2023年3月 5日 (日)

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渡辺明棋王に藤井聡太竜王が挑戦する第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局は、20時13分に174手で渡辺棋王の勝ちとなりました。消費時間は、▲藤井聡3時間59分、△渡辺明3時間59分。大激戦を制して、五番勝負は藤井2勝、渡辺1勝に。
第4局は3月19日に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」で行われます。(銀杏)

0305154図で▲2五歩から入れば後手玉は詰み。しかし実戦は▲2六飛。これは詰みません。△2五香と打たれたあと、藤井竜王はがっくりとうつむきました。詰みに関して藤井竜王に錯覚があったのか。まさかのことです。

追記:
154手目の上図で▲2五歩から入れば△同玉▲3七桂△1六玉▲2六飛△同玉▲3八桂△2七玉(変化1図)に▲1六銀!△同成桂▲2八金で詰み。
本譜は▲2六飛から入ったので△2五香▲同飛△同玉▲3七桂△1六玉▲2五銀△1五玉▲1六歩△2六玉▲3八桂△2七玉(変化2図)で詰まない。変化2図は変化1図と比べて先手が香得しているのだが、1六の歩が邪魔駒になっている。この歩が盤上になければ、2五の銀を活用して▲1六銀△同成桂▲2八金で詰んだ。

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(△2五香から数手後のモニター映像)

(牛蒡)

0305150図の前手▲4八金に「先手の手が見えない」と検討陣。渡辺棋王が頭を抱えて△1七金と打つと、控室で悲鳴が上がりました。▲1七同香で逆転ではないか、ということです。着手後に斜め上を見上げる渡辺棋王。

147手目▲4二角成が指されたとき、控室では次に▲2四馬△同玉▲2五飛△同玉▲3七桂打以下の頓死筋があるといわれていたのですが、直後の△2六桂でそれは消えました。しかし、図で▲1七同香△同桂成となれば2五から桂が動き、▲2四馬から迫る順が復活します。後手は絶対に負けないという姿勢で手堅く指していたのに……。藤井竜王の粘りから信じられないことが起きました。

(牛蒡)

0305122渡辺棋王は一分将棋のなか、冷静な手を積み重ねています。後手優勢は間違いありません。図の△8八金も手堅い選択といえます。あとは先手がどれだけ勝負できるか。

(牛蒡)

030510319時2分、渡辺棋王は残り2分。記録係の「50秒……55秒……」の秒読みに渡辺棋王は指すことができず、「これより一分将棋でお願いします」の声に天を仰ぎました。藤井竜王は残り4分。形勢はまだはっきりしません。

(牛蒡)

0305099図で飛車を逃げるようでは後手がつらい。攻め続けなければいけません。引くに引けない状況になりました。△6五桂は▲同銀△8五飛▲8六歩△8七桂成▲同玉△6五飛なら後手成功ですが、▲8六歩の前に▲5四角が入ります。ではどうすればいいのか。後手もまた追い詰められています。

Dsc_0269(渡辺棋王もまた厳しい局面を迎えている)

(牛蒡)

0305087図から後手が攻めるなら△8四飛でしたが、実戦は△7七と▲6四歩成△同金▲同と△同玉で下図。後手が勝負を決めにいった、という順ではありません。

0305092先手に手番がきました。△6三同玉に▲6四歩△5三玉▲5四銀△同玉▲6五角△6四玉▲7五銀と王手で桂を外す順があり、先手は攻めながら自玉周りを厚くすることができそうです。深浦九段は「最後は互いに時間のない状況でたたき合いの勝負になりそう」と話しています。

Dsc_0472(深浦九段は控室のモニター前に陣取り、戦いを見守っている)

(牛蒡)