2013年7月12日 (金)

振り駒は真田女流二段の振り先で「歩」が3枚でした。ですので真田二段の先手となり初手から、▲7六歩△3四歩▲5六歩と進みました。

Sn3

この手に反応し、後手の中倉女流二段は△8八角成▲同銀△5七角と角を敵陣へ打ちこみます。

Sn6

ここに角を打つことによって、後手は馬を作ることができます。△8四角成と△2四角成の二つの狙いを両方受けることはできないためです。
ここからは先手は手得が、後手は馬ができたことが主張となります。その主張を生かし、どこでどちらが得をできるかが問題となります。

このあとはお互いに囲いあい、以下のような局面になりました。

Sn16

おはようございます。

2013年7月12日(金)は第3期リコー杯女流王座戦・本戦1回戦、真田彩子女流二段-中倉宏美女流二段の一戦を中継いたします。
対局場の東京・将棋会館「高雄」にて10時より開始。持ち時間は各3時間、先後は振り駒で決まります。

本局の棋譜コメント中継は牛蒡記者が、中継ブログは独楽が担当いたします。よろしくお願いいたします。

本日の写真の撮影には、PENTAX K-30 を使用しております。

2013年7月11日 (木)

Photo_45(本日の記録用紙。170手の大熱戦となり、後手・渡辺弥生女流1級が勝利を収めた。渡辺女流1級は、次に上田初美女流三段との2回戦を戦う)

次回のリコー杯女流王座戦中継は、明日7月12日(金)に真田彩子女流二段-中倉宏美女流二段(LPSA所属)戦をお届け致します。
是非、こちらの中継もご覧下さい。

以上にて、本日の中継を終了させて頂きます。
本日は、ご観戦いただき誠にありがとうございました。

終局後、勝利した渡辺弥生女流1級が中継室を来訪して本局について改めて振り返ってくれた。

Photo_44(中継室を来訪して、本局を振り返る渡辺女流1級)

※以下は、キーポイント部分のコメント。詳しくは、棋譜コメントをご覧ください

-清水女流六段から「いい手でしたね」と声をかけられていたのが、中盤戦で【図】の局面から△7一玉(44手目)と組み替えを目指した構想です。

43_2 渡辺女流1級「途中までは待ちの姿勢だったのですが、玉が8二のままでは先手に角でコビンを狙われる筋が厳しすぎます。後手は、先手のように穴熊には出来ないので、本譜のような構想となりました」

-難解な終盤戦については、対局中どのように見ていましたでしょうか?

渡辺女流1級「自玉の左辺が開けていたのと、先手の攻めがそれほど太い形ではなかったので、正確に指しきれば自分にも勝機はあるとは思っていました。ただ、最後まで自信のない勝負でした。終わってみて、何とか残していたなといった印象です」

※この記事の写真はPENTAX K-30で撮影しました。

終局後、感想戦は口頭で簡単に数分だけ行われ、間もなく駒が片づけられた。
現在、渡辺女流1級は中継室を来訪して本局について振り返っている。

Photo_41(勝利した渡辺女流1級。2回戦進出を決め、笑顔)

Photo_42(清水女流六段は、「△7一玉と引いて組み替えたのが、いい手でしたね」と渡辺女流1級に声をかけていた)

170

18時21分、170手目△7五玉を確認して清水女流六段が投了を告げた。
後手玉は捕まらず、自玉には受けがない局面だった。
消費時間は、▲清水2時間59分、△渡辺2時間58分。(持ち時間、各3時間)

勝利した渡辺弥生女流1級は、次に上田初美女流三段との2回戦を戦う。

150▲6二角成(139手目)と勝負に出た先手だったが、攻め手は続かない。
手段に困る先手に対して、後手は△7六金打と勝負を決めにいった。

(1)▲6八玉は△6七金▲同玉△6六金以下の詰みがある。
(2)▲7八玉や(3)▲8八玉は△8七銀で王手飛車取りがかかる。ただし銀を使うと、▲3一角の王手に合駒がないのが少し怖い。

▲3一角が怖いとは言われているが、中継室を訪れている棋士によると「後手優勢。正確に受ければ、後手勝ち」と検討されている。

Photo_40(将棋会館からの風景。日も、局面も、最終盤を迎えている)

後手玉が3枚の金銀に守られているのに対して、先手玉に守り駒はなく非常に危険な状況。
後手に駒を渡せば詰みもあるような局面だったが、不利が囁かれていた清水女流六段はそのリスクを承知で▲6二角成と勝負に出た。

139_24五桂が効果的に利いており、先手玉には△8六銀▲7八玉△8七角▲6八玉△5七金以下のような順の詰み筋が生じている。


先手は、▲6二角成からどのような後続手を用意しているのだろうか。

115室岡七段「流石、清水さんも百戦錬磨。この▲6八角が勝負の粘りでしたね。後手が攻めを急かされ、またおかしな流れになってきているのでは」

しかし、渡辺女流1級も踏みこんで勝負に出る。△8七桂と打ち込んで先手の穴熊を崩し、先手玉の守りを薄くしておくことで、先手の攻めに制限をかけたのだ。

125吉田五段「自玉が薄いと、反動が大きいですからね。怖いところです。先手の穴熊を崩したことで、後手は形勢だけではなく、気持ちの面でも楽になったのではないでしょうか」

(対局が行われている東京・将棋会館「香雲」の入口。対局室のあるフロアは、静寂に包まれている)

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