2011年6月23日 (木)

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図は15時40分頃の局面。互いに玉を守る金銀を攻めている。このように、まずは守りの金銀を一枚一枚盤上から消していくのが正攻法。この作業が速い方が、最終的に攻め合いで優位に立つことになる。守り駒の数に注目してみると、後手は金金銀の3枚。先手は金銀の2枚……に見えるが、遠く9八の飛車が守りに利いている。よって守り駒の数はほぼ互角。現在手番を握り、先に玉に手が届くのは、後手のほう。このまま一息に攻めきれれば、後手のきれいな一手勝ちになる。上田女王はここで時間を使って考えている。このまま一直線の攻め合いに突入するのだろうか。

(文)

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図は14時頃の局面。ここでは先手指しやすいとの評判。次のように進んだ。

△7一飛 ▲同飛成 △同 角 ▲1四歩 △同 歩 ▲1三歩
△同 香 ▲2五桂 △7八飛(下図)

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斎田女流五段は△7一飛のぶつけに▲同飛成と応じた。そして▲1四歩と端を攻める。穴熊に対する端攻めは急所の筋だが、タイミングを誤ると大きな損失につながってしまう。本譜の端攻めもやや変調で、△7八飛と打たれた局面は後手の攻めが厳しいと見られている。先手は懸念の6五金が完全に遊び駒となってしまった。古河女流二段にとっては大きなチャンス。ここでうまく手がつながれば、そのまま押し切ることもできそうだ。90手目までの消費時間は▲斎田1時間59分、△古河1時間52分。

(文)

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図は14時40分頃の局面。上田女王は△1三桂と跳ねた。取られそうな桂を攻めに使う、じつに味のよい一手だ。後手は次に△2五桂打(銀を取れば△4九銀が厳しい)など、攻めには困らない。現状は後手の桂得で、上田女王がうまく攻めたとの評判。先手は4一の成銀が重い形で、やや苦しそうだ。とはいえ泣き言をいっているわけにもいかない。後手の高美濃にどう迫っていくかが重要なテーマになりそうだ。

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(室谷女流初段。写真は対局再開時のもの)

(文)

感想戦が手短に行われたため、山口女流初段に簡単なインタビューを行い、一局を振り返っていただいた。

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―― 序盤を振り返っていかがでしたか。
山口 △4四飛(32手目)で竜を作れるので、ちょっといいかなと思いました。
―― 勝ちを意識した局面は。
山口 △5三銀(70手目)で負けない形だと感じました。
―― この対局に勝って、本戦トーナメント入りです。
山口 3時間の将棋ではここまで1つしか勝てていなかったので(注・持ち時間3時間の将棋は、女流ではタイトル戦以外では最長)、克服できるよう頑張りたいと思っています。

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※ここで▲4八飛は△4五飛で、次の△2五飛が受からない。

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※5三の馬を取ったところ。以下▲同歩成△7八と▲同金△4四角まで、後手の勝ちとなった。

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(聞き手・吟 写真・文)

▲島井咲緒里女流初段
△山口恵梨子女流初段

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △5四歩    ▲4八銀    △5五歩
▲6八玉    △5二飛    ▲7八玉    △6二玉    ▲5八金右  △7二玉
▲2五歩    △3三角    ▲6六歩    △4二銀    ▲7七角    △8二玉
▲6七金    △9二香    ▲8八玉    △9一玉    ▲9八香    △8二銀
▲9九玉    △7一金    ▲7八金    △7四歩    ▲5九銀    △5四飛
▲6八銀右  △4四飛    ▲2四歩    △同 歩    ▲6五歩    △4七飛成
▲5六歩    △同 歩    ▲3三角成  △同 桂    ▲6四歩    △同 歩
▲6三角    △5二角    ▲5四角成  △4五桂    ▲6四馬    △5七歩成
▲7七金寄  △6七歩    ▲6九歩    △6八歩成  ▲同 歩    △6七歩
▲5三歩    △同 銀    ▲同 馬    △6八歩成  ▲同 銀    △同 と
▲同 飛    △6七歩    ▲1八飛    △6二銀    ▲5四歩    △5七桂成
▲6四歩    △6八歩成  ▲6三銀    △5三銀    ▲同歩成    △7八と
▲同 金    △4四角 (投了図)まで74手で山口女流初段の勝ち。

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終局は13時36分、消費時間は▲島井1時間58分、△山口51分。

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(吟)

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図は昼食休憩時の局面。ここから次のように進んだ。

△5五金 ▲同 銀 △同 飛 ▲4六角 △5四飛 ▲5五金
△5一飛 ▲5三歩 △同 飛 ▲6四金 △4五歩 ▲7九角
△5一飛 ▲5三歩 △7五角 ▲6五金 △5三角 ▲7四飛(下図)

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対局再開から1時間、14時頃の局面。80手目までの消費時間は▲斎田1時間17分、△古河1時間21分。先手は飛車をさばくことに成功した。形勢はやや先手よしと見られている。ただし後手はなんといっても「最強の囲い」である穴熊。銀と大量の歩を駒台に載せ、虎視眈々と反撃の機会をうかがっている。先手は6五の金が遊び気味なのが気がかり。慎重に指し進めていきたいところだ。

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(玄妙な手順で飛車をさばいた斎田女流五段。写真は昼食休憩再開時のもの)

(文)