2015年11月28日 (土)

西遊棋プレミアムイベントに出演する棋士が対局の見どころを語りました。

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山崎隆之八段
「伊藤さんは勢いに乗って勝ちたいというところで、先手番なので得意の居飛車で行くのではないかと思います。番勝負は初めてで、第3局を勝たないと大変という意識があるでしょうから、この将棋に懸ける思いは強いでしょう。加藤さんは何度もタイトル戦を戦っていますが、ここを勝っておけば大切なタイトルを防衛する余裕が少しできるかと思います。去年は強敵の西山さん相手にタイトル獲得を決めた縁起のいい大阪ですので、戦いやすさはあると思います。お互い力を出し切って思いのこもった将棋になるのは間違いないでしょう」

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(壇上には、西遊棋プレミアムイベントに出演する棋士・女流棋士が並んでいる)

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西川和宏五段
「対局者のおふたりとは何度かお話ししたことがありますが、物腰が柔らかい雰囲気ですが、対局は勝負師らしい。加藤さんは猛烈な攻め将棋、伊藤さんは受けだけどギリギリの受けを見せる印象があります。明日もギリギリの勝負になると思います」

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斎藤慎太郎六段
「『女性の日本一を決めるタイトル戦』という、先ほど聞いた言葉が印象深いです。伊藤さんが22歳、加藤さんは20歳ということでお若いですが、私斎藤も22歳ということで同年代が日本一を争っているというのがすごく刺激になって、自分もこういう舞台に早く立ちたいという気持ちを持ちましたし、おふたりが輝いているように思いました。加藤さんは直線の将棋、攻めに勢いがある将棋。一方の伊藤さんはそれをかわす、変化を得意とする印象があります。加藤さんの攻めを伊藤さんがどうかわしていくかに注目したいです」

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室田伊緒女流二段(写真右)
「明日は西遊棋としてイベントを開催します。斎藤先生と実行委員として準備をしてきました。このメンバーで明日、解説を行います。私もリコー将棋部さんの合宿に中学生の頃から参加させていただいて10年くらいの付き合いです。おふたりとは小さい頃から将棋を見たり話したりして、そのふたりがこの舞台に立っているのを見て感慨深いです。明日は皆様にわかりやすくお伝えできればいいなと思います」

香川愛生女流三段(写真中央)
「展望は皆様がおっしゃられているので、対局者のおふたりについてお話しさせていただければと思います。加藤さんも伊藤さんも男性とともに棋士を目指す奨励会というところに入っていまして(注:伊藤女流二段は昨年退会)、小学生の頃から青春時代のほとんどすべてを将棋に費やしています。私も同じ奨励会にいたことがあって同じ環境でおふたりを見てきましたが、7年間、8年間と長く修行を続けるというのは簡単なことではなくて、それをしてきたおふたりが明日女流王座戦五番勝負で対局するということになります。タイトル戦の将棋はもちろん見ごたえのあるものですが、対局者が織りなすドラマにも大きな見どころがあるのではないかと思います。明日の第3局、五番勝負を見ていただいて、女流棋戦などを楽しんで見ていただけたらと思います。私も楽しみにしております」

室谷由紀女流二段(写真左)
「加藤さん、伊藤さんとは東京に移籍してからお話をしたり、将棋を教えてもらったりする機会が増えました。おふたりとも研究熱心で将棋に対する強い思いを感じられて刺激をもらっています。第1局、第2局それぞれ熱戦で、第3局以降も楽しみです」

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(東和男・日本将棋連盟常務理事による閉会のあいさつ)

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加藤桃子女流王座
「皆様こんばんは、加藤桃子です。本日はお忙しい中たくさんの方にお越しいただいてありがとうございます。大阪で開催していただいて皆様に温かく迎えていただくのがうれしく思っております。また対局場の芝苑さんも3年連続で開催です。素晴らしい環境をご用意してくださって、工夫もしてくださってありがたく思っています。
 実は昨年の第3局、芝苑での対局のあとに旅に出ました。京都に紅葉を見に行きました。普段はタイトル戦を対局してもすぐに(東京に)帰ってしまうのですが、旅に出た判断もよくて、いろいろな方々に出会えたり素晴らしい景色を見られたりしたことが印象に残っていて、本当によかったなと思っています。明日も『そうだ!』と思ったら盤上でも決断よく指せるようにがんばりたいと思います。
 挑戦者の伊藤沙恵さんとは仲がいいと言われますが、普段から背後から『わぁ!』と驚かせ合うような関係です。明日からは改めて三番勝負なので気を引き締めています。普段は背後からでも、明日は正面からぶつかって全力で戦いたいと思います。
 主催のリコー様、特別協力の日本経済新聞社様、いつも大舞台で貴重な経験をさせていただき、成長させていただいて感謝しています。関係者の皆様、将棋ファンの皆様、はじめタイトル戦開催にあたり様々な準備をしてくださっている方々にも感謝の気持ちを持ちながら指しますので、明日もよろしくお願いいたします」

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伊藤沙恵女流二段
「こんばんは、伊藤沙恵です。こんなにたくさんの方にお越しいただきましてありがたく思っています。まず初めに主催のリコー様、特別協力の日本経済新聞社様、素敵な対局場を用意してくださった芝苑様、全ての関係者の皆様、ご尽力いただきまして感謝しております。ありがとうございます。
 大阪に来たのは関西将棋会館で対局したときくらいですが、そのときはご飯が安くておいしくて、いい場所だなと思った記憶があります。リコー杯女流王座戦は憧れの棋戦で、幼い頃から兄とリコー将棋部合宿にお邪魔させていただいて、強豪ぞろいの中で技術面だけでなくマナーなども教えていただきました。いまでも感謝しております。リコー杯女流王座戦はそういう意味でも出たい棋戦だったので、このような舞台に立つことができてうれしく思っています。
 加藤さんとはリコーの合宿で出会って初めて指していて、縁を感じました。明日の対局はそういったいままでの気持ちを表現できるように、全力を尽くして熱戦を見せるように頑張ります」

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(対局者記念撮影。このあとふたりは前夜祭会場を後にした)

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(前夜祭に出席した棋士の紹介)

左奥から村田智穂女流二段、竹内雄悟四段、千田翔太五段、西川和宏五段、斎藤慎太郎六段、長沼洋七段、山崎隆之八段、淡路仁茂九段、谷川浩司九段(日本将棋連盟会長)、井上慶太九段(日本将棋連盟理事)、東和男八段(日本将棋連盟常務理事)、香川愛生女流三段、室田伊緒女流二段、室谷由紀女流二段

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棋士を代表して、井上慶太九段のあいさつ
「女流王座戦の前夜祭に来ますと、いつもプロモーションビデオがかっこいいなと思います。私のも作ってくれへんかなというくらいかっこいい。前夜祭も毎回盛大です。加藤さんと伊藤さんは普段は仲のいいご友人ということですが、対局が始まると火花が散るようです。仲のいいふたりでタイトル戦が戦えるのは幸せなことだと思います。前の対局は力のこもったいい将棋で、この第3局は関西風のコテコテの将棋が見られるんじゃないかと思います」

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リコージャパン株式会社関西事業本部 松原正彦・MA事業部長
「本日はご多忙の中第5期リコー杯女流王座戦第3局の前夜祭にお越しいただきありがとうございます。大阪での女流王座戦開催は4回目になります。
 今回の女流王座戦は若いふたりによって戦われています。第1局は先月仙台で行われて加藤女流王座が先勝、第2局は今月初めに静岡で行われ伊藤女流二段が制し、1勝1敗で明日の大阪での対局が行われます。
 おふたりの出会いがリコー将棋部の合宿だとお聞きしております。そんなおふたりがリコー杯女流王座戦で対局するということは関係者としてうれしい限りです。明日がどんな戦いになるか楽しみにしています。おふたりとも全力を尽くしていただいて、がんばってください。
 私どもリコーグループはこの女流王座戦の開催を通じて、地域社会発展の貢献と女流将棋界の発展を通じた女性の社会進出を応援していきたいと思っております」

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公益社団法人日本将棋連盟 谷川浩司会長(九段)
「第5期リコー杯女流王座戦第3局前夜祭に多くの方に来ていただきありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。女流王座戦を主催していただいておりますリコー様、特別協力をいただいております日本経済新聞社様、明日の対局場を提供していただいた西天満にあります芝苑様初め、ご尽力いただいた皆様方に御礼申し上げます。
 このおふたりの対局で私が最も印象に残っているのは、4年前、第1期の準決勝であります。勝者が五番勝負に出場するという大きな一番でした。結果は加藤さんが勝ちまして、清水さん(市代女流六段)との五番勝負を制して初代女流王座に就いたわけです。準決勝のその日は、私も将棋会館で対局の様子を見ていました。加藤さんのほうは記者会見に出て、敗れた伊藤さんはひとり将棋会館を去るという、文字通り勝負の明暗が分かれました。しかし10代だった若いうちから厳しい勝負を経験して、この経験がふたりの成長につながればと思っていました。
 加藤さんはこれまでの女流王座戦すべてに主役として五番勝負に出ているわけですし、伊藤さんは時間がかかったものの、今期初めて挑戦者としてこの場に立ったわけです。伊藤さんはタイトル戦は初めてですが実力者として知られております。女流棋界では先日四冠を達成した里見(香奈)さんが今年ほとんど負けていないですが、唯一黒星をつけたのが伊藤さんです。加藤さんと伊藤さんはリコー将棋部の合宿で初めて出会ってから10年来、一緒に切磋琢磨してきた仲ですし、控室でも仲良く話していましたが、いちばん負けたくない相手でもあるかと思っております。ぜひ明日の第3局をご注目いただければと思っています。今日は対局者、役員、立会人だけでなく大勢の棋士、女流棋士が来ております。ぜひ気軽に声をかけていただいて、和やかな時間を過ごしていただければと思います」

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淡路仁茂九段による乾杯の発声
「女流棋戦はいろいろありますが、この女流王座戦は全ての女性が参加できるという特徴がありまして、真の女性日本一を決める棋戦だと思っています。素晴らしい対局をしていただけるおふたりが戦うわけで、ぜひ皆様にも注目していただいて、第5期女流王座戦第3局を期待したいと思います」

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(大勢の方が杯を掲げた)

27日18時から、ホテルウェスティン大阪にて前夜祭が行われました。

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(司会はフリーアナウンサーの福山知沙さん)

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(前夜祭開始)

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(拍手の中、両対局者が入場する)

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(壇上で紹介される)

2015年11月27日 (金)

15時から対局室で検分が行われました。

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(対局室はこれまでも使われてきた4階「ふるさと」の間)

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(加藤桃子女流王座)

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(伊藤沙恵女流二段)

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(芝苑所蔵の3種類の駒が用意され、それぞれ盤に並べた)

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(いずれも逸品で、伊藤女流二段は「選べないです」)

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(影水作・水無瀬書が選ばれ、検分は終了した)

15時頃に対局者が芝苑に到着しました。

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(芝苑の茶室)

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(加藤桃子女流王座)

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(伊藤沙恵女流二段)

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(加藤女流王座が立会人の淡路仁茂九段とことばを交わしていた)

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(棚にはいくつもの茶器が飾られていた)

皆さんこんにちは。加藤桃子女流王座に伊藤沙恵女流二段が挑む、第5期リコー杯女流王座戦五番勝負第3局は2015年11月28日(土)10時より大阪市「芝苑」で行われます。

第1局を加藤女流王座が、第2局を伊藤女流二段が制し、五番勝負の経過は1勝1敗のタイです。
第3局の先手番は伊藤女流二段です。

立会人は淡路仁茂九段、記録係は藤田彰一三段(森安正幸七段門下)。Twitter解説は増田康宏四段が担当します。

本日27日(金)は対局室検分と前夜祭が行われます。18時半からの前夜祭は事前申し込み制で、既に締め切られています。ご注意ください。

対局当日に行われる西遊棋プレミアムイベントも、事前申し込み制です。申し込まれていない方は当日対局場にお越しになっても参加できませんのでご注意ください。

囲碁将棋チャンネルの将棋番組専門インターネットサービス「将棋プレミアム」では、本局の模様を完全生中継いたします。解説はありませんが、迫力ある対局映像をお楽しみください。

当サイトの棋譜・コメントは飛龍記者が、ブログは翔が担当します。よろしくお願いいたします。