあったのにしっかりできなかったので、今度こそタイトル保持者としてちゃんと指したいと思います。
--伊藤女流二段、お疲れ様でした。一局の感想をお願いします。
そうですねぇ……。まずまずの展開だと思いましたが。うーん、明らかに最善手が指せていない、自分から悪くしている部分がありました。それが反省ですね。
--シリーズ全体を通していかがでしょう。
第6局ということで、年末年始は頭がいっぱいでした。ただ第6局まで指せたのが私にとっては印象的で。いままで本当にまさかまさかの連続で。シリーズは、自分にとってできすぎだったかなと思うんですけれども。しかしせっかく最終局まで来たので、もうちょっと……。加藤さんがおっしゃったように、私がよかった将棋もあったので、そこをちゃんと勝ちきれなかったのが、自分の実力不足なんだなと感じたシリーズでした。
--初タイトル獲得はなりませんでした
今回、タイトル挑戦できたのが自分にとってすごいいい経験になりました。なかなかできることではないと思うので、今後の成長にすごく繋がるんじゃないかなと思っています。これからまた、こうやって対戦ができるように頑張っていきたいと思います。
加藤桃子女流王座が防衛
加藤桃子女流王座に伊藤沙恵女流二段が挑戦する第5期リコー杯女流王座戦第6局は、17時21分に106手で加藤桃子女流王座の勝ちとなりました。消費時間は▲伊藤2時間59分、△加藤2時間26分。勝った加藤女流王座は3勝2敗1持将棋で防衛を果たしました。(銀杏)
寄せきれるか
図は▲8一竜と入ったところ。後手は銀桂を渡すと、▲3一銀からトン死する可能性があります。以下△1二玉は▲2四桂△同金▲9二竜△同香▲2二飛まで。慎重に考えて寄せなければいけません。
後手優勢
△6六桂が厳しく、後手優勢といわれています。後手は△7四銀と補充できるので、攻めが切れません。
16時30分ごろの控室
後手に攻めるチャンス
▲8六同飛に△6五銀が鋭い一着でした。
▲6五同歩は3三角の利きが通り、△9五銀から飛車を取られてしまいます。実戦は▲8三飛成と成銀にひもをつけて辛抱しました。
後手は△6六銀を切り札に、△8六歩の叩きなど手段が多いです。加藤女流王座はチャンスを迎えています。