2011年2月 6日 (日)

9時50分頃、記録係の長岡五段が立ち上がり、
渡辺竜王のナナメ後方へ。久保棋王、渡辺竜王
もそちらへ視線を向けている。どうやら石油ファン
ヒーターがピーピーと音を発してしたようだ。運転
延長ボタンを押して、問題は解決した。

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10時10分すぎ、両対局者へホットコーヒーが運ばれた。

(吟)

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9時45分、久保棋王の▲7六歩で開始され、7手目▲7六飛が
菅井竜也四段が谷川浩司九段を相手に指した「菅井新手」と
して話題になっていたもの。久保が本局に採用し開始から1時間
もたたないうちに華々しい戦いになっている。

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現在発売中の『将棋世界』紙3月号にて菅井
新手について両対局者も興味深い見解を述
べている詳細は『将棋世界』にてご覧下さい。

(吟)

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先に対局室へ入室し下座へついた渡辺竜王。
窓の外へ目をむける。

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久保棋王が上座へ。一呼吸あって駒袋が開けら
れた。

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静かに王将を据える久保棋王。

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長岡五段が久保棋王の振り歩先で振り駒を行い、
歩が4枚出て久保棋王の先手に決まった。

(吟)

2011年2月 5日 (土)

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北尾「若手辛口の二人にお願いしたいと思います」。

片上・戸辺「ぼくは辛口じゃないので」。

片上「辛口の天彦くんに来てもらいましょう」。

佐藤(天)以下佐藤「どうも、佐藤天彦です(苦笑)」。

戸辺「明日の戦型予想ですけど、振り駒してみないとわからないですよね」。

佐藤「久保棋王が先手だと?」。

戸辺「石田流ですかね」。

佐藤「石田流といえば戸辺さんですね」。

戸辺「昨年、石田流で一番勝った棋士だったみたいですね(自慢げ)。私ね、今一番勢いのある戦法が先手石田流だと思うんですよ」。

片上「この棋王戦は振り飛車にすごく影響がありますよね。去年は振り飛車が勝ちまくった年なんですけど、久保さんはその振り飛車ブームを作った人ともいえますし」。

戸辺「これで久保棋王が圧勝すると、また振り飛車が増えるかもしれませんね」。

片上「竜王が『受けて立った』のが竜王戦だったと思うんですよ。今回は竜王が積極的に向かっていくと思います。というのも、久保さんの投げる球がはっきりしてるんですよね。それに久保さんは棋王戦・王将戦を同時にやっているので、十分に準備できない。竜王は今夜も悩んで、念入りに準備してくると思います」。

・予想スコア
片上「3-0もかなりあるんじゃないでしょうか? 久保さんの3-0、竜王の3-0、どちらもあると思うんですよ。いずれにせよ偏ると思います」。

戸辺「二人にはお世話になっているんですけど、私は振り飛車党ですから……3-1で久保棋王に勝ってほしいですね」。

佐藤「この二人は3-0では終わらないと思います。私は居飛車党だからわかるんですけど、振り飛車ってすごく厄介なんですよ。今は居飛車党の方が多いのでたまに相手にする程度なんですが、すごく手強い。なので渡辺竜王に3勝2敗で勝ってほしい。この棋王戦で有力な変化を一つでもつぶしてほしいですね」。

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(片上六段)

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(戸辺六段)

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公式戦16連勝中の佐藤(天)五段。

(吟)

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島「こんばんは。まずは棋王戦の宇都宮開催、おめでとうござ
います。ここまでが本当に大変だったと思います。ありがとうご
ざいます。えー(佐藤九段の方を向き)、A級復帰、当然とはい
えおめでとうございます」。

佐藤(康)以下佐藤、「いえいえ(苦笑)。私のことはいいので」。

島「当たり前なのでうれしくないかと思うんですけどね。ま、あい
さつですから、ええ。さて、どうでしょうか。今回の棋王戦は」。

佐藤「棋王戦といえば、私も昨年は痛い思いをしました(注・昨
年は佐藤九段が久保棋王に挑戦し、フルセットの末敗れている)」。

島「久保さんは王将戦では豊島六段と戦っているんですよね。昨年
は佐藤さんと羽生さん、今年は渡辺竜王と豊島六段。ずいぶん若く
なりましたね」。

佐藤「渡辺竜王は20代という感じがしませんけどね。貫禄が。豊島さ
んは二十歳(はたち)ですか。若いですねー。一回り年が違うと久保さ
んもやりにくいでしょうね。……実は私、豊島さんに負けて挑戦を逃し
ているのでこの話は振りたくなかったんですけど(苦笑)。今回は重量
級で実績充分の二人ですからね。でも新鮮ですね」。

島「明日の見どころはいかがでしょう?」。

佐藤「久保さんは振り飛車党です」。

島「それは誰でもわかるので(笑)」。

佐藤「ま、中飛車か石田流でしょう。振り駒によって変わってくると思い
ますけど」。

島「この二人は振り駒を気にしないでしょうね」。

佐藤「久保さんは戦法を決めてきますよね、それに渡辺竜王がどう対応
するか。そうそう、渡辺竜王は一日制に弱いという説もあります」。

島「佐藤さんは棋聖戦(注・棋王戦と同じく一日制のタイトル戦)で渡辺竜
王に勝ってらっしゃるんですね。3-0か3-1か、ちょっと覚えてないんで
すけども」。

佐藤「3勝1敗でした。ええ。……自慢になっちゃいますね。渡辺竜王は初
めてのタイトル挑戦も王座戦(注・こちらも棋王戦と同じく一日制のタイトル
戦)でしたが、不思議と勝ってないんですよね」。

島「五番勝負で第1局を勝つのはどのくらい大きいんでしょう?」。

佐藤「負け方にもよりますよね。全力を出して負けたなら大丈夫ですけど、
精神的にイヤなところが出てくると大きいですよね。この二人は精神的な
ブレがないと思うので、おもしろいと思います。ところで島先生はどうなん
ですか。さっきから私ばっかりですけど」。

島「渡辺さんは早指しなので、見ていておもしろいと思いますね。明日は
楽しんでいただければと思います」。

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(吟)

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左から西村九段、佐藤康光九段、中川大輔八段、
片上六段、佐藤天彦五段、安食総子女流初段、
北尾女流初段、戸辺六段。

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両対局者へ花束が贈呈された。

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・宇都宮に来るのは初めて?
「趣味のゴルフで何度か来たことがあります。将棋では初めてですね。
(この対局の後ゴルフに行くか? と聞かれ)体調を崩すといけないの
で(笑)。五番勝負が終わってからの楽しみにします」。
・棋王戦3連覇に向けて
「私も35歳になりました。棋王戦とともに人生を歩んできたようなもので
す。また棋王は初タイトルということで相性のよい棋戦。その中で力を
出しきれれば、と思います」。
・渡辺竜王の印象は?
「竜王を防衛して充実しているな、と思います。私は将棋を『自分との戦
い』と捉えてやっているので、気にせず対局に臨みたい」。

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・宇都宮に来るのは初めて?
「昨年の『とちぎ将棋まつり』で来ました。今回は2回目です。そのとき
は日帰りで餃子は食べられませんでした。今回はそうですね、食べて
みたいです」。
・棋王戦への意気込み
「タイトルに挑戦するのは久しぶり。久保さんとのタイトル戦は初めて
なので、新鮮な気持ちで臨めると思います」。
・久保棋王の印象は?
「皆さんご存知のとおり、振り飛車の名手。それにどう対応するかで
すね」。

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がっちりと握手をかわし、両対局者は前夜祭会場を
あとにした。

(吟)