昼食休憩前、里見女流四冠は8八から上がったばかりの9七角を7九へ。8八→9七→7九と、一手損をしました。一体どういう狙いなのでしょうか。
「ここは角を引かずに▲6四歩から△同歩▲同銀△同銀▲同角(参考1図)と銀交換する手も自然でしたね。そこまで進むと、後手は角成りが受けにくいです」(棋士室に訪れた阪口悟五段)
「もしかすると、△8二玉と上がらせてから▲5七角と転換したほうがいいと判断したのかもしれません。玉の当たりがきつくなっているかもしれませんから」(阪口五段)
玉の当たりがきついとはどういうことなのか。例えば、△1四歩▲5七角△1五歩(参考2図)と進んだ局面。
以下、▲8四銀△同銀▲同角(参考3図)。
「こう進めば、次に▲9五歩からの端攻めが厳しくなっている可能性があります。後手は5三銀が働いていないのが気持ち悪いですね。守備に役立たないなら、せめて攻撃に働かせたいです」(阪口五段)
実戦は、47手目▲7九角から△4四銀▲5七角△3五銀と進みました。
伊藤1級は▲8四銀を甘受する代わりに、先手の玉頭に圧力をかける手順を選びました。▲8四銀と出られる局面ではありますが、後手がカウンターを狙っているので難しいようです。