2023年11月10日 (金)

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上地隆蔵さんが執筆する観戦記は日本経済新聞に掲載されます。第3局は12月5日(火)、山形県天童市「天童ホテル」で行われます。

両対局者は大盤解説会に移動してファンの前で一局を振り返りました。加藤女流四段は「後悔の残る将棋になってしまった」と振り返りつつ、来場者に「こちらすごく素敵な会場で、料理もすごくおいしかったので、皆さんプライベートでお越しいただけたら」と笑顔で話していました。

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■里見香奈女流王座
――一局を振り返って。
里見 こちらから動いていったんですけど、ずっと難しいと思っていて。こちらから局面を動かす手が多かったんですが、善悪は微妙だったかなと思います。
――形勢判断はどのように感じていたか。
里見 あまり自信があるわけではなかったんですけど……。互角の順があまり見えなかったので、難しいと思っていました。
――どのあたりで手応えをつかんだか。
里見 △2六角(116手目)で角交換になったので、こちらが少し玉形が堅いのかなと思っていました。
――中盤は時間差もあった。
里見 あまりすぐ指せるような局面ではなかったので時間を投入していたんですけど、やむをえない感じで使っていました。
――2連勝となった。次局への意気込みを。
里見 次も先後が決まっているので、準備をして挑めたらと思います。

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■加藤桃子女流四段
――一局を振り返って。
加藤 うーん……。少しずつ模様のよさは感じていたんですが、飛車交換したあたりの形勢をちゃんと捉えられていなかったかもしれないな、といま思っていて。いろいろ予定変更を重ねてしまって、あまり思うようにできなかったところがあったので。最後はちょっと勝ちづらい将棋にしてしまったので、もう少しプレッシャーをかける手を考えないといけなかったのかなと思います。
――控室では熱戦という評判もあった。充実感などは。
加藤 充実していたとはあまり思わなくて、もうちょっとやりようがあったかなと思います。
――次局への抱負を。
加藤 とにかく全力を尽くすのみです。

Joryu_ouza202311100101142図の局面で加藤女流四段が投了を告げました。終局時刻は18時12分。消費時間は▲加藤2時間59分、△里見2時間58分。里見女流王座がシリーズ2連勝で、防衛にあと1勝に迫りました。第3局は12月5日(火)に山形県天童市「天童ホテル」で行われます。

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里見女流王座が角を目標にして攻め、△8九歩成(106手目)で角が取れる形になりました。後手は角を取れば駒得になり、先手は貯金を失います。依然として竜の働きは後手に分があり、加藤女流四段は主張の少ない展開になっています。数少ない急所である端を狙ってどうか。実戦は▲1四竜△2四歩▲9四歩△8四歩▲9六香△8二玉と進みました。

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加藤女流四段が端に集中砲火を加えて突破できる形になりました。中川八段は「△8四歩が損な手で、加藤さんがまた少し盛り返しましたね」と話します。「2人とも残り時間が少なくなって混戦です。悪い手ばかりたくさんあるような状況で、最善じゃなくても悪い手を指さないような粘り強さが必要ですね」。先の長い戦いになるか、どちらかが踏み外して差がつくか。スリリングな展開になっています。

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加藤女流四段が端攻めでポイントを稼ぎ、里見女流王座が粘りの姿勢に出て長期戦の様相を呈してきました。上図から▲2二歩△9四歩▲同香△8五歩▲9二歩成△8三玉▲8五桂△9四竜として、竜の横利きで端からの逆襲を狙うのが検討で有力視されていた順。竜の働きの差が顕著です。斎藤明五段は「振り飛車が勝ちやすくなった気がします」と話します。里見女流王座が苦しい形勢を盛り返しつつあるようです。

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控室の継ぎ盤が盛り上がっていました。上図から▲4二角成△同金▲同竜と2枚換えで踏み込む順があります。突き詰めれば先手勝ちの結論も出そうなだけに、検討にも熱が入ります。加藤女流四段は残り時間に余裕があり、直線的な変化を読む余裕もあります。長考になるかと思われましたが、加藤女流四段は少考で▲7七桂と指しました。決戦ではなく、端攻めを狙ってじっくりと優位を目指そうという方針です。里見女流王座は残り34分と余裕がありません。中川八段は「端攻めの対応が難しく、居飛車がいいと思います」と話しています。

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里見女流王座が△2四飛(54手目)と飛車をぶつけて激しい流れになりました。以下▲2四同飛△同角▲5九金△2九飛▲1七香△2八飛成▲1一飛△1三香が興味深い進行です。

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斎藤明五段は加藤女流四段が指した▲5九金~▲1七香に「いい手だ」と感嘆。金銀の連結を強化しながら守備範囲を広げて△4九飛を消し、じっと香を逃げるのは渋い手順です。たとえ香を取られても竜の位置が悪くなることを見越しています。里見女流王座も△1三香(62手目)と逃げ、▲2五歩には△同桂▲同桂△1七竜を用意しました。互いに香を大事にする味わい深い手順に、武富女流初段は「香が王様だ」と驚いています。

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14時30分、おやつの時間になりました。里見女流王座はフルーツ盛り合わせ、アイスの紅茶にミルクティー用の牛乳、「矢部園 伊達茶」。加藤女流四段はフルーツ盛り合わせ、アイスの紅茶を常温で、「矢部園 伊達茶」を温めたものを注文しています。

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13時30分から東洋館の2階で大盤解説会が始まっています。斎藤明五段と武富女流初段がトップバッターで登場。初手から駒組みの手順の機微について、わかりやすく解説していました。

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