真田女流二段が長考の末、▲３六飛と打ち△５七角成でまた長考しています。

飛車を取る手は当然の一手なので、なにか誤算があったのではと加瀬六段。

「事件ですよ」

ただまだ先手に勝ちがあるようです。加瀬六段はしばらく考えた後、▲３三金△同金▲３一銀△３二玉▲６五角（▲２一角△同玉▲３三飛成は△３九銀で先手頓死）△４三合▲４四桂で角を渡さなければ頓死はないので、先手勝ちではないかということでした。本譜は▲４八銀△同馬▲同金と進みました。これも大事な馬を消して、長引くかもしれませんが、確実に優位を守る手です。

図の局面でじっと△８九と、じっと桂を取りました。▲５二と△４六角▲４七飛には△３六桂で頓死の筋があります。（▲５二と△４六角▲４七飛△３六桂▲２七玉△２八金▲３六玉△４五銀で即詰み。参考図）

ただ真田女流二段の持ち駒には飛車と角の飛び道具があるので、▲５四角や▲５五角など攻防の手がありそうです。真田女流二段がどう決めるかという状況のようです。

（真田女流二段の昼食休憩後の写真）

真田女流二段の▲５四歩に中倉女流二段が勝負手を放ちました。

受けずに△９八と～△４四飛が先手玉への一気寄せを見た勝負手です。

加瀬六段「なかなか気づかない勝負手ですね。▲５二と△４七銀▲同銀△同飛成▲３八銀には△２七香と打つ手があります。

▲同玉△３六銀で先手も危ないですよ」

本譜は△4四飛に▲３五金と打ちました。

（昼食休憩後の中倉女流二段）

（遠山雄亮五段が中継室に来訪しました）

（加瀬六段と遠山五段は師弟関係）

14時頃の消費時間は真田女流二段49分、中倉女流二段１時間49分と、ちょうど１時間の差がついています。14時20分頃には図の局面になりました。お二人によると形勢は先手がいいようです。

この局面について考えてみると、

（１）駒割りは角金交換で先手の駒得ですが、後手もと金が作っているので微妙。

（２）後手は▲２四金△同歩▲３四角打を受けなればいけないので、手番は先手です。

（３）玉の固さも先手が少し上でしょう。

（４）駒の効率は５六角のにらみが厳しいので先手が少しいいでしょう。

駒の損得はないが、手番を握り、攻めと受けの駒の効率がいいということになります。このことを考えると、ゆっくりした展開は後手がうれしいのではないでしょうか。後手が立て直す前に先手から積極的に攻めていきそうな局面です。

48手目に後手が△５二銀と打った局面です。▲６一角を防いだ手ですが、▲５六角と、こちらから打つ手があったのではないかと加瀬六段は言っていました。どちらも▲８三銀と▲３四金の二つの狙いがあり味のいい一手です。

実戦は▲２五銀△２四金▲２六歩△８四飛▲５六角と金銀を打ちあってから角を打ちました。▲２六歩は先手にとっても玉頭が空くので怖い手ですが、玉周辺の勢力争いに持ちこむ狙いでしょうか。

（昼食中継明けの一手を指す真田女流二段）

（盤面を見つめる中倉女流二段。▲５六金を指されてすぐの写真です）

（この３枚は昼食休憩中の写真です）

25手目の▲4五歩によって局面が激しくなりました。加瀬六段によると△4五同歩▲５五角△４三金▲３三角成△同桂の展開も後手としては有力だったようです。

ただ中倉女流二段からすると馬がなくなってしまうのがいやなようです。あるいは▲５五角ではなく▲４八飛のような手もあるでしょうか。本譜は金銀交換をしながら、馬を残す順を選びました。

12時10分、図の局面で真田女流二段が４分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲真田女流二段27分、△中倉女流二段１時間23分。対局再開は13時です。中継室に来た及川拓馬五段はこの将棋について

「いい将棋でいい勝負です」

と評しました。

「先手はどちらかの桂馬を使って攻めを厚くしたいですね。後手の馬も手厚い馬という感じではないです」

（すっかり夏となりました。千駄ヶ谷の予想最高気温は、34℃です）

（鳩森神社では土台が組まれていました。盆も近いので、夏祭りの準備のようです。７月１９、２０日に盆踊り大会が開催されます。7月30日（火）には第37回大山十五世名人記念将棋大会も行われます）

（こちらは将棋会館の写真です）

（本日の対局立会人の加瀬純一六段が中継室に来ています）

（真田女流二段、中倉女流二段とのエピソードを話す加瀬六段）

（本日は同時に朝日杯将棋オープン戦▲及川拓馬五段－△富岡英作八段戦も中継しています。その解説もしていただいています）