■清水市代女流六段
・準決勝局について
「ずっと苦しい辛抱の展開だったのですが、最後はその辛抱が実ったかなと」
・これまでの対局について
「振り返ると、内容的には反省点の多い将棋でした。その反面、私にとってツキがある棋戦かなとも思っています。いい内容の将棋が指したいですね。あ、抱負になってしまいましたね(笑)」
・五番勝負について
「今回のお相手が加藤さんということで、同じ高柳門下として(※)師匠も喜んでいるのではないかな、と思います。加藤桃子さんとは以前一度お話をしたことがあって、大変礼儀正しくて、かわいくて、謙虚で、いっぺんに好きになってしまいました。けれどこうして盤を挟む相手となると、大変な相手だなと思います。将棋を見るたびにどんどん強くなっている印象がありますね。私もそういうところを吸収して、若々しい将棋を指したいなと思います」
※……加藤1級の師匠の安恵八段も高柳門下
■加藤桃子1級
・準決勝局について
「伊藤さんは振り飛車も居飛車も両方やるので作戦が立てられませんでしたが、きょうのような将棋になることは少し予想できました。作戦勝ちになったので、ずっと指しやすいと思っていました。中終盤で最善手を逃しましたが勝つことができて、よかったと思っております」
・これまでの対局について
「全体を通してみますと、予選は逆転勝ちが多かったのですが、本戦では自分の力が出せたかなと思います」
・五番勝負について
「決勝五番勝負は清水先生と指すことができるのですごいうれしいです。清水先生の棋譜は私が小学生のときによく並べていて、すごい勉強になりました。その憧れの清水先生と指すことができてすごいうれしいです。五番勝負は初めてなのですが、緊張せず自分の力を出しきれたらいいなと思っております」
(「清水先生の棋譜は私が小学生のときに並べていて……」「え! 小学生?」)
米長邦雄会長
「こうした大型棋戦を作っていただいたリコー様に厚く御礼申し上げます。リコー杯女流王座戦の特徴は、すべての女性が出場できる、という非常にユニークなものです。アマチュアの予選があった。そして奨励会員も参加できる。奨励会員の参加が初めて実現したことは非常に意義深いことです。今年は里見香奈女流三冠が奨励会の1級を受けるという出来事があり、大きく取り上げられました。この棋戦では奨励会の2級が参加して、その間に彼女たちは1級になりました。これは大変素晴らしい。五番勝負では女流棋士のナンバーワンと奨励会1級が激突することになりました。願ってもない展開で、大変な勝負。『どちらにも勝たせたい』という決勝戦になったと思います。賞金額も最高ですので、二人にはぜひいい将棋を指してもらいたいと思います。二人の健闘を祈って、挨拶に代えさせていただきます」
(棋風、得意戦法について尋ねられる加藤1級。「私は居飛車党で攻め将棋です。得意戦法は矢倉、角換わり、横歩取り……なんでも指します」。すると清水女流六段が「苦手なのはないの?」と一言。加藤1級、「苦手なのは……言うとちょっと……言えません」)
(文)