2011年12月12日 (月)

546

539
■加藤桃子女流王座への質問
―― 五番勝負全体を振り返っていかがだったでしょうか。
加藤 第4局が大逆転負けだったので、終盤は震えながら指していました。全体を振り返ると、第1局より第2局、第2局より第3局と段々と内容がよくなってきて自分の力が発揮できたのがよかったです。
―― ご家族にご報告はされましたか。
加藤 母が携帯中継を見ていたので、終局後に「おめでとう」のメールが来ていました。
―― これでタイトル戦と奨励会を並行してこなすことになりますが、そういったことでの不安は。
加藤 この一年は、この棋戦に出させていただいいたおかげで、自分でもわかるくらい成長しているな、強くなっているなと感じました。この勢いで奨励会の方も調子を上げていきたいと思います。この一年は人生で一番将棋が好きになったので、もっと将棋の勉強をしていきたいと思います。
―― 奨励会の方で壁に当たったりと感じていることは。
加藤 1級に上がったばかりなので壁は感じていません(笑)。今年度中に奨励会初段を目指したいです。
―― ストレス発散のための趣味などを教えていただけますか。
加藤 趣味は将棋なので……。ええと、好きなことは、食べること歌うこと寝ることです。

527

552

563

5741

(文)

Ricoh20111212129

129手まで加藤奨励会1級が制し初代女流王座を手にした。終局は17時59分、消費時間は▲加藤2時間50分、△清水2時間59分。

【Twitter解説:金井五段の総評】

「両者プレッシャーの掛かる対局だったと思いますが、期待通りの熱戦となりました。清水さんも辛抱強くチャンスをうかがいましたが、終始前に出る姿勢を貫いた加藤さんの指し手が印象深いです。両者の持ち味が発揮された好局でした」

20111212_10017時30分頃の局面。後手は退路を作って防戦しているが、ここで▲4五銀△同歩▲6五桂が厳しく、先手が寄せの網を絞りつつあるようだ。初代女流王座の誕生が近づいている。


298

(文)

20111212_9217時過ぎの局面。清水女流六段の残り時間が切迫している。どうやら図の△5五銀打で1分将棋に入ったようだ。手厚い一手に見えるが、ここで▲3四角の王手が厳しく、先手よしと見られている。17時20分頃、控室を佐藤紳哉六段が訪れている。佐藤紳六段も安恵門下で、永瀬四段と同じ一門だ。

297
(佐藤紳六段=左と永瀬四段=右の、安恵一門のツーショット)

(文)

20111212_7716時40分、加藤奨励会1級は▲4二歩(図)と敵陣へ歩を放った。1手前に△4六飛と走ってきたため可能になった手だが、ここは後手玉の逃走ルートになっている。控室では「どういうことだろう?」と苦悶の声が上がっている。現時点での具体的な効果が見えない以上、歩を手放した損が強いと見ているようだ。控室には米長邦雄永世棋聖、深浦康市九段が姿を見せている。「プロがそんなことじゃダメだよ、よく考えて」と米長永世棋聖。

296
(17時頃、控室では鈴木八段、中川八段が中心になって検討が進められている)

(文)

16時30分現在、控室には棋士や関係者が増えてきた。依然として駒得の先手よしと見られているが、一気に決まるような展開ではなさそうで、「長引きそうですね」と口々に話しつつ、熱戦の行方を見守っている。

293

292
(永瀬四段に差し入れのおやつを勧められ、重々しく頂戴する藤井九段。「こういうのは長考するのがいいんだ。これはなんだ? じゃあこれは?」)

294
(野田澤彩乃女流1級=左、谷川治恵女流五段=右)

(文)

20111212_6615時50分、清水女流六段が△3四飛(図)を着手。瞬間、控室で嘆息とも悲鳴ともつかない声が上がった。▲5四角に△同飛を用意した受けの手だ。検討ではこの飛車は敵陣に打ち込んで攻めに使うものだと思われていただけに、意外、もっと言えば疑問との見解が出ている。後手が受けに回るようだと、先手の駒得が生きやすい展開になる。この一手で控室は先手持ちのムードになってきた。

【Twitter解説:金井恒太五段】
「△3四飛! ひねり出した感のある手ですが、やや苦しげな印象も否めません。現局面はやや先手良しと見ました。駒得している先手としては、▲7五銀などとゆっくり指してみたい気がします」

(文)

15時30分から、2階研修室では大盤解説会が始まっていた。担当は豊川七段と安食女流初段だ。▲6四銀と打った局面を解説中で、「上(控室)は何て言ってますか」と豊川七段。決め手にならないと不安、とのことです、と見解を伝えると、「やっぱり同じこと考えてるんですねえ」とうなずいていた。

287

288

289

(文)