2025年3月 5日 (水)

20250305m17時20分、図の局面を迎えています。西山女流三冠が中段玉で踏ん張っているところです。後手の狙いは入玉ですが、戦力に差があるため、中村太地八段は「冷静に見れば福間女流王座がいいでしょう」と話しています。

20250305k福間女流王座は▲3二角打(1図)と角を重ね打ちました。▲4三角成が狙いです。対する西山女流三冠は△3一桂と受けましたが、▲6三角成△同金▲4一角成と攻めを続けます。以下△9二飛に福間女流王座は▲5一馬△6四玉▲8四歩△同歩▲同馬(2図)と後手玉を寄せにいきました。先手としては入玉をされるプレッシャーがありますが、決めに出ました。

20250305l

20250305i順調に攻めを続けている福間女流王座が優勢と見られています。しかし、控室では図で△3五歩の攻め合いならば、先手も対応が難しいのではないかと検討されていました。▲3五同歩は△3六歩▲同銀△2四桂の筋で桂頭を狙われます。△3五歩に手抜いて▲6一角は、△3六歩▲同銀△3五歩▲2七銀に△3六桂(変化図)と打たれて、堅固な銀冠の先手玉が歪むことになります。図から実戦は△6六銀と飛車取りに銀を打ちました。上部を手厚くする受けの手です。西山女流三冠は粘りに出る方針を選びました。

20250305j

Dsc_7009(前傾姿勢で盤上を凝視する福間女流王座)

実戦は△8二玉以下、▲8五歩△9三銀▲9五歩△同歩▲6五歩(1図)△同桂▲同桂△同歩▲7五歩△同歩▲8六桂△7三角(2図)と進んでいます。

20250305g

▲8五歩と打って銀を端に引かせてから▲9五歩は前述した攻め筋ですが、△9五同歩に▲6五歩(1図)も有力です。△6五同歩なら▲7五歩と突いて△7五同歩に▲9五香△9四歩▲7四歩△9五歩▲7三歩成△同金寄に▲6五桂の活用が見込めます。
1図以下、6五の地点で桂交換に。福間女流王座は7筋を突き捨ててから▲8六桂と据えました。▲9五香の狙いですが、西山女流三冠に△7三角(2図)と9五の地点を受けられてみると思いのほか大変かもしれません。

20250305h

△7三角は控室で検討に励む野原未蘭女流二段が指摘していました。△7三角は▲4五銀△同銀▲同桂の攻めを封じているのも大きなポイントです。相手の自陣角を見た福間女流王座が前傾姿勢になりました。

Dsc_7086(自陣角を打って相手の攻めを封じにいく西山女流三冠)