2009年2月 8日 (日)

 最終盤まで、どちらが勝つかわからなかった本局も、66手目の77銀成ぐらいから、ついに、形勢が久保八段に傾きかけた。必死の粘りも一歩及ばず、86手で佐藤棋王が投了、挑戦者の久保八段が先勝した。終局後、公開対局であることから、両対局者にインタビュー、その後、大盤解説会場に移動し、解説を行った。
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 局後の感想戦では、佐藤棋王が51手目の54歩を悔やんだ。41飛でどうだったか?といった検討もあった。86手というと、決して長手数ではない将棋であるが、手数以上の内容の濃さを感じさせる将棋であると言えるだろう。
 おやつで注文された、佐藤棋王のフルーツは、終盤の激闘を物語っていたかのように、手付かずで、傍らにそっと置いてあった。
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 さて、さらに感想戦は進み、67手目▲26角に代わり、▲84歩△78成桂▲59玉△37桂▲83歩成△同金▲52飛△72銀▲86角!(下図)が絶妙の受けで、後手の攻めが切れて先手勝ちか?!という手順が検討され、20時現在もその部分を中心に、検討が行われている。
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Dsc_0224  一手一手、小刻みに時間を使う両対局者。一手指す度に、形勢が変わるような展開がここ数手繰り広げられている。控え室、解説会場を含め、見解が分かれ、形勢判断が揺れ動いている。お互い、この終盤に来てこれだけの手を指すわけだから、まさに秘術を尽くす壮絶な終盤戦。写真は、18時頃の控え室の模様。佐藤棋王は、1分将棋となった。

 55手目、検討陣の検討にもいっそう熱が入ってきた。
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一例を示すと、上図から、△7七角成▲同桂△75桂▲68玉△67桂成▲59玉(下図)で意外に後手寄せにくい。先手佐藤棋王は、53歩成から61角が狙いとなる。佐藤棋王が久保八段の攻めを凌ぎきるか?がポイント。
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 51手目、佐藤棋王が約30分の長考の末、54歩と指した。これは、意外な一手で、控え室や大盤解説会場でも検討されていなかった手だ。
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 例えば、上図から、久保八段の手順を一例示せば、△77角成▲同桂△76銀(下図)が考えられる。この時、佐藤棋王が受けにくいのでは?との指摘がある。
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 対局場の敷地内には、クロスランドタワーという展望台がある。高さが100mの展望台で、小矢部市を一望できる。標高3,000m級の山々が連なる立山連峰は、冬山の荘厳さと威厳を遠くから示しているようでもある。下写真は、対局場のクロスランドおやべとクロスランドタワー、そしてタワー展望台から見た立山連峰。
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 13時15分から、現地では、大盤解説会が始まっている。解説は福崎文吾九段と千葉涼子女流三段。立派なステージでの解説会と軽妙な福崎九段と千葉女流三段の話に会場のお客さんもお喜び。広い会場もほぼ満席となった。
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 さて、15時30分頃に大盤解説会場では、次の一手問題が出題された。下図がその問題。形勢は微妙で、控え室でも色々と検討されているものの、かなり難しいようだ。
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 控え室は、かなり賑やかだ。立会は藤井猛九段。解説に福崎文吾九段、そして富山県出身の千葉涼子三段。午前中まで、米長邦雄会長もおり、関浩六段、早水千紗女流二段もいる。千葉女流と同じく、富山県魚津市出身の村田顕弘四段も検討に加わって、指し手についての検討はもとより、冗談も飛び交っている。
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