2014年6月18日 (水)

8_1 (対局室となっている御上段の間。普段の対局だけでなく、タイトル戦の舞台にもなっている。第3期リコー杯女流王座戦では第4局が御上段の間で行われた。里見香奈女流王座がタイトルを奪取した一局だ)

8_2 (床の間には歴代永世名人の掛け軸が飾られている)

8_3 (本局で使用されているのは児玉龍兒師作、源兵衛清安書の盛上駒)

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長谷川女流二段は「突きにくいか」と言われていた▲5六歩(上図)を堂々と突きました。
△6四歩~△6五歩の早仕掛けを「やってこい」といっています。

▲5六歩以下、△6四歩▲4六歩△6五歩と進んで下図。
長谷川女流二段が用意していたのは▲5五歩の新手でした。
手筋としてはある手ですが、この局面では前例はありません。
伝統ある定跡に、新たな一手が刻まれました。
この手の成否が中盤戦の焦点になりそうです。

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▲5五歩の局面で貞升女流初段が考慮中にそのまま昼食休憩となりました。
対局は13時に再開されます。
昼食の注文は両者ともになしでした。

<消費時間>
▲長谷川 1時間2分
△貞升  1時間7分

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駆け引きの末、戦型はよくある四間飛車対居飛車急戦に落ち着きました。
アマチュアのファンにもなじみのある形です。
図が序盤のポイントとなる局面。
居飛車には大きく分けて(1)△7三銀~△8四銀の棒銀、(2)△6四銀~△7五歩の5三銀左急戦、(3)△6四歩~△6五歩の早仕掛けの3つの攻め方があります。後手陣は(1)~(3)のどれでも選べる形をしていて、先手の指し手に合わせて居飛車が有利になる形を選ぼうとしています。
振り飛車は▲9八香と上がっているのが注意すべき点で、香を上がった一手がマイナスにならないように形を選ぶ必要があります。(3)の早仕掛けの変化には▲9八香が損になってしまう変化があるため、棋士室では▲5六歩は選びにくいのでは、と言われています。

5_3 (棋士室を訪れている長沼洋七段。本戦入りをかけた一番ということで、本局の進行を注目している)

5_2 (長谷川女流二段)

2_1 (大阪の対局は1局のみ。本局は御上段の間で行われている)

2_2 (先に姿を見せたのは貞升女流初段。関東所属の貞升女流初段は大阪に遠征してきている。関西将棋会館で公式戦を指すのは初めてとのこと)

2_3 (記録係は高浜愛子女流3級)

2_4 (リコー杯女流王座戦では消費時間の計測にチェスクロックを使用する。秒単位まで考慮時間を計ることができるため、指し手のペースは早くなることが多い)

1_1 (初手を着手する長谷川女流二段。▲7六歩は対局が開始されてすぐに指された)

1_2_2 (対する貞升女流初段はすぐには指さない。宙を見上げ、指し手を確認するような仕草を見せる)

1_3 (3分ほど考えて△6二銀。序盤から揺さぶりをかけていった)

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10時、対局が開始されました。
長谷川女流二段は中飛車や四間飛車、貞升女流初段は居飛車を得意にしています。
初手▲7六歩に対し、貞升女流初段は△6二銀(上図)
2手目から揺さぶりをかけていきました。
△6二銀は▲2六歩からの居飛車や▲7八飛からの三間飛車を誘った手。
どちらの進行も先手が序盤からポイントを挙げることができそうですが、不慣れな将棋を指さなければならないリスクがあります。
長谷川女流二段は▲6八飛と指し、指し慣れた四間飛車を選びました(下図)。

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◆貞升 南(さだます みなみ)女流初段◆

女流棋士番号: 31
生年月日: 1986年4月19日
出身地: 東京都府中市出身
師匠: 堀口弘治七段
棋歴: 2003年 女流2級
    2013年 女流初段

<成績>
通算成績: 74勝69敗(0.518)
2013年度: 6勝6敗(0.500)
2014年度: 5勝1敗(0.833)

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◆長谷川 優貴(はせがわ ゆうき)女流二段◆

女流棋士番号: 44
生年月日: 1995年9月13日
出身地: 兵庫県明石市出身
師匠: 野田敬三六段
棋歴: 2011年 女流2級
    2012年 女流二段
タイトル戦登場回数: 1回

<成績>
通算成績: 23勝19敗(0.548)
2013年度: 9勝6敗(0.600)
2014年度: 1勝2敗(0.333)