2011年7月28日 (木)

感想戦後に行われた清水市代女流六段のインタビューです。

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―――本局の作戦は予定通りでしたか。
「振り飛車党でもタイプが変わるので、相手やその日の気分によって変わります」

―――本局は序盤で横歩を取って積極的でしたね。
「横歩を取ったことによるリスクを背負う展開になってしまいました。本譜は▲3八金が釘付けになってしまい、自分から望んだ展開でしたが、大変になって我慢の序盤でした。苦戦を覚悟していました」

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―――(47手目)▲6五歩から▲5五歩が巧妙な印象を受けました。

「▲6五歩をつけて光が開けてきた気がしました。松尾さんは(△6五同飛に)▲5五歩を軽視されていたようで、本譜は逆に後手の飛車が狭くなってしまいました。▲3八金が中央に活用できて指しやすさを感じました」


―――ベスト8進出。2回戦は上田初美女王との対戦です。
「トーナメント戦ということもあり、自分ではベスト8とかの意識はなく、目の前の1局を頑張りたいです。3時間の持ち時間はジックリ考えられるので楽しみです」

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―――ファンの方へ、メッセージをお願いします。
「リアルタイムで中継されていて、全国のファンが見ていて反響が大きいです。一緒になって局面を読んだり、指し手を進めるのが楽しみな方もいらっしゃいます。緊張感を持って、皆さんに注目していただける将棋を指したいですね」

(聞き手:銀杏 写真:牛蒡)

20110728_80 図の局面から▲5五角が、▲7四桂△9二玉▲9三飛△同玉▲8二角以下の詰めろになっている。
また、▲6三歩も▲7一角打△同金▲同角成△同玉▲6二金以下の詰めろ。それを受けて△6三同銀は後手陣が薄くなるし、▲5三歩成がより厳しくなる。(以上、棋譜コメントより)

本譜は▲5五角打と進みました。この手は詰めろではありませんが、次に▲7四桂△9二玉(△9三玉は▲9五歩)▲8二飛△9三玉▲8一飛成で受けなし。最後▲8一飛成に△同銀は▲8五桂で、玉がどこに逃げても金打ちで詰みです。

(牛蒡)

20110728_61_3 図から△4五桂!という強手が出ました。
▲同飛に△4四飛と飛車交換を挑む手を後手は狙っています。

ちなみに後手は45手目にも△3五歩から飛車を交換することができましたが、今回は桂損の飛車交換です。後手は苦しいと見て、おそまきながら勝負に出た印象があります。

なお本譜は△4五桂に▲同飛△4四飛▲4七飛△同飛成▲同金(下図)と進みました。

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後手は狙いの飛車交換を果たしましたが、先手に垂れ歩を払われつつ3八金もさばかれてしまいました。
後手は勝負手を放ちましたが、現局面も変わらず先手好調と言えそうです。

(牛蒡)

20110728_59 現局面は中央に手厚い先手が有利と見られています。飛車も風通しが良くなりました。
47手目▲6五歩の辺りから、清水女流六段が力で流れを持ってきた印象です。


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(清水女流六段(昼食休憩明けの写真))

(牛蒡)

20110728_47 序盤は互いの飛車が駆け回る展開となりましたが、一転して落ち着いた駒組み合戦となりました。

先手は1歩得を果たしましたが、その分、3六飛が狭く、3八金も動きを制限されています。

後手は歩損ですが、左桂を跳ねて、さらに3~4筋の金銀の活用を狙っています。

そこで指された▲6五歩。△同飛でタダですが、それには飛車を目標にしつつ押さえ込むのが先手の狙いです。

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(松尾女流初段(朝の表情))

(牛蒡)