2012年7月11日 (水)

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▲中村真梨花女流二段-△石橋幸緒女流四段戦は、85手にて中村真梨花女流二段が勝利しました。

消費時間は▲中村2時間17分、△石橋2時間50分(持ち時間、各3時間)


後手玉に受けはなく、先手玉に寄りはない形。
投了もやむを得ない局面だった。


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現在の局面、▲2二金△同玉▲4二竜から寄せる手があり後手玉は相当に危険と見られている。
対する先手玉は、まだ美濃囲いに手がついておらず安全。
実戦的には、相当に先手が勝ちやすい状況のようだ。

石橋は、残り少ない考慮時間を使っての考慮に入っている。


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田辺七段「先手はと金で攻められる展開が嫌だったと思いますが、ここ数手の攻防でスッキリして嫌味がなくなりましたね。次は、先手から▲6二角成の攻めが厳しいですよ。後手は△6八角成▲5二馬△3六桂と攻め合っても、▲1八玉に逃げられると後続手が難しい。そう考えると、△7九角があまり有効に利いていないように見えます。現在の局面は、先手が有利と言えるのではないでしょうか」

ここまでの消費時間は、▲中村1時間34分、△石橋1時間38分。(持ち時間、各3時間)


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(真剣な眼差しで考察する田辺七段)

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田辺七段「一見は先手の攻めが細いように見えます。現状では攻めきれるか難しいでしょう。飛車が眠ったままなので、まずはこれを使えるようにしたいですよね。対する後手は、2枚ある角を使ってどう攻めを作れるか。すぐにという手は難しいですが、8一の飛車が取られないよう気を付けながら着実に一歩ずつというところですか。現局面では後手持ちです」

ここまでの消費時間は、▲貞升2時間4分、△中井1時間24分。(持ち時間、各3時間)

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(パソコンを操作しながら解説する田辺七段)

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(鳩森神社の富士塚)

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(入口の横には、解説のボードもある)

将棋会館の近くにある鳩森神社には、古くからこの地にあり、東京都の指定有形民俗文化財に認定されている富士塚がある。
富士塚とは、富士山を模して造られた人口の山や塚のことで、富士信仰が盛んになった江戸時代には多く造られた遺講だ。

様々な形式なものがあるが、鳩森神社の富士塚は円墳形に土を盛り上げて作られており、富士山の溶岩が頂上近くに配置されている。

寛政元年(1789年)の築造と言われ、東京都内に現存する富士塚では最も古いという。江戸中期以降、広く庶民の間で信仰されていたという富士信仰のあり方を理解する上で貴重な遺講だろう。

長い歴史を持つ将棋を守るかのように、今も残る鳩森神社の歴史ある富士塚。
将棋会館を訪れた際には、鳩森神社の富士塚を訪れてみるのもよいかもしれない。
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(富士塚の入口)

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(富士塚の山頂、作られた洞窟の中には身祿象が安置されている)

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▲中村(真)女流二段-△石橋女流四段戦は、早くも終盤戦に入りました。

図の局面は52手目△7七歩成まで。
2004年1月に行われた新人王戦▲横山泰明四段-△石橋幸緒女流三段戦(ともに段位は同時)と同一局面になっています。
この対局は、石橋女流四段が男性棋士を相手に公式戦初勝利を収めた対局でもあり、石橋女流四段はもちろん把握していることでしょう。

本譜は、▲横山-△石橋戦では▲5六銀と逃げたところを、中村(真)女流二段が▲7七同桂と変化。
完全に前例のない局面に突入しました。