昼食休憩
対局開始 戦型は△3三金型角換わりに
対局開始前の様子
挑戦者決定二番勝負第1局
藤井聡太棋王への挑戦権を争う第49期棋王戦挑戦者決定二番勝負は、12月21日(木)に東京・将棋会館で第1局が行われます。挑戦者決定トーナメントを勝ち上がってきたのは、広瀬章人九段と伊藤匠七段。無敗で勝ち上がった広瀬九段は、二番勝負で1勝すれば挑戦権を獲得します。1敗で敗者復活戦を勝ち上がった伊藤匠七段は、2連勝で挑戦権を獲得します。持ち時間は各4時間。先後は振り駒で決定します。
【動画中継のお知らせ】
本局の模様はABEMAでライブ配信します。
・ABEMA将棋チャンネル
https://abema.tv/now-on-air/shogi
・番組紹介
https://abema.tv/channels/shogi/slots/8nZHyEKjhD6hZR
【共同通信社】(主催)
http://www.kyodo.co.jp/
本局の中継は棋譜コメントを文、本ブログを八雲が担当いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
一夜明けて
一夜明けて、改めて記者会見が行われました。
――改めていまの気持ちは。
タイトル数自体はそれほど意識することはないんですが、これからしばらく防衛戦が続く中で棋王戦で挑戦する機会を得ることができて獲得できたのはうれしい結果だったかなと感じています。
――今シリーズで収穫や課題はあったか。
棋王戦は持ち時間は4時間でほかのタイトル戦と比べると短いほうなので、時間配分を意識して指せればと思っていて、その点はこれまでと比べるとうまくいったところもあったのかなと思います。今回のシリーズは中盤以降、非常に複雑で難解な局面を迎えることが多くて、その中でうまく判断できないところもあったと思うので、そこは課題だったかなと思います。
――今年度最後の対局で六冠ということで最高の結果ではなかったか。また新年度への抱負について。
今年度振り返ると、勝率という点でこれまでと比べて高いわけではないんですけど、全体を通して勝負強く指すことができたというか、タイトル戦でも大変なシリーズが多かったんですけど、粘り強く指して結果につなげられたのは大きな収穫だったかなと感じています。新年度も4月から名人戦、叡王戦をはじめ大きな対局が続くので、しっかりいい状態で臨めればと思いますし、そういった中で実力を高めていけるように取り組んでいければと思います。
――最年少記録のプレッシャーがかかっていたのではないか。
今回のシリーズは多くの方から大きな注目をいただいてそれ自体はありがたいことなんですけど、そのことを自分自身が対局に臨むにあたって意識してしまうと過度のプレッシャーになってしまうので、大きな対局であっても普段と変わらない気持ちで指せればそれが一番いいのかなと思っています。
――リラックス方法はあるか。
今回もそうなんですけど、タイトル戦は普段行けないところに行けることも多いので、自分としてはそうしたことも楽しみの一つにはなっています。
――昨日贈られた栃木のいちごはどうだったか。
すいません、まだいただいていないんですけど(笑)、楽しみにしたいと思います。
――これから自由に行動できるようになってくる。将棋以外で何かしてみたいことはあるか。
これまでと何か大きく変わるということではないんですけど、今回もこちらに来るときに東武線に初めて乗ることができて楽しかったので、そうした鉄道に乗る機会を少しずつ増やしていければと思っています。
――名人戦が始まる。渡辺名人の将棋についての発見や課題など。
今回の棋王戦はすべて角換わりの将棋になったんですけど、その中でお互い玉の薄い陣形のまま戦いになることが多く、渡辺名人は不安定な玉形をうまくまとめられてしまったことも多かったので、そのあたりの判断力をもっと高めていかないといけないなと感じました。名人戦は持ち時間が9時間ということで公式戦の中でも一番長い対局になるので、その点も踏まえてしっかりいい将棋が指せるように頑張りたいと思います。
――叡王戦の挑戦者が菅井竜也八段に決まった。振り飛車党とのタイトル戦は初めて。
菅井八段は振り飛車党で対抗形を中心としたシリーズになるかなと思っているんですが、自分自身の公式戦でも振り飛車の将棋は少なかったので新鮮な感じもありますし、それに向けてしっかり準備していければと思います。
――判断力を高めることに向けてどう準備するか。
棋王戦含めて今期の対局を振り返ると、長考した場面で適切な判断ができなかったことがけっこう多かったと思うので、やっぱり読みだけではなくて、複雑な局面であっても俯瞰的に捉えて判断する力が足りていないと感じる場面が多かったかなと思っているので、名人戦まであと2週間くらいしかないので、すぐに改善するのは難しいんですけど、名人戦でもそうした課題意識を持ってやっていければと思っています。
――六冠達成について気持ちの変化はあるか。
棋王を獲得することができて喜びもあるんですけど、すぐ名人戦をはじめ大きな対局も近くにあるので、まずは名人戦に向けて気持ちを向けて取り組んでいけたらと思います。
――瀬戸市の方々へのメッセージがあれば。
地元の瀬戸市の方々にいつも応援いただいて励みになっています。一つのよい報告ができてよかったなと思いますし、自分のことをきっかけに将棋に関心を持ってもらえる方が少しでも増えれば本当にうれしく思います。
――六冠と揮毫した色紙を持っての気持ちは。
先ほどタイトル数自体はそれほど意識はしないという話はしたんですけど、結果を出すことができたうれしさは改めて実感するところもあったかなと思います。少し照れくさいというところもあったんですけど、六冠は非常に光栄なことだと思うので、立場に見合う将棋が指せるようこれから努めていければと思います。
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これで第48期棋王戦コナミグループ杯の中継は、終了いたします。ご観戦いただき、ありがとうございました。第49期の予選はすでに始まっておりますので、お楽しみに。
(撮影=紋蛇、書き起こし=文)
記者会見
棋王初獲得、六冠達成の記者会見をご紹介します。
【藤井聡太新棋王インタビュー】
――棋王を獲得して史上2人目、最年少の六冠になった。いまのお気持ちは。
対局が終わったばかりでまだ獲得できた実感はそれほどあるわけではないんですが、棋王戦ではいままであまりよい成績が残せていなかったので、今期五番勝負に出場することができて、本当に大変な将棋ばかりでしたが、結果を残すことができたのは非常にうれしく思っています。
――棋王を初めて獲得した。
前期まで挑戦のチャンスをつくることが難しい状況が続いていたので、今期は挑戦ができただけでも自分としてはうれしい結果だったんですけど、五番勝負でもよい結果につなげられて、少し驚きというところもありますけど、うれしく思っています。
――10連覇中の渡辺棋王に挑戦した。シリーズを振り返って。
シリーズ通して角換わりの定跡形で序盤から中盤にかけてテンポよく進む将棋が多かったんですけど、中終盤はどれも非常に難しくて、適切な判断ができなかった局面も多かったと思うので、そういった難しい局面をより多く考えられたという意味では収穫の多いシリーズだったと感じています。
――これでまた八冠に前進した。
直接そこを目指す意識はありませんし、実力的にもまだまだ足りないところが多いと思いますので、まずは引き続き実力を少しでも高めていけるように取り組んでいければと思います。
――栃木県、日光という場所について。
道中も楽しく来ることができましたし、対局場も素晴らしいところで集中して対局に臨めたと感じています。大盤解説会も遅くまで多くの方にご来場いただいて、栃木県の将棋ファンの方の熱気を感じることができたかなと思います。
――今回の対局には多くのファンが集った。
今回は対局だけでなくとちぎ将棋まつりも開催していただいて、多くの方に将棋を楽しんでいただいた一日になったのかなと思いますし、自分自身もファンの方の熱気を直に感じることができて励みになりました。
――王将戦の祝勝会が大田原市で行われる。
大田原市で祝勝会を開催していただくということでうれしく思っています。ファンの方と楽しいひとときを過ごせればと思っています。
――第3局は終盤で悔しい敗局になったかと思う。本局に向けて学びになったか。
中盤から自玉が思っていた以上に不安定な形になってしまって、まとめることが難しかったところがあると思うので、本局は自玉の安全とうまくバランスをとって指していければと思ったんですけど、途中で攻め合いに出るタイミングをいくつか逃してしまったと思うので、そのあたりのバランスというか調整が必要なのかなと思います。
――マスクのない対局は久しぶりだったと思う。違いはあったか。
対局規定で着用が任意になって、ある程度それに合わせてと思っていたんですけど、いままでと比べて違うかどうかは一概にはいえないと思いますが、集中して臨むことはできたかなと思います。
――タイトル獲得数が通算13期となり、森内俊之九段の記録を抜いて歴代7位になった。
森内九段は自分が将棋を始めた頃に名人戦を中心に活躍されていて目標とする方の一人だったので、タイトル数だけで比較できることはないと思うんですけど、一つ一つ積み上げられてきたことはよかったかなと思いますし、実績のある棋士の存在を見ると自分はまだまだ未熟なところが多いのかなと感じています。
――以前は一分将棋に入る印象が多かったが、今日は時間を残していた。意識を変えたところはあったか。
基本的には残り時間よりも局面のほうが重要なので、判断が難しい局面になれば時間を使って納得いくまで考えたいと以前から思っているんですけど、早い段階で使いすぎてしまうと、一局を通して見たときにかえって納得いくまで考えることが難しくなってしまうと思うので、一局を通してなるべく実現できる時間配分ができれば一番いいのかなと考えています。
――本日放送のNHK杯で優勝を決め、年度内の一般棋戦を全制覇した。実力的に少し足りないというのはどういうところか。
早指し棋戦ではいままであまり結果が出せていなかったんですけど、今期はいままでより決断よく指そうと意識して結果を残すことができたのでうれしく思っています。最近の佐々木さん(勇気八段)との将棋は非常に難解な局面を迎えることが多くて、考えてもうまく判断できない局面が増えている印象があるので、そうした難しい局面でも的確に判断できる力が必要になるのかなと思っています。
――タイトル初挑戦を新幹線の名古屋駅とすると、東京を終点として六冠達成はどのあたりになるか。
うーん、初挑戦したときからタイトルを増やすことはできているんですけど、内容は大変なところが多いので、あまり近づいている感覚はそれほどないのかなと思います。なので、どれくらい……(笑)。静岡くらいということでお願いします。
――最後にファンの方にメッセージを。
本局は中盤以降踏み込む機会を逃してしまったところもあったんですけど、一局を通して粘り強く戦うことができたのかなと感じています。棋王戦シリーズ全体を振り返っても難しい将棋が多かったと思うので、しっかり振り返ってそれを生かせるように頑張りたいと思います。また4月から名人戦と叡王戦の2つのタイトル戦が始まりますので、そちらもしっかりいい状態で迎えて、よい将棋にできるように頑張っていきたいと思います。