2013年8月14日 (水)

20130814satomiitou140角取りと竜取りが残っている局面ですが、▲8六桂△同歩▲6七角が巧妙な手順。以下△8五桂▲6四竜と、角取りを解除しながら金を取ることができました。ついに先手が逆転したとの評判です。

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20130814satomiitou131▲5八飛成△同竜▲7六角の王手竜取りがかかりました。△8五角は▲8六桂で寄せられるので、後手は△8五歩と突いて竜を取らせるしかありません。

しかし、後手玉がすぐに寄るわけではないので、先手が明快に勝ちというわけではありません。まだまだ激戦が続きそうです。

20130814satomiitou99里見女流四冠が成銀を見捨てる勝負手を繰り出しました。以下△6三金▲5一飛△7一銀▲6四歩。

20130814satomiitou103△6四同金は▲5三角、△6二金は▲6三桂があります。受ける手がないならば、後手は詰めろをかけるか攻防手を放つしかありません。しかし、モニター前の検討陣は固まったままです。

Dsc_7691 (朝の里見女流四冠。勝負手を放った)

20130814satomiitou93△6三同金は▲5二飛の王手馬取りがありますが、後手は銀をもう一枚手に入れることが確実になりました。後手としては、うまく先手にプレッシャーをかけて寄せ合い勝ちを読み切りたいところです。

20130814satomiitou83図は▲4八金上と金を逃げた局面。里見女流四冠は5三金を取らずに我慢し、馬の利きから金を逃がしました。そこで伊藤1級は△5二金。

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棋士室では意外と言われました。△5八歩成から飛車を押さえ込むほうが自然で、▲6一銀の受け方がわからないからです。実戦は▲6一銀△6七馬と進んでいます。

20130814satomiitou86_2▲6一銀を打たせ、局面を急な流れにするのが伊藤1級の狙いでした。△6七馬は攻め合いを志向した手で、▲5二飛成△同飛▲同銀不成△5八歩成で勝とうとしています。一直線の攻め合いになれば銀冠の違い(端歩が入っている後手の方が堅い)が生きると判断したのでしょう。

手厚く受けることができる局面で、この踏み込み。伊藤1級はかなりの成算があって臨んでいると思われます。

20130814satomiitou65里見女流四冠は▲2七銀と玉頭を強化して辛抱。しかし、伊藤1級の巧妙な手順に角を切らざるえなくなりました。

20130814satomiitou70図は△3五同歩と角を取り返された局面。角銀交換の駒損ですが、さらに▲6六銀△7三桂▲3八金と辛抱を重ねています。

20130814satomiitou73駒を引き、離れ駒をなくしました。自分から攻めては勝てないことを認めた順ですが、ここで後手が攻め間違えれば反撃を狙うことができます。その機会が来るまで、しばらく受けに回ることになりそうです。

Dsc_7684_2 (初手▲7六歩を指す里見女流四冠。うまく粘ることができるか)

20130814satomiitou51_2里見女流四冠は▲8四銀とせずに▲6四歩と一歩交換。伊藤1級も5筋を交換し、互いに攻撃陣を再編しました。

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図は14時過ぎの局面。ここで△2六歩▲同歩△4五桂が好手と評判です。

20130814satomiitou64先手が▲8六歩とパスすれば、△2六銀が厳しいです。以下、▲2七歩には△3七桂成(参考1図)の強襲があります。

20130814satomiitou1440_2▲3七同銀は△2七銀成。▲3七同桂も△同角成▲同銀△2七銀成(参考2図)の強襲があります。

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伊藤1級の将棋の組み立てに、棋士室では「才能を感じる」「先手が相当勝ちにくい」が声があがりました。先手の角の手損に対し、伊藤1級が一本取ることに成功したようです。

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 (朝の伊藤1級。「うまい構想だ」と棋士室で絶賛されている)

20130814satomiitou47昼食休憩前、里見女流四冠は8八から上がったばかりの9七角を7九へ。8八→9七→7九と、一手損をしました。一体どういう狙いなのでしょうか。

「ここは角を引かずに▲6四歩から△同歩▲同銀△同銀▲同角(参考1図)と銀交換する手も自然でしたね。そこまで進むと、後手は角成りが受けにくいです」(棋士室に訪れた阪口悟五段)

20130814satomiitou1201「もしかすると、△8二玉と上がらせてから▲5七角と転換したほうがいいと判断したのかもしれません。玉の当たりがきつくなっているかもしれませんから」(阪口五段)

玉の当たりがきついとはどういうことなのか。例えば、△1四歩▲5七角△1五歩(参考2図)と進んだ局面。

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以下、▲8四銀△同銀▲同角(参考3図)。

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「こう進めば、次に▲9五歩からの端攻めが厳しくなっている可能性があります。後手は5三銀が働いていないのが気持ち悪いですね。守備に役立たないなら、せめて攻撃に働かせたいです」(阪口五段)

実戦は、47手目▲7九角から△4四銀▲5七角△3五銀と進みました。

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伊藤1級は▲8四銀を甘受する代わりに、先手の玉頭に圧力をかける手順を選びました。▲8四銀と出られる局面ではありますが、後手がカウンターを狙っているので難しいようです。