解説会で振り返る
終局直後
■里見香奈女流王座
――一局を振り返って。
里見 こちらから動いていったんですけど、ずっと難しいと思っていて。こちらから局面を動かす手が多かったんですが、善悪は微妙だったかなと思います。
――形勢判断はどのように感じていたか。
里見 あまり自信があるわけではなかったんですけど……。互角の順があまり見えなかったので、難しいと思っていました。
――どのあたりで手応えをつかんだか。
里見 △2六角(116手目)で角交換になったので、こちらが少し玉形が堅いのかなと思っていました。
――中盤は時間差もあった。
里見 あまりすぐ指せるような局面ではなかったので時間を投入していたんですけど、やむをえない感じで使っていました。
――2連勝となった。次局への意気込みを。
里見 次も先後が決まっているので、準備をして挑めたらと思います。
■加藤桃子女流四段
――一局を振り返って。
加藤 うーん……。少しずつ模様のよさは感じていたんですが、飛車交換したあたりの形勢をちゃんと捉えられていなかったかもしれないな、といま思っていて。いろいろ予定変更を重ねてしまって、あまり思うようにできなかったところがあったので。最後はちょっと勝ちづらい将棋にしてしまったので、もう少しプレッシャーをかける手を考えないといけなかったのかなと思います。
――控室では熱戦という評判もあった。充実感などは。
加藤 充実していたとはあまり思わなくて、もうちょっとやりようがあったかなと思います。
――次局への抱負を。
加藤 とにかく全力を尽くすのみです。
里見女流王座が2勝目
図の局面で加藤女流四段が投了を告げました。終局時刻は18時12分。消費時間は▲加藤2時間59分、△里見2時間58分。里見女流王座がシリーズ2連勝で、防衛にあと1勝に迫りました。第3局は12月5日(火)に山形県天童市「天童ホテル」で行われます。
混戦になる
里見女流王座が角を目標にして攻め、△8九歩成(106手目)で角が取れる形になりました。後手は角を取れば駒得になり、先手は貯金を失います。依然として竜の働きは後手に分があり、加藤女流四段は主張の少ない展開になっています。数少ない急所である端を狙ってどうか。実戦は▲1四竜△2四歩▲9四歩△8四歩▲9六香△8二玉と進みました。
加藤女流四段が端に集中砲火を加えて突破できる形になりました。中川八段は「△8四歩が損な手で、加藤さんがまた少し盛り返しましたね」と話します。「2人とも残り時間が少なくなって混戦です。悪い手ばかりたくさんあるような状況で、最善じゃなくても悪い手を指さないような粘り強さが必要ですね」。先の長い戦いになるか、どちらかが踏み外して差がつくか。スリリングな展開になっています。