2019年11月の記事

2019年11月20日 (水)

Dsc_0092

(乾杯のご発声は進藤中・甲府商工会議所会頭)

「タイトルを持つ方との同席は2回目です。前回は米長邦雄さんが王位を取られたときで40年前になります。今回は2人ということで、前回よりも2倍以上の興奮を覚えます。素晴らしい対局を見せていただけたらと思います」

Dsc_0096

(乾杯のあとは、しばしの歓談タイム)

Dsc_0056

Dsc_0064

Dsc_0097

掲載したお料理は会場で出されたものの一部です。

(書き起こし・銀杏)

常磐ホテル「コンベンションホール 富士」で18時から前夜祭が行われました。

Dsc_0069(両対局者は大きな拍手に迎えられて、ステージに登壇)

Dsc_0073(樋口雄一・甲府市長)

「令和初の最強決定戦竜王戦が甲府が開府500年の記念事業として行われ、多くの方にお越しいただいて盛大な前夜祭が開かれていること心から感謝申し上げます。
タイトル戦で3連敗後4連勝した棋士はこれまで2人です。広瀬竜王がここから巻き返せば3人目です。また、豊島名人が勝たれると史上4人目の竜王・名人が誕生します。どちらが勝っても歴史に名を刻むことになります。
歴史的な大一番を前に、湯村温泉は弘法大師が開湯したといわれ、武田信玄の元湯ともいわれています。常磐ホテルで十分にくつろいでいただき、名湯で力をたくわえて対局に臨んでいただきたいと思います」

Dsc_0079(中條学・読売新聞東京本社甲府支局長)

「広瀬竜王が巻き返すか、豊島名人が一気に決めるか見逃せない対局です。2016年第29期第4局以来3年ぶり3回目となります。竜王対名人の5回目の決戦でわくわくしています。武田信玄が甲府を開いてから500年を記念し、「こうふ将棋ウィーク」として、さまざまなイベントが開催されています」

Dsc_0087(日本将棋連盟会長の佐藤康光九段)

「常磐ホテルには初めてきました。タイトル戦にふさわしい素晴らしい場所だと感じています。両対局者とも、充実著しいです。広瀬竜王は昨日の対局で王将戦の挑戦者となりました。竜王戦は3局とも、素晴らしい接戦を繰り広げていると思います。
個人的なことですが、甲府は12年前に棋聖戦で対局して、防衛して6連覇した思い出の地です。山梨出身の米長邦雄永世棋聖が、私が午前中に指した手を「悪い手だ」と断言されました。ですが、結果は私が勝ちまして「偉大なる悪手」と名づけていただきまして、悪い手なのに褒めていただいたという思い出があります。
将棋は途中から混戦になると、さまざまな状況が生じます。その状況からタイトル戦で争う棋士がすごみを発揮して、プロでも感動するシーンが多く出てきます。将棋の面白さを認識いただいて、身近に楽しんでいただく機会にしてほしいと思います」

(書き起こし・銀杏)

 

17時少し前から、対局検分が行われました。検分では、使用される盤駒、脇息、座布団などを確認。室温・光の具合、封じ手の場所などが確認されました。

Dsc_0007(タイトル保持者の広瀬竜王が駒袋を開けて検分が開始)

Dsc_0011(駒の感触を確かめる広瀬竜王)

Dsc_0016(関係者の説明に耳を傾ける豊島名人)

 

広瀬章人竜王に豊島将之名人が挑む、第32期竜王戦(主催:読売新聞社、特別協賛:野村ホールディングス株式会社)七番勝負。挑戦者の豊島名人が開幕から3連勝。
広瀬竜王が踏みとどまるか、豊島名人が一気の4連勝で奪取か。注目の第4局は11月21、22日(木、金)、山梨県甲府市「常磐ホテル」で行われます。
立会人は屋敷伸之九段、副立会人・新聞解説は横山泰明七段、記録係は渡辺和史四段が務める。現地大盤解説は戸辺誠七段、聞き手は山田久美女流四段が担当します。
持ち時間は各8時間(2日制)で、第4局の先手番は広瀬竜王です。

Dsc_0001

【読売新聞オンライン】
https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/ryuoh/

【野村ホールディングス株式会社】
https://www.nomura.co.jp/

中継は棋譜コメント入力が銀杏、ブログを吟が担当します。どうぞよろしくお願いします。

2019年11月10日 (日)

Img_8847_o01(局後インタビュー後、大盤解説会場に登壇する両対局者)

Img_8839_o02(改めてファンの前で、豊島名人が本局を振り返る)

「89手目▲3四香~▲4三飛成がよくなく、そのあと苦しい展開になりましたけど、最後は133手目▲2一角からピッタリした手順があって勝ちになったかなと思います」(豊島名人)

Img_8846_o03(続いて広瀬竜王)

「途中は200手ぐらいで勝利を目指すという展開もありましたけど、150手ぐらいで勝つ展開を目指しまして。しかし最後に落とし穴があって、それが133手目▲2一角の筋でした。そこだけが悔やまれますね。そこで逆転してしまったかな、という風に思います」(広瀬竜王)

Img_8852_o (そのあと、要所についてスクリーンを使って簡単に振り返る。いまは123手目▲3四歩の局面)

「ここは△3二金と引いておくぐらいのほうがよかったかなと」(広瀬竜王)
「以下、どういった感じになりますでしょうか」(都成五段)
「打つしかないですね、▲4四桂と。しかしこれが詰めろではないので、負けの順があるような気はしたのですけど。次は▲3二桂成~▲7九金打と打ったりだとか……」(豊島名人)
「いや、そうなんですよね。スッキリとは決まらないなと。▲3二桂成には基本的に△1三玉で詰まないですけど、▲7九金打とされると粘られてしまうので。それが嫌な展開に見えてしまいましたが、本譜よりはそうやって勝ちを探すほうがよかったです」(広瀬竜王)

Img_8864_t_2 (最後に、会場のファンに向けてひと言ずつ)

「最後までご観戦いただきまして、ありがとうございます。次局以降も一局一局頑張っていきたいと思います。ありがとうございました」(豊島名人)

Img_8879_o_hiro 「遅くまでのご観戦、ありがとうございました。なかなか結果は出ないですけど、途中まではよかった将棋も何局かありましたので。あまり悲観はせず、シリーズがなるべく続くように、第4局のあとも続くように頑張りたいと思います」(広瀬竜王)

Img_8887_o04 (両対局者が感想戦に戻ったあと、激戦を見守った多くの将棋ファンが拍手で締めた)

Img_8823_e_hiro (対局室に戻って感想戦。あとがなくなった広瀬竜王は次局以降の挽回なるか)

Img_8795_e_t (豊島名人は自身初の竜王獲得まであと1勝。次も激戦が期待される)

以上で第3局のブログ中継を終了致します。ご観戦いただきまして、誠にありがとうございました。第4局は11月21・22日(木・金)に山梨県甲府市「常磐ホテル」で行われます。本局同様、そちらにもご期待ください。それでは失礼致します。

Img_8798_i_tyo (豊島将之名人)

「89手目▲3四香~▲4三飛成がよくなかったと思います。98手目△7六歩と突かれて困ってしまって。123手目▲3四歩ではどう対応されるのかよく分かっておらず、129手目▲3四桂打はその場で発見したという感じですね。封じ手のところ(69手目▲3五歩)は何かうまい組み合わせがある気はしたのですが歩切れなので、分からなかったです。ハッキリとうまくいく順は発見できませんでした。次局以降も一局一局頑張ります」(豊島名人)

Img_8815_i_hiro (広瀬章人竜王)

「封じ手のあたり(69手目▲3五歩)は難しくて分からなかったですけど、少し駒得して98手目△7六歩と突いたところはよかったです。ただ着地に失敗してしまって。次局以降、1局でも多くシリーズが続くように、という心境ですね」(広瀬竜王)

このあと両対局者は、現地大盤解説会場に向かいました。

Img_8811_e_toyo (豊島名人は大逆転で3連勝。竜王奪取まであと1勝と迫った)

Img_8807_e_hiro (広瀬竜王は最終盤で誤算があったという)

Img_8805_e_heya (すぐにインタビューが始まった)

投了図

第32期竜王戦七番勝負第3局は、157手で豊島名人が勝ちました。終局時刻は19時35分。消費時間は▲豊島名人7時間58分、△広瀬竜王7時間59分。これでシリーズ成績は豊島名人の3連勝。次戦、第4局は11月21、22日(木、金)に山梨県甲府市「常磐ホテル」行われます。

_133着手からしばらくして、継ぎ盤周りから「詰んでる!?」と声が響きました。この▲2一角に対して、以下△1一玉に▲8五銀が詰めろ逃れの詰めろになるとのこと。「128手目△4五金が危険でしたか」と小林裕七段。最終盤は常に後手有望といわれてきましたが、逆転決着もありうるようです。

Img_8781_h1840

_123最終盤です。ここでは新聞解説の小林裕七段から見解を尋ねました。

Img_8776_p_koba「(1)△3二金は利かされなのでちょっと指しにくいですよね。なので(2)△3四同金▲2六桂の局面を読んでみたいです。後手玉に詰めろは掛かっていませんので、先手玉に必至を掛けられるかどうか……まだハッキリとは読めていませんが、後手がいけそうだと思っています」(小林裕七段)