2011年12月12日 (月)

加藤奨励会1級の玉将には「菱湖(りょうこ)書」と駒の書体が、清水女流六段の王将には「大竹竹風作」と駒師の名がそれぞれ刻まれている。王将と玉将の書き方に少し違いがあるが、これが菱湖という書体の特徴になっている。

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20111212_4812時前、清水女流六段、しばらく後に加藤奨励会1級と席を立っていった。少し早いが休憩に入れたようだ。12時までの時間は加藤奨励会1級の消費時間に加えられる。消費時間は▲加藤38分、△清水1時間4分。対局は13時から再開する。

【Twitter解説:金井恒太五段】
「△8五歩をここで打ちました。(1)▲同桂はいつでも△7四飛が金取りになりますし、(2)▲同飛は後の▲7三歩成に△同桂と取った手が飛車取りになります。(3)▲7六飛は指してみたい手で、以下△5四銀には▲7三歩成から攻めていきます。したがって▲7六飛には△5四角でしょうか。△5四角に▲6六飛なら△3四銀、▲6五角には△7四銀。少なくとも後手は一方的に攻められる展開を避けることができそうです。再開後の一手ですが、▲7六飛と面白みのない予想をしておきます」

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銀取りに飛車取りで切り返し、局面の緊張感が増してきた。一方、控室ではまだのんびりとしたムードが漂っている。山口恵梨子女流初段が訪れ、関係者と談笑しながら検討の様子を眺めていた。

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20111212_45_2図の▲7四歩。あまりにも突然に、戦いの火蓋は切られた。△同銀は▲8一飛成、△同歩は▲4六角があるのでこの歩は取れない。「やや意表の一手に映ります」と金井五段。先手の駒、特に右の銀桂が活用できていないからだ。「△4五銀や△3五銀と飛車の横利きを通す手を考えたいところです」


A「△4五銀は▲4六歩を一応気にしなければなりません。以下△5四銀には▲7三歩成△同桂▲7四歩(A図)。そう進んだとしても先手の決定打になるかどうか分かりませんが、後手としては読みを入れる必要がある変化です」


B「△3五銀も有力そうです。以下▲3六歩△2六歩▲3五歩△2七歩成と単純に進めば後手が良さそうに思います。▲3六歩に代えて▲7三歩成△同桂▲7四歩△同飛▲5六角(B図)でどうか」


この仕掛けに対し、清水女流六段は長考に沈んでいる。

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10時40分、まだ1時間もたっていないが、すでに局面は中盤に差し掛かろうとしている。控室には対局中の広瀬章人七段も姿を見せた。解説の金井五段はキーボードをたたき大わらわ。継ぎ盤を囲む検討陣からは「寄り」という恐ろしげな言葉も飛び出して、本局の展開の早さを物語っている。ただ、持ち時間は3時間とたっぷりあるので、すぐに決着がつくことはない。ここまでの展開が早いということは、中終盤が長くなることを予感させる。

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(広瀬七段)

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(金井五段)

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(検討中の中川八段=左と、それを見守る梅田望夫さん=右)

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20111212_4110時30分、対局開始から30分で図の局面まで進んだ。Twitter解説の金井五段は「ここまでのハイペースは『少しの時間も無駄にしたくない』という両者の想いが感じられて、本局の重みを表しています」と対局者の心理を解説する。戦型は第2局と同じ横歩取りだが、展開は異なるものになった。「△3四銀▲3六歩△4五銀▲3五歩のような進行が一例です」と金井五段。互いに浮き飛車に構え、持ち駒に角を擁しているため、いつどんな攻めが飛んでくるかわからない。端を突き合っていることも、手の作りやすさに拍車をかけている。横歩取りは「空中戦」とも呼ばれるが、その異名にふさわしい、華々しい戦いが期待できそうだ。


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記録係の川崎直人二段が、清水女流六段の振り歩先で振り駒を行う。結果はと金が4枚。加藤奨励会1級の先手となった。

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先に対局室に姿を現したのは加藤奨励会1級。9時40分頃に入室し、下座につく。後から来る関係者にお辞儀をしながらあいさつをしていた。しばらくして清水女流六段が入室。ほどなくして対局の準備が始まった。

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