2024年2月24日 (土)

2024022468図は昼食休憩を挟む長考で、△8六歩としたところ。相居飛車で味をつける手筋ながら、先手に歩切れを解消させるの決断の一着です。

△8六歩は寄せ合いになったときに効果を発揮する手で、▲同歩は△8七歩、▲同銀は△7六桂や△8八歩▲同玉△7六桂が生じます。伊藤七段は先の先を見据えて、先手玉の安全度を視野に入れながら対応したいところでしょう。歩を取らずに▲9一飛成もありそうなので、今度は伊藤七段が長考に沈みそうです。

(紋蛇)

Dsc_1320(対局再開前。藤井は12時47分、伊藤は12時51分とやや早めに戻った)

Dsc_1332(手番の藤井棋王)

Dsc_1346(手を待っている伊藤七段は、落ち着いた表情だった)

Dsc_1355(昼食休憩を挟み、1時間28分の長考で△8六歩を指した)

(紋蛇)

Dsc_1316
(昼食休憩時の対局室)

Dsc_1313

(現局面)

Dsc_1310_2(清定<きよさだ>書は、歩の書体に特徴がある。独特ながら、盤に並べると不思議と安定する)

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(伊藤七段の玉将。故・平田雅峰<ひらたがほう>作の駒で、王将の裏に作者名が記してある)

Dsc_1312(藤井棋王の王将)

(紋蛇)

対局者の昼食「加賀懐石弁当」です。詳細のメニューは末尾に記します。

Dsc_1296

Dsc_1302(上品な料理が少しずつ味わえる)

【千代口】能登生子酢、牛ふき味噌焼き 大浜大豆白和え、一寸豆、能登ふぐ塩糀揚げ、浅月
【お造り】鮪とろ、甘えび、赤烏賊
【焼き物】のど黒塩焼 蟹押し寿し、千枚かぶら、ぶり砧巻
【洋物】能登牛角切りステーキ 能登旬菜添え
【酢の物】ずわい蟹うるい和え 能登春菊、鯵翁巻、梅貝、酢取り茗荷
【食事】蟹めし
【香の物】四種盛り
【留椀】蟹真丈 菜の花、珠洲岩のり
【果物】蓮根かん、苺、金箔

(紋蛇)

2024022467_212時、図の局面で藤井棋王が1時間23分使って、昼食休憩に入りました。消費時間は☗伊藤25分、☖藤井1時間51分(持ち時間は各4時間)。昼食は「加賀懐石弁当」です。対局は13時に再開されます。

(紋蛇)

Dsc_1266(11時ごろの控室。▲4一飛に後手がどう指すか、検討が始まっていた)

Dsc_1269(後手側に座ったのは船江六段。「△5一桂▲2一飛成△3一銀ですか? でも弱そうな人が指しそうな手だからなぁ」と苦笑する)

Dsc_1272(室田女流二段)

Dsc_1276(久保九段が「昔の船江くんはそういう手を指さなかった」と突っ込むと、船江六段は「おじさんになりました」と笑っていた。しかし、検討の結果△5一桂は有力だといわれている)

(紋蛇)

2024022450_2△4四歩に、先手は桂をそのまま取られてはいけません。伊藤七段は▲7五歩と桂頭に手をつけます。以下△同歩▲5三角成△同角▲同桂成△同玉▲7四歩まで、一直線の進行です。

2024022457後手は序盤で6筋に位を取ったので、▲7四歩に△6五桂と逃げることができません。△6五歩の位取りに対し、先手が桂頭を絡める攻めは頻出します。
▲7四歩で、先手の主張は駒損ながら後手の玉形が乱れていること。駒損といっても、桂を取り返すことができるので歩損ですみます。 
藤井棋王はバラバラの陣形をまとめないといけません。まずは△5四歩と打ち、5五の地点に銀や角を打たれるスキを消しました。

2024022458控室の関浩七段は「▲6六歩は自然な手ですね」と話していました。△同歩なら▲7三歩成△同金に▲6五桂が両取りです。後手が△6六同歩と応じなければ、▲7三歩成△同金▲6五歩として歩が前進し、攻めをつなげやすくなります。 

しかし、実戦はもっと過激に攻めました。▲7三歩成△同金に▲8二銀△同飛▲7一角です。

2024022463意外な攻め筋です。王手飛車ながら、△6二飛で受かるからです。△6二飛以下▲同角成△同玉▲4一飛で、藤井棋王が長考に沈んでいます。

2024022467

先手は▲9一飛成や▲2一飛成から小駒を手にし、駒損を回復しながら竜でプレッシャーをかける方針です。後手は持ち駒が豊富で手番を握っていますが、「プロ的に第一感がない局面」(船江六段)。見慣れない局面で、どう指すかのセンスが問われているといえるでしょう。控室でも藤井棋王の次の一手に注目が集まっています。

(紋蛇)