渡辺明棋王に藤井聡太竜王が挑戦する第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局は、20時13分に174手で渡辺棋王の勝ちとなりました。消費時間は、▲藤井聡3時間59分、△渡辺明3時間59分。大激戦を制して、五番勝負は藤井2勝、渡辺1勝に。
第4局は3月19日に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」で行われます。(銀杏)
詰みが
図で▲2五歩から入れば後手玉は詰み。しかし実戦は▲2六飛。これは詰みません。△2五香と打たれたあと、藤井竜王はがっくりとうつむきました。詰みに関して藤井竜王に錯覚があったのか。まさかのことです。
追記:
154手目の上図で▲2五歩から入れば△同玉▲3七桂△1六玉▲2六飛△同玉▲3八桂△2七玉(変化1図)に▲1六銀!△同成桂▲2八金で詰み。
本譜は▲2六飛から入ったので△2五香▲同飛△同玉▲3七桂△1六玉▲2五銀△1五玉▲1六歩△2六玉▲3八桂△2七玉(変化2図)で詰まない。変化2図は変化1図と比べて先手が香得しているのだが、1六の歩が邪魔駒になっている。この歩が盤上になければ、2五の銀を活用して▲1六銀△同成桂▲2八金で詰んだ。
悲鳴
図の前手▲4八金に「先手の手が見えない」と検討陣。渡辺棋王が頭を抱えて△1七金と打つと、控室で悲鳴が上がりました。▲1七同香で逆転ではないか、ということです。着手後に斜め上を見上げる渡辺棋王。
147手目▲4二角成が指されたとき、控室では次に▲2四馬△同玉▲2五飛△同玉▲3七桂打以下の頓死筋があるといわれていたのですが、直後の△2六桂でそれは消えました。しかし、図で▲1七同香△同桂成となれば2五から桂が動き、▲2四馬から迫る順が復活します。後手は絶対に負けないという姿勢で手堅く指していたのに……。藤井竜王の粘りから信じられないことが起きました。
(牛蒡)
手堅い指し回し
渡辺棋王は一分将棋のなか、冷静な手を積み重ねています。後手優勢は間違いありません。図の△8八金も手堅い選択といえます。あとは先手がどれだけ勝負できるか。
(牛蒡)
渡辺棋王、一分将棋
19時2分、渡辺棋王は残り2分。記録係の「50秒……55秒……」の秒読みに渡辺棋王は指すことができず、「これより一分将棋でお願いします」の声に天を仰ぎました。藤井竜王は残り4分。形勢はまだはっきりしません。
(牛蒡)