2015年2月21日 (土)

前夜祭8

最後は対局の見どころ紹介です。石田和九段、稲葉七段、井道女流初段が壇上に上がりました。

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石田 見どころは若い二人に語ってもらって、私からは一言だけ。私は金沢は久しぶりでございます。15年ぶりくらいかな。その前はすいぶんと来ていたんですね、加賀百万石ね。その昔、52年前、東京オリンピックの年に私はここに大山二上戦の記録係で参りました。当時は初段でした。修業時代は東海地区にいまして、こちらまで5時間かけてきた記憶があります。本当に懐かしいですね。ここは食べ物はおいしいし、文化があるし、こんな素晴らしい場所で対局ができるのは絶好でございますね。ということで二人にマイクを渡します、と思ったら、あら、もう二人とも持っている。まいったね。第1局は渡辺棋王が先勝しましたね。どう思いますか、明日は羽生さんが先手ですが戦型などは。

稲葉 戦型予想が最も難しい二人です。最近は渡辺棋王が振り飛車も指すようになりましたし。ただ、羽生名人は絶対に負けられない一番で矢倉を選ぶイメージがあるので、矢倉を予想しておきます。

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石田 井道さんはどうですか。

井道 私は振り飛車党なので、期待をこめて渡辺棋王の振り飛車を予想します。

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稲葉 あるかもしれませんね。渡辺棋王はこの前の王将戦第4局でも振り飛車を指しました。

石田 大山升田時代は、この人は振り飛車名人、この人は居飛車一辺倒、といった具合でしたが今の棋士は違いますね。本当になんでも指しますね。オールラウンドプレイヤー。

稲葉 羽生名人は以前からオールラウンドでしたが、渡辺棋王も最近はなんでも指すようになって、しかもよく勝っています。1~2年前までは居飛車党でしたが、本当にオールラウンドプレイヤーになってきました。

井道 石田九段にも戦型予想とみどころをお聞きしたいのですが。

石田 いやいやいや、分からない。私の勘はよく当たるんだけど分からない。ただね、羽生さんは絶対に負けられない一戦であること間違いないから、得意と言っていた横歩取りかもね。

稲葉 でも第1局は横歩取りで羽生名人は負けているので。

石田 そうか。そもそも先手じゃやりたくても横歩取りにできないもんね。

稲葉 渡辺棋王がやるかどうかですね。ただ、相手に得意と言われてしまうとやりにくいかもしれません。

石田 じゃあ飛車振るかな、渡辺さんがね。

稲葉 先週の朝日杯決勝で二人は戦っているんですけど、それは羽生名人の先手中飛車でした。どちらが振ってもおかしくない、相居飛車になってもおかしくない、本当にどんな戦型になるか分からないんです。(稲葉七段の一言一言に「あー」と感心する石田九段)

石田 あーあー、と感心ばかりしていてもしょうがない。ということで、みなさん、いいですか。とにかくどちらも一筋縄ではいかないんですよ。簡単に勝たしてはくれない。一流どころの共通したところですね、うん。

稲葉 勝ち方もうまいですし、粘り方もうまいですね。そのぶつかりあいが面白いですね。

石田 面白い戦いがどうやら見られそうですね。ということでみなさん、明日をお楽しみにしてください。ありがとうございました。

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(写真=紋蛇、書き起こし=牛蒡)

(紋蛇)