カテゴリ「第26期竜王戦七番勝負第3局」の記事
感想戦写真2
感想戦写真1
終局後のインタビュー
―――攻めが細いと言われていたのですが、うまくつながったのでしょうか。
駒損がひどかったので終始自信はなかったです。
―――作戦はあたためていたのでしょうか。
今日は作戦でした。▲6八玉がいい形だった。本譜は駒損がひどくてどうだったか。
―――苦しくなくなったのはどのあたり。
ずっと難しかったかと。最後は自分が詰まなければ1手早いかなと思いました。
―――3局目で1勝あげました。
ひとまずホッとしました。
(インタビューに答える。待望の今期初勝利)
―――森内名人は駒得でしたが。
駒得でしたが、駒の効率がずいぶん悪くなってしまったので…はっきりいいと思ったところはなかったですね。
―――終始苦しいという感じでしたか。
ずっと分からない将棋だなという感じていました。
―――どこかこうすればというのはありましたか。
受けはいくつかあったと思いますが、ここでこうやっていればよかったというのは分からないですね。
―――2勝1敗で次に臨むことになりますが。
普段通り全力でやりたいと思います。
終局直後
第3局は渡辺が勝利
第26期竜王戦第3局は、122手まで渡辺明竜王の勝ちとなりました。終局は18時54分、消費時間は▲森内7時間59分、△渡辺7時間47分。
小さいようでも大きな利かし
渡辺竜王は106手目に△2七歩を放ちました。これが大きな利かし。▲同飛と取らせることで2七をふさぎ、先手玉を詰ましやすくしています。
つまり、▲2七同飛△7八金▲2四歩△7九金▲2三歩成△3一玉の局面で先手玉に△6七角▲同玉△6六飛▲5八玉△6九飛成▲5七玉△5六歩▲同玉△6六竜▲4五玉△3三桂打(参考図)と追って詰む筋があります。
参考図からは▲3三同と△同桂▲3四玉△6四竜▲3五玉△4四竜▲3六玉△3五銀まで。ここで先手玉が2七へ逃げられません。値千金の利かしなのが分かります。
実戦は▲2七同飛△7八金▲2四歩△7九金▲2三歩成△3一玉と検討通りに進んだとき、森内名人が▲6五桂と指しました。▲6五桂は参考図の△3三桂打に▲5四玉から6三へ逃げ出そうとした手です。
ただし、局面は後手勝ち筋になったとみられています。
敵の打ちたいところへ
図は103手目▲2三歩まで。控室では▲2四同角△2三歩▲4六角(△同角に▲7七竜や▲4六同歩でどうか)が検討されていました。
しかし、残り3分の森内名人は▲2三歩とたたきました。▲2四角と銀は取れても△2三歩で固められてしまう。それならば、▲2三歩と「敵の打ちたいところへ打て」で後手陣を薄くする方がよいとみたようです。
以下実戦は△2三同金▲2五歩と進みました。そこで△7八金▲2四歩△7九金(参考図)が先手玉への詰めろではないようです。よって、後手は参考図の△7九金(角を取る)ではなく、△6九飛▲5九歩△7九金と詰めろを続ける手順を調べています。
終盤の一手争い。あらゆる変化で詰む詰まないが関係してきます。それを秘術を尽くして正しく判断しなければなりません。渡辺竜王は終盤での長考に入りました。
ついに攻め合いへ
図は95手目▲2五歩まで。森内名人の反撃です。控室で検討されている変化も激しいものばかりです。
(1)△6七金打▲同竜△同金▲同玉△8八角成▲同角△8七飛▲6六玉△8八飛成▲2四歩△2七歩▲同飛△2六歩▲2三銀(参考1図)
(2)△7七金打▲同桂△同歩成▲同銀△同金▲2四歩△7八金▲2三銀(参考2図)
(3)△7七歩成▲同桂△7六歩▲2四歩△7七歩成▲2五香△2七歩▲同飛△7八と▲2三歩成△3一玉▲3二と△同金▲2一香成△4二玉▲5四歩(参考3図) いずれも一手争いの変化です。 実戦では渡辺竜王が(2)△7七金打を選び、以下▲同桂△同歩成に森内名人は単に▲2四歩と取り込みました。この方が後手に銀を渡さずにすみます。また、▲7七銀のタイミングをはかる意味もあるようです。
(加藤九段が時折「にゃんとも言えない」などジョークをまじえて検討する)