2011年7月13日 (水)

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図は14時20分頃の局面。加藤2級は馬を作り攻め合う、激しい順を選んだ。千葉女流四段も我が道を行く手で対抗、強気の応酬が繰り広げられた。加藤2級は△8四香、△8七桂(図)と先手陣の弱い部分を徹底して攻める。図の△8七桂が機敏な手で、▲同玉は△4六馬▲同銀△7九飛で後手はっきりよし。先手は飛車が質駒になっているのが痛い。実戦は図から▲8八銀△8六香▲3三歩△同玉▲4一銀(下図)と進んだ。

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これが14時35分頃の局面。(1)△4六馬▲同銀△4七飛や(2)△9九桂成が厳しい攻めに見える。素直に指していたのではこのまま攻め倒されてしまいかねない。先手は後手陣にセットした▲4一銀を生かして、なんとかアヤをつけていきたいところだ。

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(苦しい局面を迎えている千葉女流四段。写真は対局再開時のもの)

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13時の対局再開とともに加藤2級が着手。すると千葉女流四段もすぐに次の手を返す。互いに休憩中の読み筋だったのだろうか、指し手が速い。対局室には、再開直後から火花が散るような緊張感がただよっていた。

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(千葉女流四段の王将。「菱湖(りょうこ)書」と駒の書体が刻まれている)

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(加藤2級の玉将。「香月(かげつ)作」と駒師の名が刻まれている)

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(森内俊之名人(右)が対局室を訪れていた。奥は渡辺弥生女流1級)

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12時10分、図の局面で昼食休憩に入った。おそらく加藤の視線は3五の地点を中心に巡っていたことだろう。次に▲3五歩と打たれると後手も気持ち悪いので、先に△3五歩と受けるだろうか。進行の一例は△3五歩以下、▲2五銀△同銀▲同飛に(1)△3四銀▲2八飛△4五歩、もしくは(2)△3六角▲2六飛△4七角成▲5八角。(1)は受けに重点を置いた指し方で、△6四角のラインで先手の攻撃陣制圧を狙う。(2)は先手の手に乗って積極的に反撃する順。しかし8二飛が参加しないので、へたに動くと先手の手段を増やすだけに終わる懸念もある。これまでの方針に沿っているという意味でも、(1)のような手順が有力と見られている。

昼食の注文は両者ともなし。対局は13時から再開される。

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図は11時25分頃の局面。後手が△4二玉と玉形を整えたところだ。見てわかる通り、後手は飛車先を突かず専守防衛の構えである。ここから先手はどのように攻撃隊形を組み立てていくかが工夫のしどころ。後手は△6四角を切り札にしつつ、先手の攻めをいなしていくことになる。単純な攻め合いにはなりにくく、先手の攻めが成功するかどうかが最大の焦点になるだろう。千葉女流四段はここで時間を使って考えている。

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(長考中の千葉女流四段。写真は朝のもの)

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東京の今日の予報は晴れところにより曇り。気温は高いが、日陰に入れば心地よい風が吹き抜ける。二十四節気の小暑(7月7日頃)を過ぎ、暦の上では蝉が鳴き始める頃とされるが、千駄ヶ谷ではまだ声を聞くことができない。

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▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二金▲2五歩のオープニングから、加藤2級が△8八角成とし一手損角換わりが確定した。後手番でさらに手損する大胆な戦法だが、プロ棋界では今やすっかり市民権を得ている。近年の採用率で見れば、本家「ゼロ手損」角換わりより高いかもしれない。先手は右銀をどう使うかが序盤のポイントで、千葉女流四段は棒銀を選択した。

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進んで上図は10時25分頃の局面。先手は棒銀を引いて繰り替え、飛車先の歩を交換する。ここまではまだ定跡。本棋戦の中継をチェックしていれば、「どこかで見たような?」と思う方もいるかもしれない。実は二次予選▲竹部さゆり女流三段-△伊奈川愛菓女流1級戦(下図)と同一局面が出現している。その将棋は序盤で後手がリードを築いたが、本局はどうなるのだろうか。

▲竹部さゆり女流三段-△伊奈川愛菓女流1級戦

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